・ブログに2010年11月９日公開した文章の転載

異性間のカップル・夫婦の場合、男性の方が背が高いのが普通の形であり、女性の方が背の高いカップル・夫婦に対しての偏見、好奇の目は根強くある。
昔に比べれば、女性の方が背の高いカップル・夫婦に対しての偏見は薄れてきてはいるが、それでもまだ多くの人がカップル・夫婦は男性の方が背が高いのが普通だといった価値観に縛られているといえる。

この価値観は、「男性の方が女性よりも価値が上にある」「大きいことが小さいことよりも価値が上である」「上記２つの価値観では、“男性の方が女性よりも上だ”という価値観の方が優先される」、以上３つの価値観が複合された結果できあがった価値観だといえる。

「大きいことは小さいことよりも上である」という価値観の方が、「男性の方が女性よりも上である」という価値観よりも上位にある場合、女性の方が背の高いカップル・夫婦では、背の高い女性の方が背の小さい男性よりも偉い（価値が上にある）ということになるだろう。

女性の方が背の高いカップル・夫婦に対しての偏見があるのも、男性優位社会の中で、女よりも偉いはずの男が女よりも背が低いのは許せない（おかしい）という価値観があるからであり、また「大きい方が小さい方よりも上である」という価値観を人々がもっていなければ、女性の方が背の高いカップル・夫婦に対しての偏見なども生まれることはなかっただろう。
さらには、「小さい方が大きい方よりも上である」という価値観が主流であったならば、男性の方が背の低いカップル・夫婦が普通の形とされ、女性の方が背の低いカップル・夫婦が偏見、好奇の目にさらされていたかもしれない。
（ただし、多くの国・地域で、ほとんどの時代、男性の方が女性よりも平均身長が高かっただろうから、男性の方が背の高いカップル・夫婦の方が確率的には多くなるはずである。女性の方が背の高いカップル・夫婦に対しての偏見があったのも、社会の中の少数派に対しての偏見があったからかもしれない。）
 
多くの人間は、男は自分よりも背の低い女性を交際相手・妻として求める傾向があり、女は自分よりも背の高い男性を交際相手・夫として求める傾向がある。
「男性の方が背の高いカップル・夫婦が普通の形である」という長年続いてきた社会的価値観を、無意識のうちに受け入れているからだとも考えられるし、「自分より体の小さい女性を守りたい」「自分よりも体の大きな男性に守られたい」という意識を多くの人がもっているからかもしれない。
（男性の方が女性よりも平均身長が高いから、身長にこだわらずに交際相手や結婚相手を求めたとしても、「男性の方が背の高いカップル・夫婦」の方が数は多くなるはずだけれども。）
 
少数の男性は、マゾヒスティックな感情をみたしたくて自分よりも背の高い女性を交際相手に求めているかもしれないし、男性に優越感をもちたくて自分よりも背の低い男性を交際相手に求めている女性もいるかもしれない。
自分が好きになった相手がたまたま自分よりも背が高かった（あるいは低かった）だけで、身長にこだわらずに交際相手や結婚相手を決めるほうがいいような気もするが、長く続いてきた社会的価値観（社会の中で主流となっている価値観）から自由になるのはなかなか難しいものでもある。