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【FGO】英霊ねぶた制作見学のお話など


英霊ねぶた

お久しぶりです!今年も災害級の暑さが日本を襲っていますね。皆様ご健勝でいらっしゃいますでしょうか。
今回はタイトルにある通り、FGO fesの目玉となった『英霊ねぶた』の制作現場を見学させていただいた時の様子を、こちらで少しご紹介したいと思います。自分のための備忘録に近い感じなので、ご興味ある方のみご覧あれ。

話は少し遡りまして春の気配がしてきた頃の某日。年度末の業務に忙殺され職場の空気が淀み始めたころ、1通のメールが届きました。タイトルは「FGOおしごとのおねがい(ねぶた)」。今思うと漢字変換すらできないほどに安生さんはお疲れだったのだなあと思うんですが、自分も死んだ魚のような目をして同僚と話していた最中(最中にスマホを見るな)でした。

     ねぶた???????

全部ひらがなだと印象が淡くなるんでしょうね。意味が分かるまで時間がかかった記憶があります。自転車で帰宅する間にじわじわ理解が追いついてきて、ハンドルを握る手が汗ばみました。その瞬間にはもうフェスの当日のイメージはできていた気がします。胸が躍るなんてもんじゃない。
鼓動はすでに囃し立てていました「ラッセーラッセーラッセーラー!」と。

今回はねぶたの原画仕様のイラストということで、ラセングルさんから頂いた資料のほかにも、本場青森のねぶたの多くの原画を参照した上で描きました。特に意識したことは以下の点です。

・顔の造形や色彩は浮世絵風とは別のもの(ねぶた原画風)にする
・でも親しみやすい可愛さなどは出す
・女性キャラは曲線(色っぽく)、男性キャラは直線(勇ましく)
・ギルガメッシュとアルトリア・キャスターの派手レベルは同等

以上の点に関連すると、キャストリアは天女のイメージ、ギルガメッシュは鬼神のイメージに寄せています。ただ本来の在り方とは異なるため、特にギルガメッシュについては伝統的なスタイルには見られない胸を張ったポーズとなっています。本場のねぶたに登場する武人は、前かがみで武器を構えるポーズが多いんですね。浮世絵なんかもそうなんですが、画面に全身収めるとなるとそういったポーズにせざるを得ない面もあるのかな、とか素人なりに受け取ってはいます。(違ったらすみません)しかし今回のご依頼では、腰から上という指定だったこともあり、直立での姿勢を叶えることができました。何より猫背のギルガメッシュが想像できなかったというのもあります。

あと今回は制作過程に3Dモデル化があったため、3面図も描き起こす必要がありました。これまで3面図自体は何度か経験があったのですが、
ポーズ有りの3面図って激ムズなんですね……!!
今思うともっと補助線使うとか丁寧に寸法測るなどしてからやるべきだったんですが、果たしてちゃんと各面で描き起こせていたのか今となっては確認したくない恐ろしいところです。
あと当時の自分に言いたいけど、紐とか髪とかベルトとか袖とか好き放題なびかせ過ぎ。

そんなこんなで無事イラストの方は納品が完了しました。あとはフェスの当日を楽しみに待つのみ。そう息をついたところで閃いてしまいました。

――そうだねぶた制作の見学をお願いしてみよう。

だってこんな機会もう一生あるかないかじゃないですか(視点が定まらない)、お願いだけでもしてみて、ダメならダメでそこで諦めればいいじゃないですか(震え声)。
しかしそんなお願いも叶えてくださった安生さんや関係各社の皆様。感謝しかありません。

ねぶた制作のどのタイミングで現場へ伺うかは、様々な連絡調整の末決定していったようです。私はアニプレックスの金沢さんの監修に同行する形で見学させていただくこととなりました。

当日はあいにくの大雨で、関係者の方との集合場所の五所川原駅に着くまでにずぶぬれ状態でした。金沢さんや、株式会社WIZARDの竹原さん、矢部さん、そしてねぶた師の福士さんと(一向に慣れない)名刺交換をさせていただいた後、現場へと向かいました。

英霊ねぶたは3つの現場に分かれて制作されているということで、まずは1件目のマシュの現場にお邪魔しました。

マシュの胴体①
マシュの胴体②

なんと民家の中で作業中でした。実際にはチーム作業ということで、各パーツに分けていつでも取り組めるようにしているそうなんです。よそ様のおうちなのでモザイク処理をしてはいますが、おわかりいただけるだろうかこの広さを……。うちの何倍あるのか分かりません。
この時点ではお顔はまだのようでしたが、これだけでもうテンション爆上がりです。予め送付されているフィギュアを元に、寸法もそのまま拡大してくださってるそうです。指の角度からおっぱいの大きさまで完璧……!!

