1人だと寂しいことに年2回悩まされる話~秋川滝美『居酒屋ぼったくり』~

 お久しぶりです。おじゃまたくしです。感染対策をしたうえでお盆帰省していました。すこぶる元気です!明日からバイトなのでそれが唯一今元気がない原因です……(笑)

 実家に帰省するのはお盆と年末年始の年二回。大体いつも四日~一週間バイトのお休みを取って地元に戻る。私は実家も家族のことも本当に大好きで、二ヵ月に一回母には会うけれど、それでも実家で母の料理を食べたり、妹や弟とテレビを観たり、そういう時間が大好きなのである。自宅に戻る帰りの公共交通機関に乗った瞬間、というかじゃあそろそろ行くねと荷物を持った瞬間からもう次の帰省のことを考えているのである。

 考え始めたところで自宅に戻らなければならない時間は刻一刻と迫っているから実家を出なければならぬ。四か月半後の帰省を楽しみに玄関のドアを開ける。

 そうして夕方自宅に戻ってきて、母に到着したよと連絡を入れ、片付けをして本を開く。なんとなく団らんとかそういう暖かさが恋しくて百冊以上が収まっている本棚から選んだのは秋川滝美先生の『居酒屋ぼったくり』である。

 『居酒屋ぼったくり』はアルファポリスから出版されているシリーズ作品で、舞台は東京下町にある居酒屋「ぼったくり」。屋号がいささか物騒であるが、ここは美音と馨の姉妹が亡くなってしまった両親に代わって営むお店で、いつも常連客で賑わっていて、美味しい料理やお酒もあって、暖かな時間が流れている。「美味しい」物語なのだ。

 食べ物がキーになる物語は読み終えたらいつも「ごちそうさまでした」と言いたくなってしまう。坂木司先生の『和菓子のアン』シリーズ、成田名璃子先生の『東京すみっこごはん』シリーズ、喜多みどり先生の『弁当屋さんのおもてなし』シリーズ、大沼紀子先生の『真夜中のパン屋さん』シリーズ、有川浩先生の『植物図鑑』……全部美味しいのである。「面白かった」より「ごちそうさまでした」の方がふさわしい。そしてこの手の小説はどこかしらに暖かい気持ちになれるポイントが含まれていて、読んだ後にほっこりするのだ。

 実家から帰って来た日の夜はものすごく寂しい。だからその寂しさを埋めるように本を開く。『居酒屋ぼったくり』シリーズはその役にぴったりの本だ。ほっこりした気持ちで眠りにつくことが出来る。年二回悩まされる寂しさも紛れるのである。あ、実家に欲しくてたまらなくてようやくまわせたガチャガチャ置いてきちゃった……

知識をつけたり心を豊かにするために使います。家族に美味しいもの買って帰省するためにも使います。