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『おにわさん』で庭園紹介し続けることのゴールとコンテンツのパクリについて

とある施設の企画展に写真が10点以上無断使用されていた話

楽しくない話題じゃなく、オススメ庭園!みたいな明るい話題を書きたいのですが…↑これは最近ビックリしたこと。

「インスタの写真、パクられることが多くなってきたな~」とちょうど思ってて、「パクられること」に関するエントリは実は書き始めていた所だった。(きっかけはカメラマン・古谷宗信さんのこの投稿)

まあ、SNSは世界の人が見てるからそういうものかなと思っている所もあったけど、国内の企画展でどストレートに無断使用されるとは
直接「これ僕の写真なんですけど」と伝えて、先方も「あなたがおにわさんの人…!」ってなってたし謝罪も受けたので今後何かに引きずるわけじゃないけど、想いについては書き残しておきたい。

おにわさんは庭園写真を無料で提供しています。けどフリー素材ではない

「おにわさんは庭園写真を無料で提供します」ということはこのページで明記しています。

けど、写真はあくまで自分や被写体となってる施設の権利物であって、フリー素材ではない。だからその施設の件も、『事前に言ってくれれば二つ返事でOKって言うのに』と。

一つ会話の中で気になった言葉。『引用させていただいた』。
要は無断転載・パクリでは無いと言いたかったのだろうけど、実際には引用元の記載は無かった。それは引用ではない。
(「文献だけじゃなく写真も引用元を明記すれば引用になる」という一般認識もちょっと腑に落ちないけど。)

こと自分という人間については胸を張れないことも山ほどあり過ぎるので、この件についてもあまり正義ぶりたくないんだけど。
「文化を扱う人間が権利物を雑に扱うな」と思うし、それじゃ権利ビジネスやコンテンツビジネスは育たんでしょみたいな。

で、こうした“パクリ”について、やはり気持ちいいものではないけど、思い悩んでも仕方がない、と自分に言い聞かせる意味で書き始めたのがこのエントリです。

『庭園情報メディア おにわさん』としてのゴール

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『一人でも多く、庭園に足を運んでもらうこと』。これに尽きる。

なので大局的に言うと『パクられても、自分が届けられなかった人にその庭園の存在が届き、庭園に足を運んでもらえるのであればそれが正解』

元々全部自分はスマホで撮っているので、正直「行けば誰でも撮れる写真」だと思っている。だからクレジットも入れていない。(写真・カメラを商いにしている人とは違う条件なので、ゆるく考えている)

オープンソース的な思想

たとえば『情報を非公開にして、お金を払ったファンだけに使ってもらう』という表現や商売もある。これまで「日本庭園」を知る方法はほとんどがこれだったのだろうなと思う(有料出版・有料講座)。

それに対して『おにわさん』がやっているのは、
情報(ソース)を広く公開することで、また別の人が新たな表現をし、それが連鎖して文化が広がっていく、というオープンソース的な思想。
2000年頃からWEBのプログラミングの発展や変化を見た人間として、『オープンソースが新たなカルチャーを作る』という実感がある。(*実際のオープンソースソフトウェアの概念とは若干異なるけど)

だから、『これまで庭園本に紹介されてこなかった庭園(かつ、『おにわさん』が評価高くピックアップしていた庭園)が本やWEB媒体やSNSに登場していく』ことはまさに起こるべくして起こった状況。

おにわさんに書いてあることをただ喋ってるだけのYouTuberとかも出てくるかもしれないですね。見つけたらムカつくと思うけど(笑)、それはそれで『うねりを生み出している』ことの一環だと思う。
*でも寺院に許可なく境内の写真や映像に広告つけたりして収益を上げることは権利侵害行為なのでそこだけ自覚してねという。

引用文献は書くべき

でもね「オープンソース」が成り立っていたのは、元の著作者の明示というような『先人へのリスペクト』があったからだと思うんだよな。
だから「引用元を示されずに転用される」からムカつくんであって、「参考にしてます」「こういうことに使いたくて」とか一言明示してくれたらだいぶん違う。(たまに言われると嬉しい。けど本来それは普通だと思う)

