火星人襲来ーその8

すみません。ポンコツ物語続けていきます。

まずこの火星に本来一番乗りをしたジュリエットとロメオ、じゃなかった、メアリーとジョンはその働き(酸素発生装置、貯蔵庫、人間の住める住居の建設)に比して、全く無視されていくわけです。彼らアンドロイドの生みの親山本タカシ氏は、大々的に宣伝された200人のクルーの中に含まれているはずだったのですが・・・・・。この時の年代は2038年で、2039年初頭に人間のクルーが到着します。

200人のクルーを乗せたロケット(というよりは飛行船)はジョンとメアリーが乗ってきたロケットより500キロほど離れた場所に着陸した。その到着場所は経済省の野田事務次官と相野ロボット工学研究所の影の理事長山本タカシ氏の計画に沿ったものだった。一番乗りと信じこんでいった200人のクルーをがっかりさせないようにという配慮だったが、ジョンとメアリーのロケットはほとんど跡形もなく分解されそのほとんどは資材に使われていたので、誰も見ることが出来なかった。それに貯蔵庫も住居も地中に埋め込まれていたので、飛行船から肉眼で見ることもできなかった。

ジョンとメアリーに組み込まれていた自爆装置はへその部分に埋め込まれていて、飛行船が火星到着と同時に作動をした。間一髪でお互いのへそからジョンとメアリーは自爆装置を取り出してできるだけ遠くに投げたつもりだったが、目の前で爆発したように見えた。

確かに3メートル、500キロの自分たちを爆破させてパーツを残らさせないためにはかなりの爆発力が必要とされているのがわかるが、これほどのものとは思わなかった。爆発と同時に自分たちの体はふわっと浮いて背丈ぐらいの高さから地面に落ちた。

アンドロイドに本来は感情がない(と思われていた)はずだったが、ジョンとメアリーは山本タカシの非情さを感じ徐々に怒りが体を包んでいった。

メアリーとジョン、アンドロイドが建設した構造物の場所を知っている唯一の人間山本タカシが、自分たちがいるこの場所に来ることがわかっている。ジョンとメアリーは受け入れ準備を進めていって、息をひそめるようにして山本タカシの到着を待った。山本タカシが見るのは地中に埋められている貯蔵庫、住居、酸素供給装置だけで、ジョンとメアリーの姿は消えているはずだった。

                          ー続くー


ドイツ生活36年(半生以上)。ドイツの日常生活をお伝えいたします。