ネギ女

会社帰りにネギを買った。地下鉄入り口近くのデパ地下で見つけた白ネギは298円だった。安くも高くもない。どうしても夜のおかずで作る肉味噌に入れたかった。レジで支払い、2本の立派な白ネギはデパートのビニール袋に入れられた。袋から青い部分が飛び出している。それを受け取り、電車に間に合うよう急いでいく。デパ地下を小走りで抜け、地下鉄への通路にでた。ネギを持った女が走っている、と周りは見るであろうか。持っていたネギの袋を両手で持ち、半分にへし折って袋ごと自分のカバンに入れた。わたしもこんなことを表情変えずに出きるようになってしまった。前によく通った八百屋は半分に切って袋に入れてくれた。あれは非常にいいサービスだったと今は思う。
電車には間に合った。隣の男性がこちらをたまに見るのは、私のカバンが当たってしまったのか、それともネギの臭いがするからかは分からない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?