麻美

さいはて

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恋のゆくえ

そのシルエットを、匂いを、わたしが忘れるはずがなかった。 午後22時、×××通り。目の前を通ったのは、まぎれもなく、あなただった。 5年前とは髪型も違う。当然、纏うものだってまるきり変わっていたのに、わたしの両眼はあなたの姿かたちを射止めて離さない。そこに、探し続けたあなたがいる。あいたくて、おそろしくて、それでも焦がれずにいられなかった、かつての恋人がいたのだ。 あなたは、ちいさなかばんをさげていた。ああ、と思う。多分あれは、お弁当。風の噂に聞いた、料理上手な伴侶のシル

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