【食と文学旅】三国と蟹と三好達治(後編)

先月の福井旅行の記録・後編です。

前編では、1日目に訪れたみくに龍翔館や東尋坊・荒磯遊歩道の文学碑、三好楼(三好達治仮寓跡)などについて書きました。

後編は、2日目に食べたセイコ蟹や、福井県ふるさと文学館、福井土産の話などについて。

2日目は、宿で朝食をとって一休みした後、永平寺を拝観し、車で福井駅に向かいました。(食と文学以外のことを書き出すとキリがないので永平寺については割愛)

福井駅前でセイコ蟹

昼食を食べたのは、駅前の商業施設ハピリンに入っている「くずし割烹ぼんた」というお店。1日目の夕食には越前蟹(ズワイガニの雄)をいただいたので、こちらではセイコ蟹(ズワイガニの雌)をいただきました。オスよりも小さい分、身の繊維が繊細で柔らかく、私はこちらの方が好み。まろやかな味と食感の内子と、コクのある味噌を、身と一緒に口に含むと、一層複雑で味わい深く、とても美味しい。オスにはない美味しさです。

金沢出身の詩人 室生犀星は、香箱蟹(ズワイガニの雌は、金沢では香箱蟹、福井ではセイコ蟹と呼ばれている)が大好きで、東京に住んでいるときも地元から取り寄せて食べていたそう。確かにこれは他のものでは代替できない味だなぁと感心しながらいただきました。

セイコ蟹だけでお腹は膨れないのでお昼の定食も注文。私は、竹田の油揚げと浜焼き鯖に、小鉢、ご飯、お味噌汁が付いた「福井名物御膳」をいただきました。

竹田の油揚げは、厚揚げのような分厚い油揚げ。これを軽く焼いたものに、ネギと鰹節がかかった状態で出てきました。外はカリッと中はふかふかしていて、醤油をちょっと垂らして食べるとおいしい。

浜焼き鯖は、想像を超えるボリューム。身がふっくらと分厚く柔らかく、脂がのっていてとても美味しかったです。今回、蟹目当てで来たのですっかり失念していましたが、そういえば福井と言えば鯖、鯖街道の起点・小浜は福井県でしたね。予定していたお店が満員で入れず、偶然入ったお店でしたが、思いがけずおいしいものが食べられてとてもラッキーでした。

同行していた両親はこの後静岡まで帰らなければならないので、昼食後、少し買い物をしてから福井駅で解散。私は、大阪までさほど時間がかからないので、夕方までちょっと寄り道をしてきました。

福井県ふるさと文学館へ

寄り道の行き先は福井県ふるさと文学館。福井県立図書館内に併設された文学館で、福井ゆかりの作家や、福井を描いた作品の資料などを展示しています。福井駅からは少し離れていますが、駅前から無料バスが30分間隔で運行しているのでアクセスは悪くないです。

行ってみると図書館に併設というよりも、館内の一角が展示スペースになっているという感じ。展示ゾーンは手前から「福井の文学 プロローグ」「代表作家」「企画展」の3つに分かれていて、「福井の文学 プロローグ」は入り口部分に壁や扉がなく、完全にオープンになっています。文学館に行くぞと思わなくても、図書館に行ったついでに、ちょっと立ち寄って地元の文学について知ることができす感じの作り。間口が広くて良いなぁと思いました。

プロローグでは福井ゆかりの作家や福井を描いた文学作品が幅広く展示されていて、書簡や原稿といったよくあるタイプの展示だけでなく、俵万智の俳句を、トーストや缶チューハイ、チョコレートなど様々な模型に記した「俵万智のチョコレートボックス」や、作家ゆかりの店などを表現したジオラマなど、工夫を凝らした展示が印象的でした。

プロローグエリアは出入りしやすくオープンな作りですが、その奥に常設展「代表作家」と企画展エリアへの入り口があり、その先は壁に囲まれ落ち着いて鑑賞できるスペースになっています。

常設展「代表作家」で紹介されているのは、三好達治、中野重治、高見順、水上勉、津村節子の5人。展示パネルが読みやすく、遺品や自筆原稿などの展示品も充実していて、これらが無料で観覧できるというのはなかなか豪華だなと思います。三好達治の書幅「師よ萩原朔太郎」が見られたので私は大満足です……。

高見順の詩「おそろしいものが」をモチーフにしたムットーニ(武藤政彦氏制作の自動人形劇)も展示されています。

企画展までじっくり見たら結構ボリュームがあり、1時間ちょっとで帰るつもりが、電車の予約を1本遅らせて2時間くらいゆっくり鑑賞してから帰りました。

福井土産

さて、最後に福井土産の紹介を。

まずは羽二重餅。何店か試食した結果、やはり羽二重餅発祥の松岡軒が一番だなぁという結論に。上品な甘さと、口の中で解ける食感は、他店の追随を許しません。あまり日持ちしないので、自分用に2枚入の小袋を3つだけ買って帰りましたが、本当はもっとたくさん買って帰りたい……!

それから、福井の冬の風物詩といえば水羊羹。別名丁稚羊羹と呼ばれ「かつて、京都へ丁稚奉公に出ていた時代の名残で「奉公に出ていた丁稚が帰郷の際に持たされたから」など由来は諸説あるようです。

えがわの水羊羹が売り切れだったので、こちらも松岡軒で購入。

つるりと柔らかく、みずみずしい食感。甘さは控えめですが、黒糖の風味があるので物足りなさはなく、あっさりしつつコクのある味わいです。


魚もお菓子も、おいしいものがたくさんの福井旅行でした。次は獲れたてのホタルイカやワカメを食べに、春の若狭を訪れたいものです。

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掬屋一

食べることと読むことと旅することが好き。文豪ゆかりの食べ物を作ったり食べたりします。 C95 3日目 東P60bにて、文豪ゆかりのレシピを文献を元に再現する文豪ごはんシリーズを頒布予定。 https://musubiyahonpo.jimdofree.com/
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