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"How are you?" はシンプルだけど深い

毎週のレッスンで、教室に入って来た生徒たちに一番最初にする声かけ
"How are you?" に対して、大多数の生徒たちの返答は"I'm sleepy."。
特に中学生たちは、ほぼ100%と言ってもいいくらい。

そう、彼らはみな疲れている。部活を終え、シャワーや夕食もそこそこにレッスンに駆け付ける。
だよね~、sleepy うんうん、わかる。夜のレッスンなんてtiredでやってられないよね~。

しかーし!ウチの教室では、数年前からネガな答えは禁止、というルールが設けられた。小・中学生クラス共に、sleepy, tired, so-so,,,,などの単語は使えない。(hungryはギリギリ大目に見ることもある)

ついでにfineも禁止。fine以外のいろいろな表現を覚えてほしいから。
代わりにI'm good / okay / great / happy / wonderful / super / very well…..などのポジティブワードで返すことになっている。
ついsleepy と口がすべっていた中学生たちも、今ではだいぶ定着してきた。(疲れ切った顔での"I'm good!"は、結構笑えるけど。。)

そもそも"How are you?"って、シンプルだけど日本人にとっては、今ひとつわかりにくり問いかけだと思う。 
「ご機嫌いかが?」とか「お元気ですか?」と訳してしまうと、つい今の体調を答えなきゃ、と思いがち。

でも、英語圏でのHow are you?は、相手の返答を期待しているわけではなく、"Hi!" "Hello!" くらいの軽い挨拶に等しいらしい。
だから、もし、"Well, I have a cold." とか、"I have a stomachace."などとバカ正直に答えたりすると(日本人にありがち)、思いっ切り引かれるだろう。そう、相手はあなたの胃の調子など全く興味はないのだ!

BBCの ”Radio Live 5” という生放送で、キャスターが、放送内に電話をかけてきた一般の人たちと会話するコーナーがある。ここでいつも聞き耳をたてているのは、出だしの"How are you?" だ。

電話の向こうの相手から問いかける時もあれば、キャスターの方が先に口にする時もある。反応はさまざま。キャスターはたいてい "I'm very well!"と答える。相手への聞き返しはない。
時に、"How are you?" に対して同じ "How are you?"で返す時もある。そんな時は、お互い返答はしないまま本題に入ったりする。この感覚は、私には今だにわかりづらい。
キャスターの "How are you?" を無視したまま、速攻、本題に入る人もいる。

そう、ネイティブにとっての "How are you?" は、特別意味は持たない、本題に入る前の枕詞みたいなものなのかもしれない。

ちなみに、学校英語でオウムのようにリピート練習をさせられた
"How are you?" "I'm fine, thank you.  And you?"は、個人的に好きではないので、私の教室では一度も採用していない。相手に返す時は、
"How are YOU?"と、「あなたはどうなの?」の意味をこめてyou を強調させている。

最後に、以前聞いたことがある、日本人に染み付いた条件反射的応答にまつわるジョークをご紹介。

海外で一人の日本人が交通事故に遭い横たわっているところへ、救急隊員が駆け寄り血相を変えて尋ねた。
"How are you!?”
その日本人は、瀕死の怪我を負いながらも、息も絶え絶えに答えた。
"I'm fine, thank you.  And you?"(多分、弱々しい消え入るような声で?)
(笑)

この場合の "How are you?"は、決して挨拶などではなく、「大丈夫ですか!?」に近い、緊迫感こもった問いかけのようだ。

うーん、シンプルだけど、決してあなどれない "How are you?" なのであった。

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