師匠への手紙 (472字)

意地という名の呪いで苦しんで、意地という名の呪いで生かされて、呪いが解けたらポックリ逝った。お元気ですか、師匠。こちらは桜がきれいです

お互い、もう少し朗らかに生きてみたかったものですね。師匠がいなくなって三十年、私もずいぶん歳をとりました。今、自分の意地を捨てるか捨てまいか、迷っています。私はまだ間に合うでしょうか

お花見の時期になって、我が家に弟子たちが遊びにやってきました。あんなにろくでもなかった奴らが、今は本当に立派になって、伸び伸びと生きています。苦労もあるでしょうが、明るく楽しそうです。はっきり言って、うらやましいです

何代にもわたって、私たちは意地を継いできました。それが私たちの仕事であり、使命であり、業であると思っていました。やるしかないのだ、しょうがないのだ、と。おかげで皆様に多少は笑顔をお届けできました、多少は評価もされました。ですが、楽しくはありませんでした。だから私は覚悟して、意地を弟子に伝えなかったつもりです

師匠、私は呪いを解くことができたのでしょうか。師匠、私はまだ、間に合うでしょうか。こちらは桜がきれいです

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