風邪の効用

朝、電車の中で咳と鼻をすする音があちこちから聞こえる。隣の高校生らしき男の子もさっきから咳払いを何回もしている。かと思ったら、パッと上げた腕が私に当たった。横をチラッとみると、鼻を手で拭いながら熱心にスマホゲームをしている。あまりにも鼻をグズグズ、そして時折強く咳込むので、隣になったことを悔やんだ。

若い頃は風邪が怖いとか、思ったことがない気がする。熱が出れば、学校を休めると嬉しいくらいだった。年をとると、風邪がすんなり治らなくなった。咳がいつまでも止まなかったり、鼻が半端なく出たりで、風邪が体の中から出ていかない。ひどいときは1ヶ月を超えたこともある。隣の高校生はちょっと風邪気味だけど、すぐ治るのであろう。

家に帰ると、夫が咳をしていた。子供にうつったらまずいとばかりに、マスクをつけて!と叫ぶ。風邪を怖いと思うのは、家族で散々病気共倒れになった経験からかもしれない。そして、この風邪を恐れる体質は、結果長生きに繋がりそうな気もしている。


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