一行は続いて第二の現場へと向かいます。こちらはギルガメッシュとマシュの盾が制作されているとのことで、移動の車の中で私はますますワクワクしていました。マシュでその高いクオリティを知ってしまっていたから。

ギルガメッシュ①

我が王ーーーーーーッ!!!

あ、いえ私の我が王はアルトリア・ペンドラゴンなのですが、ただこの場だけは許されたい。そう叫ばざるを得なかったのです。
どうですこの堂々とした出で立ちたるや。彩色なしでこの迫力です。彩色されて、ましてやライトアップされたら威光で目がつぶれてしまいます。

福士さん「ライト点けるとこんな感じです」

ギルガメッシュ②

ウワーーーーーーッッ!!!

これ昔はろうそくだったんですよね…。思いついた方とんでもない発明ですよ…。現在はLEDが採用されており、安全面もバッチリですが、彩色に合わせて2色使い分けているそうです。こうやって改めて見てみると、宝具展開時に見られる発光演出そのままという感じがして本当に胸が熱くなりますね。

ギルガメッシュ③

後ろもぜひ、とねぶた師の皆さんのご厚意を受け、必死にご神体(オタク的解釈)に触れないよう避けつつ回り込んだ時の写真がこちらと、

ギルガメッシュ④

こちら。
ちょっと……王の背後をとる(ダブルミーニング)なんてこんなことあってよいのでしょうか…?それにしてもセクシーですねこの角度…。
髪の束感など武内さんの原作みもあって私はもうただのオタクとしてその場にいたわけです。
このあたりで、最終形態では数メートルに及ぶ台の上に座すという話を福士さん達からうかがったため、ふと気づいてしまいました。

うわっ、私の頭(ず)、高すぎ……!?

当日の展示では、しっかり人の子としての立場で拝観できる位置にいらっしゃったので、このような不敬はあの場限りです。大変貴重な不敬体験でした。

乖離剣

不敬ついでにこちらもどうぞ!
エアもとんでもない大きさでしたので、もう画面に収まりません。エアの詳細なデザインについて改めて確認したいというねぶた師さんのお話もあり、しばし資料請求の打ち合わせなどされていました。
ねぶた公開後、「エアがかっこいい」といったコメントをいくつか見ましたが、完成度の高さの裏話をここでできること、陰ながら誇らしく思います。

今回ここにいないはずの存在にもかかわらず、私にも細かい調整について意見を求めてくださったこと、本当にありがとうございました。

ちなみに福士さんのお話では、ギルガメッシュは作りやすかったそうです。私もねぶたに一番寄せてデザインしたのがギルガメッシュだったので、そう言っていただけて心の中でガッツポーズしていました。

さて雨は降りやむことなく激しさを増していきますが、お次はついに3体目の現場です!

ここではアルトリア・キャスターと呼ばせていただきますが(発注内容に準拠)拝見するまで一番ドキドキしていたのが彼女でした。理由は自分の思いが最も濃く乗っかってしまっていたから。彼女がストーリー上でどういう存在か明らかにされる前にその姿を見た時、デザインに一目ぼれしていました。極上の質の布の豊かな様、きらきらと美しい髪が風になびいたら一体どんな形になるのだろうと何度夢に描いたか。
地球で立体物にする以上、重力に逆らうことができないと知っているのにも関わらず、完全に好き放題やってしまったデザインです。

キャストリア①

しかし果たしてその夢は叶いました。袖も、髪も、リボンも、全て完璧な流線を描いているではありませんか。

キャストリア②

こちらは今まさに紙張りの最中ということで、現在進行形で紙を切り、貼り付ける様子を拝見できました。

よく見てみると……

キャストリア③


キャストリア④

見慣れたマテリアルが!!
青森の、五所川原の、ねぶた制作現場に見慣れたものがあるということに何気に感動しておりました。細かい資料までご参照いただいたからこそ、あれだけ素晴らしいねぶたになったのですね。
ちなみに現在使用されている紙は、元はYシャツだったものを再利用して作られているため、簡単には破れないんだそうです。実際に千切る様子や、破片を見せていただきましたがよく見ると繊維が紙とは違うのがよく分かりました。あと触ってみてと言われたのでキャストリアに触っちゃいました。強度的には全く危なげないです。


キャストリア⑤

改めて見ると写真がほんとに下手で(見とれ過ぎた)申し訳ないのですが、
紙張り前のキャストリアの「アホ毛」が見えますでしょうか?
ちゃんと一束作っていただいていたのですが、実はこちらあわや省略になる危機(笑)があったらしく、「アホ毛がなければ全く別のキャラになってしまうところだった」とみんなで笑っておりました。(アーデモコレ何カノフラグニナラナイカナ)

さてこれでねぶたの制作現場の見学は終わ…

りません!!


