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行きずりの女の子とした話。

何時のことだろうか。
彼女とはもうとっくに分かれて居た頃だった。
僕は誰のものでもなかった。

ある夜に一人の女の子と話が盛り上がった。
曰く「私、割り切った身体の関係平気だよ。そういうの楽しめる方」
と云うことだったので、「成程、僕もそうだよ」と意気投合した僕たちは、一度きりの割り切った関係として身体を重ねることにした。
彼女はパーマをかけて居たかどうか……とにかく割と派手なヘアメイクをしており、顔にはそばかすがあったかな。目は小さめで、サバサバして良い意味で女を感じさせない子だった。
僕の好みのタイプではなかったけれど、僕はきっと向こうも僕のことは好みじゃないだろうなと思い、これなら本当に何の情も沸かず、お互いに行為自体を爽やかに楽しめる、と僕は考えたのだった。

更に夜が深くなる頃に、僕は彼女と自分の部屋に帰る。

僕としては至って普通に、特段思い入れも無く、その行為をした感じだった。
彼女の時のように丁寧にしたわけでもなく、最低限の前戯と特に思いやりを持たない、自分がやりたいようにやった出し入れをしただけだ。
1時間もかからなかったと思う。彼女の時は2時間でも3時間でも時間の限り楽しもうとして居たことを思えば、僕にとっては淡白な時間だ。

翌日、朝起きるとその女の子は僕に「女」の感じを出して、色目を使って腕を組んだり、いちゃいちゃして来た。
「ねーえ、あたしたち身体の相性すごくいいわね」
あなたもすごく良かったんでしょう? だからあたしたち、付き合わない?
そう云うような圧を持って彼女は僕に迫ってきた。

僕は困惑した。情とか絡まず後腐れなくさっぱりと出来るって話だったのに。全然違うじゃないか、と。
彼女の目はすっかり僕に惚れて居るようなそんな感じだった。
少なくとも僕にはそう見えたよ。

僕は普通にしたつもりだったのに、彼女としてはすごく気持ちが良かったようで、これはきっと僕のちんこの具合がよくて上手すぎたからに違いない、僕はなんと罪深い男なんだろうと我がことを思ったのでした。


これは夢で見た僕の前の人生の話です。

おしまい


性感帯ボタンです。