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20240129 深夜

仕事のやる気がなくなりすぎてやばい。仕事中にめっちゃ服を調べてしまう。というかヴィトンのエピの赤いバッグかわいくね? ボストンの形をしたハンドバッグが欲しいと思い続けてはや二年くらい。スピーディー25ってかわいいですね。でもYahoo!知恵袋によるとレディースのものなのでメンズが持つと変です、あの丸みは女性を連想させます、とかかいてある。2019年の質問。あーはいはいこういうのもういいよ、みんな好きなもの着て好きな鞄を持てばいい、でも街でオンザゴーとかディオールのキャンバスのでかいバッグなどをこれみよがしに持ってる人を見るとあっ、と思ってしまう自分もいて本当に気持ち悪い。けっきょくは人間は人間なので己の価値基準でしか多様性を認識できない。強くなりたい、もう強くなりたくない、誰が願わせたの?(出典)。お互いに。

ていうか本当に多様性という言葉が大嫌い。昔好きだった自分が本当に信じられない。多様だから、今はそういう時代だからで他人と簡単に一線をひいてしまえるぶん、昔より今のほうがグロテスクな無関心、冷笑がはっきりと浮き出てしまっている気がする。なにか自分の価値観の外のものが目の前に現れたとき、あーねとそのまま目に映らなかったようにスルーするのか、この人なりのバッググラウンドや考えがあってのことなのか、と考えるのか、どっちが正解なのかわからない。どちらの行動も振り切れる方向によってはともすれば名誉毀損、攻撃に繋がりかねないだろう。じゃあどうすればいいのか。今のままでいい? まあ平和だしね。そんなわけないだろ。

自分のバッググラウンド、というかそれに付随するエピソードを親友に話したことがある。そんなのつらすぎる、と言ってくれたことをずっと折に触れて思い出している。宝物のような思い出だ。夜、車でラーメンを食べに行った帰り。彼みたいな人間がたくさんいればいいのかもしれない。でも俺はたまたまその言葉に救われただけで、似た境遇にいる別の人は救われない、むしろ腹が立ったりもするのだろうかとも思う。

自分もそうだから、理解されないことがこの世の中には多すぎるからあらゆるままならさに寄り添いたいけど、本当にあらゆるものに寄り添った結果、その人の振る舞いに期待した人が意見とか指摘とかいったニュアンスで放ってきた攻撃的な善意でその人ががんじがらめになっているといった光景をたくさん見る。ネットで。現実ではあまり見ない。肉体が伴うと善意って行使しにくくなるのかな、と最近考えたりしている。ついこの間、京都を歩いているときにたまたま出会ったパレスチナが直面する虐殺に抗議するデモでチラシをもらったときのことを思い出す。反射的に受け取ったしそうするべきだと思ったからそうしたけど、俺はその人に何も言えなかった。彼女にとって俺はどんな人に映っただろう。イヤホンをして、背を丸めて、次の目的地である河原町の喫茶店に向かおうとしていただけの銀色のトラックパンツを履いた二十代後半の男に、なにを思っただろう。人は見た目だけではわからないとはいうけど、言葉がないとその人のことを理解できないのは当たり前では、と思う。〇〇な見た目の人はこう、みたいなのあるあるネタとしては面白いけど実際は違うし、それをあるあるやフィクション以外の場所で振りかざしてくるやつは怖い。
それはそうと、虐殺や権力の横暴さに反対するのは俺は当たり前だと思ってるし、正直この国で生まれてこの国の教育を受けてしまった以上、どこか過去の亡霊や権力者が残した不都合で気持ちの悪い「仕組み」が体のどこかにはびこっていることには自覚的でなくては、と思っている。でもそうではない人もいる。というか普通に暮らしている分にはそうではない人のほうが明らか多い気がする。去年放送された某ドラマを「あれはなよっとしたドラマと違うよ。攻めてるな、覚悟が違うな、と思った」と評していた職場の人みたいな、そんな空気。だから声を出せばよかった。自分の考えを。立っている場所を明確にしたかった。でもできなかった。その後普通にコーヒーとケーキを食べて、古着屋を冷やかしてホテルに戻った。次の日には文学フリマ京都があった。

なんで毎日こんな透明みたいな感じを装って過ごさなくてはならないんだろうね。だったら人間なんてぜんぶ同じでいいよ。でもこれはあらゆることに考えを巡らす人間が増えればいい、と唱えることも同じことだろう。自分にとって都合のいいものが増えればとうぜん生きやすくなる。でもそれじゃだめなんだって。正直思考や思想なんてあればいいよどっちでも。でも、もう少し考えたい。それが人間ってものでしょう? ただの動物になるほうがみんなお好きなのか? そうですか、みんながその気なら俺は鷲になりたい。それが何も知らない、生まれてこなくてもよかったかも、と一ミリも思わなかった幼稚園の時の夢だったから。

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