フォウ君①

なんとフォウ君は完成していたのです!!
おっきい……!


フォウ君②

毛のモフモフ具合も完全再現されております。横顔もカワイイ…。個人的には特にしっぽの造形が大好きです。このサイズが肩に乗る、ということを考えると改めてマシュ達の大きさが想像できますね。

こうして青森五所川原での英霊ねぶた制作現場見学は終了したのでした。改めて、関係者の皆様に感謝申し上げます。たぶん老年期にこの体験は擦り切れるほど話し倒すんだろうなあ……。

さてここからはおまけ話(蛇足)ですので、お時間が許す方のみどうぞ。


おまけその①

青森に行ったら三内丸山遺跡は最低限行ってみたい、と以前より思ってはいましたが、今回そういった時間はとれませんでした。その分グルメだけでも…!と堪能した青森グルメをご紹介します。

まずは五所川原駅から歩いて1分のところにあるこちらのカフェ。
フォレストキッチン」さんというお店で、夜はレストラン、昼はカフェということになっているそうです。

フォレストキッチン①
フォレストキッチン②

ランチメニューにはハンバーガーやピザなどの洋食も充実していましたが、和食メニューに郷土料理「ほたての貝焼き味噌」があったので迷わず注文。
お味噌汁が北国らしく少し辛めなのがまたご飯に合い、ホタテの出汁の混ざったふわとろ卵をハフハフ言いながらいただくのが幸せでした。付け合わせのナスの煮びたしでまたご飯が進みました。

お次はこちら。

駅弁①
駅弁②

帰りの新幹線でいただいた駅弁「津軽海峡 海の宝船」。その名にふさわしい中身ですよね。写真撮るのが下手過ぎて笑えませんが。
これ、口に含むと色んな味がいい具合に交じってすごく美味しいんです。卵が甘めで、全体的に甘じょっぱい味です。そこで時折奥にあるさっぱりとしたお新香を食べると、歯ごたえもあって飽きることなく食べ進めてしまいます。
コロナ過はほとんど遠出することがなかったので、少し旅行気分を味わえました。やっぱり行動あるのみですね。やってみなければ誰にもわからない。そして青森には今度こそ観光目的で訪れたいと思います。


おまけその②

メッセージフラッグ

毎回、FGOフェスに行くとメッセージフラッグに何かしら描かせていただいています。しかし毎回、何を描くか迷います。(笑) だって好きなキャラ多すぎるんだもの。
ただ、今回はすんなり決まりました。小学校からの親友2人の推しと、自分の推し。
完全に個人的な話ですが、今からちょうど6年前の夏。親友と岐阜へ旅行中、そこで私はマスターになりました。山道を歩ている間、友人2人はずーーーーーっと推しの英霊正装の話で盛り上がっていて。(さみしかったので忘れない)
普段なら自分が知らない話題で盛り上がっていても、そんなのお互い様なのであまり気にしないんですが、あの時だけはなぜか「じゃあ私もFGOやってみよう」と思ったのでした。ソシャゲ自体が初めてでした。
その日の昼に食べたカツカレーで激しい胃痛になったこと、その夜、宿に戻って布団に倒れながらFGOを始めたこと、東京で解散して帰り道☆4の槍エリちゃんを育てたこと、今でもよく覚えています。

それから6年、このような晴れ舞台をいただくなど私たちは全く想像していなかったと、今さっきLINEで話しました。

私は自分の身に起こったことは、縁によるものだと思っています。だからこそ、2人の親友にまず感謝しています。その感謝を、我々にとって特別な数字である「8」周年を祝う場で、描かせていただきました。

そして、毎回フェスに付き添ってくれる友人にも感謝を。この友人は、私がボケーっとしてチャンスを逃しそうになると、そうならないように声をかけてくれます。メッセージフラッグに描くときは、ほんとは手が震えるほど緊張するのですが、傍で見守ってくれるから描くことができます。(ただ見守るのも恥ずかしいだろうに)

ラセングルさんやTYPEーMOONさん、FGOをつくる皆様、愛する皆様にも感謝申し上げます。

これからもどんな夢を形にしていくのか、FGOのこれからが楽しみでなりません。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

あ、ちなみに今回いただいた原稿料は全て水着キャストリアに使います。永久機関。