見出し画像

(11.5)恋の恋による恋のための恋



11はこちら↓


野暮と言いながら語りたくなったので隔離。
詞の話です。1番Aメロ以外の全てを話します。
前のnoteを読んだ前提で話していくのでそちらから先に。


読みたい人向けって事で。まあ曲が綺麗だからあまり酷い話にはならんと思うけど。



1番Bメロ

無様に恋に落ちた 無様に恋に落ちた  
薄氷の上 火花散らして舞うように

薄氷の上で火花を散らして舞ったら、当然氷は溶け、穴が開き、落ちていってしまいます。"恋に落ちた"と言っていますが、能動的に落ちに行っているように感じます。
一緒に居たくない訳はありませんね。疎まれ続けた『死人花』の蛆が湧いた心に脈を打たせるほどの君。恋心かどうかは分かりませんが。恋人なら一緒に居られます。



無様に恋に落ちた 無様に恋に落ちた 
かつて そう 馬鹿にしていた 淡い恋だった 
幼稚な恋だった 失敗だらけの

"恋"をどう捉えるかは難しいところですが、一緒に居たい人が出来るというのはこの彼岸花には理解できなかったでしょう。それが今では一緒に居たい"君"が居て。
また、一緒に居てくれる人なんて居ませんでしたから。



サビ

あの日 恋に恋して あの日 恋に恋して
やがて 恋を殺して 殺して 殺して

ここで初めて出てくる言い回しとして「恋に恋する」というフレーズがありますね。あまり良い意味では使われません。「恋に恋する」だと「"好きな人がいる状態"に恋している」というような感じで、「特定の誰かを好き」というニュアンスがそぎ落とされますものね。ただ、この彼岸花が「恋に恋する」とはどういうことでしょうか。
恋をする人なんて当然"君"しかいません。そしてなお、その「恋をしているという状態も好き」ということになります。彼岸花が言うからこそ映えるフレーズですね。
しかし、その気持ちは押し殺します。理由は何個もあります。恋は無様なものと思っていますし、まだこれが恋なのかすら分かっていません。恋と形容してはいるものの、"君"と一緒に居たいし"君"のことは好きだけど、恋なのかは知らないのです。傍から見ても分かるのに、彼岸花には分かりません。



溢れだす思い出 血まみれの夕焼け 
ひとりぼっちの部屋で とどめ刺せないまま

Aメロで"宵闇の帰り道 一緒にアイス食べた"とあります。それすら大きな思い出なのでしょう。陽が落ちて真っ赤になると、部屋でひとりでいてもまた夜の事を思い出します。気持ちに区切りをつける事は出来ず、殺せません。



あの日 恋に恋して 人みたいな顔して
狂おしい 恋の恋による恋のための恋は
恋は 身勝手な恋だった

ここもピノキオピーの技術が光ってますよね。[人を人に擬人化する]詞。VOCALOIDだから為せる大技とも言えます。ここヤバいので是非覚えていてもらえれば。あとタイトル回収。
恋人になりたい、一緒に居れるから。でもこれが恋がどうかも分からない。何をしていいかも分からない。でも考えてしまう。狂おしい。
まさに幼稚な恋でした。



2番Aメロ

マニュアルを疑って 駆け引きはヘタクソで
幸せな将来を あてもなく信じてた
思惑はすれ違い 価値観は食い違い
二人の笑い声が遠ざかって 

どうしたらいいかも分からないけど、彼岸花は毒持ちです。周りの定型なんて信じません。自分を疎んできた周りの定型なんてクソくらえです。でもどうしたらいいかは分かりません。
ただ、"君"は"笑顔と声"をくれます。"君"との将来なら信じられる気がしています。何より幸せですから。信じられる気がしていました。
でも上手くはいきません。ひねくれた彼岸花と真直ぐな"君"は次第に距離を置きます。



Bメロ

未熟な恋を知った 未熟な恋を知った
街灯の下 はしゃぎ回る虫のように

彼岸花はこのタイミングで初めて自分は恋をしていたと認識します。熟れていませんが、知ってしまいました。
また、蛆が成虫になった蠅は走光性で光に向け飛び回ります。蛆の湧いた心は脈打ち始めはしたもののそのまま誇大化して虫が湧き始めていました。まさに光そのものである"君"に手を伸ばそうとして幸せそうにしていた彼岸花。



未熟な恋を知った 未熟な恋を知った
「痛かったでしょ?」

更に毒を持つ彼岸花。一緒に居てくれたことを嬉しく思いつつもひねくれた毒を吐いてしまったことに気づき「痛かったでしょ?」。これはぐっと来ますね。



サビ

あの日 恋に恋して あの日 恋に恋して
やがて 恋を亡くして 亡くして 亡くして

恋をしていたことに気づいた彼岸花。ただ"君"に毒を吐いてしまい、一緒に居てはいけない、恋をしてはいけないと心を塞ぎます。そして、また彼岸花は心を死人のようにし、腐らせていくのです。



傷だらけの気持ち 切り刻んだ三日月
楽しかった分だけ 捨てにくくなったな

ただ忘れられるはずはありません。"宵闇の帰り道 一緒にアイス食べた"事をまた思い出してつらくなります。日を重ねて一度は丸くなった月も半月になり、三日月になります。あと三日で新月(=宵闇)が訪れるな、なんて事も考えてしまいました。心は腐っても亡くせはしません。



あの日 恋に恋して くだらない嘘ついて
浅ましい 恋の恋による恋のための恋は
恋は 腐っても恋だった  
幼稚な恋だった 

「一緒に居たくない」くらいの嘘をついたのでしょう。恋をすることを無様と言っていた彼岸花は、恋を捨てることの方が余程浅ましく無様だと嘆きます。心は腐っても恋しい気持ちは捨てられません。
あまりにも滑稽で幼稚です。



ラスサビ

あの日 恋に恋して あの日 恋に恋して
やがて 恋を殺して 殺して 殺して
殺して 殺して 殺して 殺して
殺して 殺しても 消えない

消えません。



あの日 恋に恋して あの日 恋に恋して
やがて 恋を殺して 殺して 殺して
溢れだす思い出 血まみれの夕焼け 
ひとりぼっちの部屋で とどめ刺せないまま
あの日 恋に恋して 人みたいな顔して
狂おしい 恋の恋による恋のための恋は
恋は 恋は よくある過ちだったけど
それでも 確かに 恋だった  
確かに 恋だった

1番サビの繰り返しで気持ちのフラッシュバックが起きます。
そしてその落としとして"よくある過ちだった"と言い捨てます。これは覚悟のある言葉ですね。「間違っていない!」と意固地になってしまう人って世に多くいると思うんですけど、彼岸花が言う通りこの恋は過ちでした。但し仕方がありません。"確かに恋だった"と言える彼女は、このことをしっかりと"恋"と理解して、生きていける事でしょう。
そんな彼女はもう彼岸花ではありません。心の虫たちは・・・分かりませんが、毒はもう持ち合わせていないでしょうね。





長々と書いていきましたが如何でしたでしょうか。
あまり考えずに書いたので「つまり・・・?」と言われると返せなさそうですが。



また聴いてくださいね。

恋の恋による恋のための恋 / 初音ミク
https://www.nicovideo.jp/watch/sm35340226

じゃあね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?