なんで大学院行ったんだっけ

学部の4年間と修士課程の2年間いた大学を卒業*1する。
思考の整理としてメモを残そうと思った。

まず前提からいうと「大学院に行った方がいいですか」と聞かれても未だに人によるとしか答えることができない。そもそも良かったか悪かったかの答えを持ち合わせていない。ただし自分の思考の整理にはなったので将来自分の子供とかになんで大学院行ったのと聞かれたときには、「そういえばこんなこと考えてたな」という程度のメモを残す。大学院に行った、行ってない、中退したなどのエピソードは人それぞれなので誰かのものを否定するものでもないし、肯定するものでもないと思っている。

今回はなんで大学院に進学したのだろうという点にフォーカスして書く。大学院で何が得られたかについてはまた今度書こうと思う。

高校3年生の時、夏休みに勉強のために通ってた図書館で数学ガールを読みふけてしまい浪人した。その次の年は普通に受かった。学部1年の頃は教養のために数学や物理などをやったが浪人してたこともあったり数学*2が普通に好きだったこともあり余裕だった。学部2年になって情報工学科っぽい授業が増えた。僕はその当時プログラミングで何かを作るというより動く仕組みが面白くてなんとなく知識があったためそんなに苦労しなかった。学部3年になって授業も減ってきて暇だったので友達と何かモノを作ったり、インターンに行ったり業務委託を受けたりしていた。学部4年になる時に研究室の配属があったが成績もよかったので環境的に(研究的にではない)行きたかった研究室に入った。そして友達とモノを作ったり、それで海外のハッカソンに連れてってもらったり、業務委託を受けてこの頃は普通のバイトには戻れないくらいには稼いでいた。夏になり院試があったけど、成績的に内部推薦がもらえたのでそのままその研究室に進学を決めた。そしてブログを書くのが苦手だなと同じような感覚で論文を書いていた。卒業していく友人を見たときに始めて、ああ卒業する選択肢もあったなと思った。世間一般では大学院に行くことが選択であるような風潮があるが、僕は逆だと思っている。少なくとも自分の大学では逆だったと思う。卒業こそ選択で進学は自然なのだった。ただこのあたりからなんで自分は卒業という道を選択しなかったのかを考えるようになった。ここの試行錯誤は複雑でさっと答えが出るようなものではなかったが、結論だけを書く。一言ではモラトリアムなのだ。

モラトリアムとは、

年齢では大人の仲間入りをするべき時に達していながら、精神的にはまだ自己形成の途上にあり、大人社会に同化できずにいる人間 (デジタル大辞泉より)

モラトリアムも遊んでるだけとか様々な解釈があるのでイメージしづらいかもしれないけど、いい感じに言葉を置き換えてほしい。

まあこんな感じで自分はどうしても卒業するという決断が頭をよぎることがなかった。そこには、今思い返せば「情報工学へのなんとなくな理解」が原因としてあった気がする。「なんとなく」が重要で、僕は成績もよく授業がわからないということも全くなかった。だからこそ自分の学問に対する認識に疑問を抱いた。「本当に学問ってこんなもんなのだろうか」とか「もっと知らない何かが普通に眠っていてその表層しか触れることができなかったのではないか」とかである。これはある意味、後付けになるがエンジニアリングは情報工学*3の上に成り立っている。アルゴリズムとかはまさしくそうだがプログラミング言語1つとってもビルドツール1つとってもそれは情報工学の恩恵である。それに対する認識が揺らいで「〇〇エンジニア」というラベリングで就職することが怖かったのだと思う。怖かったというよりかは許せなかったに近いかもしれない。特定の技術(例えばAndroidアプリ)のエンジニアリングがしたかったわけじゃなくて工学を理解して世間一般でいうジェネラリストになりたかった。まさしく「自己形成の途中」だった気がする。今も今までも働くなかで関わったエンジニアの中には道具と学問の関連性を見出せていない人がいた。これは批判でもなんでもなく単純に自分がやりたいこと、なりたい人と違った。なので研究がしたかったわけじゃなく学習欲と自分の学問への認識に自信がなくなったことが大学院に進学した理由だと思った。結局論文をたくさん書くというような研究生活はしてなかったし。

腑には落ちたけど、まだそうなのかはわからないし5年後に考えたらまた違う気もするので「思った」で締める。

結局、上記の学習欲はある程度満たせたし、情報工学は修士2年追加であっても普通に学びきれないということまでわかったので僕個人としては行ってよかった。よく言われる苦学生などの問題もいろいろと縁があり個人事業主の収入でいわゆる新卒くらいは収入があったので運もよかった。大学院で得たものの詳細は、後日また書くことにする。このままではこれさえも公開できずに下書きが溜まることになりそうなので。

もしも何か質問があれば、コメントなり twitter なりで何か言ってくれれば言語化できる範囲で答えようと思う。

読んでいただいてありがとうございました。

*1 うちの大学は本当に卒業できるかは、卒業しないとわからないという大学なので卒業できるのかは知らない。

*2 ここでいう数学とは解析学と線形代数の初等しか指していない。怖い人がいそうなので念のため。

*3 情報工学だけではないことは当然理解していて、情報工学を中心としてその関連する学問を指している。

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