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初めて人間の怖さを覚えた日


忘れてはいけない、あの悪意の目を向けられた
昼のことを、、、
小説ならこう始まる。

あれは僕が小学2年生の頃、Wiiが我が家にやってきました。
それに伴い、ゲームキューブを従兄弟(当時小学1年生)にあげることになったのです。
いや、あげるのではなく売るだ。
確かカセットもリモコンも全部売り
そのお金でWiiのソフトを買ったのを覚えています。
従兄弟すなわち親戚だからあげろよ、ケチだなと
思われるかもしれないですが、売るのがケチなんじゃなくて、あげるのが優しい行為であって
売るのは至って普通の行為です。
基準を間違えないでほしい。

従兄弟の家に僕ら兄弟が遊びに行った時、そのゲームキューブで遊ぼうとなりました。
マリオカートです。
ゲームキューブのマリオカートは二人乗りという
ゾクゾクするコンセプトで僕達は大盛り上がりしました。
僕はこんなにマリオカート面白かったのかと
これは家でもやりたいなと思いました。
元はというとマリオカートは僕達のもの、
僕は従兄弟にマリオカートだけ返してほしいと
お願いしました。
しかし、従兄弟はもちろんその申し出を拒みました。

そりゃそうだ、マリオカートは面白いし、
一度あげたものを返せなんて今思うと剛田すぎるなと思う。

いつしかマリオカートにも飽き、僕達は
外でサッカーする事にしました。
外から帰ってくると従兄弟がもう一度マリオカートをやろうと言いました。
ここで事件が起きます。

従兄弟がマリオカートのカセットが無くなったと
騒ぐのです。

僕はどうせどこかにあるだろうと水を飲んでいると、従兄弟が僕の目の前に来て
「たっくんマリオカート取ったやろ!返せ!」
と言ってきました。

従兄弟はマリオカートを返すのを拒否したから
僕が盗んだと思ったのでしょう。
まだ小学2年生の僕には、迷いなく疑いの目を向けてきた従兄弟が恐怖でしかありませんでした。
さっきまで仲良く遊んでいたのに
どうして犯人と疑われているんだ、
そんな事するはずが無いのに、
僕は今にも泣き出しそうになりました。

電車で痴漢していないのに痴漢したと騒がれる
サラリーマン。
その時の僕と同じ気持ちだろう。
僕は身分証明書を出したり、その場から逃げれば良かったのか?

しかし、従兄弟はそんな隙を与える事なく
僕の身体検査、荷物検査を始めました。
僕のポケットを探索し、僕の緑のリュックサック
の中を全部調べました。怖い。

けど、もちろん見つかりません。
従兄弟は涙目になりながら騒いでいるのです。
もう途中から僕のせいにする事で、自分が無くしたかもしれない罪悪感、責任感を擦りつけようとしているのではないかと、
今思うとわかるのですが、あの頃の僕にはわかりませんでした。

いつまでたってもマリオカートは見つからず、
従兄弟もずっと騒いでいるので仕方ないと思い
僕は自分の筆箱に隠しておいたマリオカートを
しれっとテレビの下に置きました。
そして、従兄弟にマリオカート見つかったで!と
報告しました。
従兄弟は安心したのか、
僕に見つけてくれてありがとうと
さっきまで疑っていたのに見事に無かったことになっていました。
まあでも、マリオカートが見つかって良かった。

無事マリオカートが見つかり、事件が事なきを得たので僕達はまた楽しくマリオカートをやりました。


またいつかみんなでやろーね

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