法務が最強のビジネスマンの素地を作る

 ここ最近法科大学院の人気が低迷し、弁護士や企業法務に携わる優秀な若手人材が減少する可能性が危惧されるところです。
 ただ、私は「法務業務に携わること」や「法律を学ぶこと」は、ビジネスパーソンの基礎構築に大変有意義だと感じています。

事実を大事にすること

 法学部や法科大学院で勉強していても、実務に出ても、「事実を大事にしろ」と口酸っぱく指導されるかと思います。その結果、殆どの法務、法律に関わる方は、事実を大事にしておられることと思います。

 ビジネスパーソンにおいても、「リサーチ」という名の事実の拾い集めを日常的に行います。我々は「何が事実か」を探求することから逃れられないわけです。
 若手社員が、上司や先輩から「それは事実なの?あなたの推測なの?」と詰められる光景がよく見られますよね。

 とはいえ、実際のところ、何かを判断する際に、綺麗に整った事実が出揃うということは稀です。

 社内的にイケイケモードな案件は、フェルミ推定などを用いて、事実らしく組み立てた説明でも乗り切れるかもしれません。
 しかし、Go/Non-Goの判断が難しい案件は、事実と推測をきちんと切り分けるという発想が、判断権者に正確な情報を与えるという意味で、重要になります。

 私の最近の経験では、我々が製品の製造を委託している中国企業が、長期間にわたり、勝手に他社に製造を再委託していたということがありました(事前の書面による承諾なき製造の再委託は、契約書にでも禁止されている事項です)。
 これは、中国という遠隔地ゆえ、コミュニケーションの殆どがメールになり、担当者をはじめ、我が社の人間が現地に赴かなかった結果起きたものでした。

 遠隔地であれ、きちんと目で見て、耳で聴いて事実を掴むことの重要性がわかる好例かと思います。

言葉を大事にすること

 法務の代表的な仕事として契約審査があります。ここでは特定の用語を定義し、それを当事者間の共通理解として約束事を決めていきます。不用意な言葉の言い換えを許容すると、各々の理解に齟齬が出る可能性があるからです。
 従って、法務パーソンに言葉の定義を軽視する方は少ないでしょう。

 ビジネスパーソンにおいても社内外問わず、言葉の定義の違いに翻弄されるケースがあるのではないでしょうか。

 私の勤めるメーカーでは、製品に関する議論の中で「デザイン」という言葉がよく登場します。一般的な語法では、デザインは主に外観を指すことが多いですが、開発行為でいうデザインとは、「設計」を指し、大きく意味合いが異なります。
 私も最初は前者の意味で使っていると思い込んで話を聞いていて、ちんぷんかんぷんになったことがありました。

 相手方と共通の理解をするために、言葉の定義を大切にすることは、ビジネスパーソンにも必須の姿勢だと思います。

論理的に考えられること

 「ロジカルシンキング」という言葉が普及して久しいですが、無論、法学に論理的思考は不可欠です。

 法的問題の解決は、法律の条文からスタートし、仮に条文にはドンピシャの定めがなくても、その条文が「どういった趣旨で設けられたのか」に立ち戻って目前の解決を図ります。

 こういった「趣旨に立ち戻る」という考え方は、ビジネスパーソンが行き詰まった時の一つの手段として有用なのではないでしょうか。

 例えば、ある会社で毎年恒例となったイベントの本年度におけるコンテンツを考える場合、そもそも当該イベントが既存顧客への感謝を表すイベントなのか、新規顧客を獲得するためのものなのか、はたまた社員の福利厚生のために行うのか、といったイベントの目的や趣旨を考えることは大変重要です。
 なぜなら、そういった発想が、当該イベントをブレないものにしますし、逆にマンネリを防いだりすることの一助にもなるからです。


 勿論、ビジネスはロジカルさで全てが解決するわけではありません。ただ、今更ロジカルシンキングという言葉が流行ったところを見るに、多くのビジネスパーソンが、趣旨・目的に立ち戻って考えることを意識してこなかったのかもしれません。


 以上、見て参りましたように、法務パーソンの潜在的なビジネス基礎力は高いはずです。

 まだまだ日本では、法務出身者が、法務領域以外で活躍することが少ないですが、非常に潜在能力の高い人材の宝庫であることは間違いないと思っています!!

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ぼっち法務

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