嬉しいこと:庭園が創作活動のアイデアになること

小説・文筆家、美術・芸術家、絵師、背景画、ロケ地、コスプレイヤー、同人誌…(←人とプロダクトが混ざってるけど)
それらのアイデアや、これまで有名でなかった場所を探すきっかけになれば嬉しい。これもうねりの一つ。

その場が使われることによって、場所の存在の認知が広がり、人が訪れ、「その場所を保存・維持する」ことの意味合いも増す。
やはりどんな素晴らしい庭園でも、人が訪れなければ、代が替わっただけで一気にその価値を失し消失してしまうので。

だから「おにわさん」というメディアでやりたいことや生み出したいことは「評論・批評」ではなく、『その場が使われるきっかけ』になること。

残念なこと:まんま情報を商売に転用されること

あくまで一般の方々向けに「一人でも多く、庭園に足を運んでもらうこと」を目的に『情報を公開している』わけなので、『庭園を主のテーマとした商売・副業』に無断で使われるのはやっぱムカつく(笑)。

出版とかね。公開されてる場から情報を得て自分の懐に入れようという私利私欲マジでダサいし早くそういうビジネスは滅んでほしいわ。オープンな場ならまだいいけどクローズドなものにするのは「文化に何も貢献してない」

あと以前怒った『庭とりっぷ』というサイトの「情報を丸パクリされる」とかですかね…。個人邸は消えたけどカテゴリは今もそのまま使われてるとかは気持ちいいものではない。

“庭園”が滅びない、持続可能なものにするために

でもまあ、嫌なこと引きずってても時間が勿体ない。紹介庭園が1,400を越えたけど、まだまだ『こんな名庭園あったの!?』という出会いに溢れているし、行けていない場所も数百ある。
引き続き「誰も見向きもしてこなかった庭園」をちゃんと素晴らしいもの・価値あるものとして紹介していくだけです。

こういう自分が突っ走る性質について“身を滅ぼす方へ向かいそう”と、20代の頃から信頼する上長に言われていた点。
次に『おにわさん』が向かわなければいけないところは、個人的・属人的なものではなく、組織的なもの・システマチックなものにしていくこと。そう思っているので、「私利私欲ではなく文化に貢献するため」という人に出会えたらいいなと思う。

眠っている素敵な情報がまだまだある

あと、ときどき論文とかを研究論文のサイトで読む限り、「日本の庭園の情報」はまだまだ紙媒体の状態で倉庫に眠っているんだろうなと思う。
自分みたいな人間からすればそれは宝の山で、『日本庭園文化の発展』を第一とするならば公開される場があったらいいのにな、と思う(「ネットで」とは言わず。私設の図書館みたいな施設でもいい。商いとしてペイするかはさておき。『おにわさん』だってペイなんてしてないし。笑)。

最後にお知らせ①:雑誌『PRESIDENT』に掲載

今日発売の雑誌『PRESIDENT』最新号「常勝財閥 三菱 歴史的名訓」。
付録の“弥太郎が愛した庭園”に「庭園情報メディア おにわさん」より写真提供をいたしました。巻頭グラビアは吉沢亮さん。競演。(違う)
同じ付録の『東京「財団庭園」巡りマップ』のイラストがかわいくて!書店・コンビニでチェックしてみてください。

お知らせ②:YouTubeで浜松の庭園を案内しています

女優・熊谷真実さんの公式YouTubeチャンネルおよび浜松・浜名湖の魅力を発信する“海の湖HAMANAジェンヌ”の「ジェンヌちゃんねる」で、浜松の庭園『龍潭寺庭園』『吉野屋庭園』をご案内いたしました。

別に自分が目立ちたいわけじゃないのであんまり顔をさらしてきていないけど、以前も↓こういうものに登場しているので全く晒してないわけでもないんですよ。興味ある方、ご覧ください。

次回は楽しいエントリを書くよ!

Photo: Maiko Naito

[おにわさんーお庭をゆるく愛でる庭園情報メディア]( https://oniwa.garden/ )の中の人が、庭園について思うことなどを綴ります。 サイトでは日本全国約1400の庭園と2万枚以上の庭園写真を掲載!