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絵本を数千冊読んで見えてきた世界(2)

今回の内容は以下のようになっています。(2900文字 読了目安3.5分)

▼読み聞かせの本当の目的、意味
▼読書の本当の目的、意味
▼「答えはすべて自分の中にある」という言葉の真意
▼旅の本当の目的、意味
▼絵本、音楽、哲学、数学などの古典(クラシック)に凝縮された情報とは

▼読み聞かせの本当の目的、意味

「僕が誰かに、何を子供に読んであげたら良いか聞かれた時に答えるのは間違いなく、日本名作絵本や世界名作絵本、アンデルセン童話、グリム童話や神話などの古典的なものだ。」

前回の記事「絵本を数千冊読んで見えてきた世界(1)」でこのように書きました。

なぜ、これら古典的なものが良いのかというと、それら古典ストーリーには生きるための術、社会の中で自分がどうやって生きていったら良いか、どうやったら人から応援されるのか、何をしたら人から嫌に思われるのか、何が危険で何が安全なのか、これらがふんだんに盛り込まれているのです。

もしかしたら人生に必要なことの殆どが絵本の読み聞かせで事足りるのかも知れないとすら思います。

つまりそれは大人が読むにも値するもの、子供の時の忘れ物を、取りに帰れる作業とも思います。読み聞かせは大人にも子供にも効く、超一石二鳥の手段なのです。

実際、人が普通に社会で生きるには小学校3年生レベルの知識で事足りるという話もあるくらいです。

例えば、狼と七人の子ヤギにしたって、単に「知らない人が来たらドアを開けちゃいけませんよ」というよりは、ストーリーに乗せてメッセージを持たせた方がより、臨場感があります。

舌切り雀や、花咲か爺さんでは悪い老夫婦と善良な老夫婦がでてきて、悪い老夫婦に罰が当たる様子を見て学び、善良な老夫婦が幸せになる様子に歓喜するわけです。

子供の想像力ではまるで自分がその世界に入ったかようなスリルを味わうことでしょう。

そのようなストーリーは、想像力の塊である子供の中では実際に体験したものと同じなのです。

▼読書の本当の目的、意味

私がインドのヨガ留学で出会った2人の友人は本を大量に呼んだ後、本を読むのを辞めました。

「答えは全て自分の中にあるからと悟ったから」だそうです。

その2人はもともとかなりの読書家でした。

1人はヨガの先生で数年間の間に2万冊の本を大学の図書館で読み漁り、必要なところをPDFにして読み込んでいたそうです。

そして突然、読むのを辞めた。

彼が現在頼りにするのは自分がまとめた手書きのA4ノートです。

そしていまだに手書きで小さなホワイトボードにマジックで書いて解剖学や哲学の授業しています。インドは「説明文化」といわれ、固定の資料に頼らず、その先生は毎回授業で同じ図や文字を書いて説明を中心とする授業を行います。

もう1人はアメリカで軍人を辞め、旅人、フルート演奏家、アーティストになった人ですが、その友人も「答えは全て自分の中にある」と、インドのヨガ留学中にヨガ哲学の本をガンジス川に流しました。

僕は本の中の世界を臨場感を持って体験したのであれば、それはもう自身の体験として心に根付いたも同然と考えています。

たとえば僕は以前、東野圭吾さんの「さまよう刃」を読んだのですが、「さまよう刃」は主人公が妻を亡くし、娘を唯一の宝として育てたというエピソードから始まります。その大切な娘が少年犯罪にあってしまうのですが、主人公である父親は、その犯人を殺しにかかる計画を立てます。そのストーリーは憎悪の念の描写が非常に生々しく、もともと穏やかであった主人公の感情の起伏を非常に如実に表しており、僕はとても悲しい気持ちになり、絶望を味わい、自分も実際にその犯罪の当事者となったかのように心に燃え盛る刃を持ちました。読んだ後、衝撃で頭が暫くの間くらくらしてしまいました。

そして、2015年に川崎で起きた少年犯罪のニュースを聞いた時に「さまよう刃」のストーリーを思い出し、同じように悲しみと怒りの気持ち、酷い憔悴感のようなものが再度自分の中で湧いてくるのを感じました。

「さまよう刃」は僕の中でもう実際に体験したも同じなのです。この本を読んでから少年犯罪について調べたり、ニュースに敏感になるようになりました。子供と大人の境目とは一体何なのかを考え、問題意識を大きく持つきっかけとなりました。

前述した、本を読むのを辞めた2人に関しては、本をたくさん読むことで、本の中での体験を済ませると、どこかで自分に必要な情報の臨界点に達し、本を読まなくなるようになったものと思われます。この臨界点は人それぞれだと思いますし、臨界点がない方もいると思います。

彼ら2人には自分と自分の周りの人を幸せにすることにはもう十分な体験を本の中でしたし、新しい発想は人との関わりの中で手に入れるということなのだと思います。実際ヨガの先生に関しては、本を読むのを辞めてもヨガの聖地リシケシで1,2を争う知識と経験の持ち主です。

▼「答えはすべて自分の中にある」という言葉の真意

▼旅の本当の目的、意味

僕は本を読むことは知識を着けるとか、新しい事を発見するのではなく、そのストーリーに触れることで自分がどう思うか、感じるかを通し、自分自身を思い出す行為だと感じています。旅も一緒で新たな体験、発見をすることが目的ではなく、まだ見たことのない景色、話したことのない人種の人々に関わることで、自分がどう思うか、感じるかを通し、自分を思い出す行為だと感じています。

「答えはすべて自分の中にある」の真意はそういう事だと思います。もう元の自分を全て思い出したのであれば新たな本を読む必要も、体験をする必要もありません。

▼絵本、音楽、哲学、数学などの古典(クラシック)に凝縮された情報とは

話は戻りますが、応援される人生、人に貢献する人生、基本的に人が陥りやすい過ち、失敗、こういったものを臨場感を持って体験できるストーリー、それが古典と呼ばれるものなのだと考えています。

絵画にしろ、音楽にしろ、数学や哲学、学問など、後世に受け継がれ、語り継がれるものや理論などは、昔の人が体験した経験がふんだんに凝縮されて詰まっている人類の歴史と学びだと思います。ことわざや慣用句、妖怪などの発想もそうだと思います。だからこそ今の今まで残ってきているのです。

読み聞かせの時は、それを意識して是非絵本をお子さんと楽しみましょう。
お子さんがいない方は子供の時の忘れ物を取りに帰る気持ちで絵本を読んでみましょう。

子供は読み聞かせから勝手に感じ取ってくれますので無理に教え込もうとしないで大丈夫です♪( ´▽`)

また一見、駄作に思えるような本でも子供が妙に食いつくものがあります。それは特に大人が理解し得ない、その子の個性に必要なものが何か入っていると僕は感じています。そういうものは惜しみなく読んであげたいですね。

今日もお読みいただき有難う御座いました。

ことり 拝

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