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歩くこと

たぶん、一人で山に登る、ということを覚えてからだと思う。

歩きはじめの15分。
自分のカラダをひとつひとつ点検していく。
左足、指先、おっけー?
右足、股関節の調子は?
腰、背中、肩、腕、手、、、
今日のカラダは重い?軽い?

普段はまるでじぶんの「持ち物」であるかのように扱っている身体と、山に入ると対話が生まれる。大切なパートナーであることを否が応でも認識するからだろうか。
そのたびに、大学時代の恩師がことあるごとにしてくれた「所与の身体」「所有の身体」の話を思い出す。

歩きはじめて30分。
その山の雰囲気や、自分のコンディションにもよるのだと思うけど、身体が山になじむというか、包まれるような安心感を覚えるときがある。
さっきあれほど意識していたじぶんの身体と、周囲との境界線が曖昧になり、じぶんもなにか大きなものの一部になったかのような感覚。その感覚はそんなに長くは続かない。全く感じない日もある。


早朝の清々しい空気を胸いっぱいに吸い込む。
一定のペースで高度を上げていく。
柔らかな風が吹くと、ほんのりと甘い香りがした。
高山に生きる草や花の生命の匂いなのだと思う。
むせ返るような夏の生命力の香りとはまたすこしちがう、儚さと力強さを併せ持った匂い。

山歩きが好きだ。
たまらなく、好き。

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nana

長崎生まれ、北海道育ち。馬と山が好きです。2018年の夏~秋は北アルプスの山小屋で働いていました。いつかユーコン川をカヌーでくだりたい。
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