見出し画像

Baseball Savantに新しい盗塁阻止評価が登場!

※こちらの記事は、野球データサイト「1.02」の有料会員向けに配信しているメールマガジンの一部です。有料会員になるとメールマガジン配信のほか、守備指標UZRや総合指標WARなど、日本ではほかに見られないセイバーメトリクス指標も自由に閲覧できるようになります。ご登録は↓から。https://1point02.jp/op/reg/mailreg.aspx

Baseball Savantに登場した捕手盗塁阻止評価の最新型

 4月の終わりにMLBが運営するデータサイトBaseball Savantに、Catcher Throwingという選手評価ページが追加された。捕手の盗塁阻止評価だ。Statcastで得られたトラッキングデータを使い、捕手の盗塁阻止評価できるかを試みたページだ。ここで追加された盗塁阻止評価はこれまでのものとどのような違いがあるのか、解説を行ってみたい。

 まず一般的なレベルから話を始めたい。最もポピュラーな盗塁阻止評価といえば盗塁阻止率だろう。近年のNPBでは平均は3割強。4割を超えればかなり阻止率が高い。多くの人が捕手の盗塁阻止能力を測る際に参考にしているのではないだろうか。

 ただこの盗塁阻止率で捕手の能力を正確に測れているかというと疑問が残る。まず真っ先に思いつくのが責任範囲だ。盗塁阻止率は阻止の成功、失敗をすべて捕手の責任としたスタッツだ。しかし現実における盗塁阻止の作業はそう単純なものではない。盗塁阻止はバッテリーの共同作業である。投手のクイックモーションが遅ければ、いくら捕手が良い送球をしても盗塁を防ぐことはできない。

 実際、すでにこの責任範囲については研究が進んでいる。盗塁阻止は以下の2つに分解することができるが、NPBを対象にした研究[1]によると、このうち盗塁阻止率に影響が大きいのは②より①。より影響が大きいのは、捕手よりも投手が使う時間なのだ。

①投手のモーション開始からミットに届くまで
②捕手の捕球から走者へのタッチまで

 これらからも盗塁阻止率が捕手の盗塁阻止能力を測るのにふさわしくないことはわかるだろう。盗塁の成否は投手に大きく左右されるのだ。そしてBaseball Savantで新たに導入された捕手の盗塁阻止評価ではこの問題が克服されている。盗塁阻止から投手の影響力を除く仕組みが取り入れられているのだ。

ここから先は

1,844字 / 1画像

¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?