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バミューダトライアングルが魔の海域である原因は燃える「氷」?【バミューダトライアングルの日】



12月5日はバミューダトライアングルの日

毎年12月5日は「バミューダトライアングルの日」です。
これは1945年(昭和20年)の12月5日、大西洋上で飛行訓練をしていたアメリカ海軍所属の「グラマンTBFアベンジャー」という軍用機5機が、訓練飛行中に突然消息を絶ったことに由来します。

この事故が起きた海域とされる、大西洋プエルトリコ、フロリダ半島の先端、そしてバミューダ諸島の三点を結ぶ、三角形の海域は「バミューダトライアングル」と呼ばれるようになり、遭難事故が多発する「魔の海域」として有名となりました。

バミューダトライアングルは北アメリカの南東に位置する。

しかし実際のところ、この場所が統計的に常軌を逸して事故が多いということはありません。
しかし、魔の海域という物語性の魅力と、「バミューダトライアングル」の語感が良い感じに不気味すぎたせいもあるのか、イメージばかりが先行して今の扱いになっていきました。

「メタンハイドレート」が魔の海域の原因?

メタンハイドレート
Wikipediaより:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Gashydrat_mit_Struktur.jpg
 作者:3268zWusel007 様 ライセンス:CC 表示-継承 3.0

実はバミューダトライアングルが「魔の海域」となっている(とされている)原因は、燃える氷こと「メタンハイドレート」にあるのではないかという仮説があります。

メタンハイドレートは一時期、日本でも採れる海底資源として、大いに注目を浴びていたので存在を知っている方も多いのではないでしょうか?

これは海底に埋蔵する、一見氷のような見た目をした物質で、火をつけると燃焼し、燃え尽きると水が残るという奇妙な性質を持ちます。
このメタンハイドレートとはいったい何なのでしょうか?メタンが凍ったものなのでしょうか?

解説すると、まずハイドレート(hydrate)とは日本語に直すと「包接水和物」になります。
これは水分子がカゴ状に水素結合を形成し、内部にガス分子などを包蔵する性質を持っている状態です。
包蔵される分子により性質はことなりますが、ここにメタンを包蔵するとメタンハイドレートとなります。

ちょうどスポンジが多くの水を吸い上げるように、ハイドレートは自身の体積の百数倍ものガス密度を持つとされます。
ハイドレートは一般的に、高圧かつ低温の条件が整うことで生成されます。

メタンハイドレートの生成イメージ(あくまでイメージです)

ようするにメタンハイドレートとは、メタンと水とが、かなり特殊な環境で圧縮されて結晶化した、氷とも異なる独特な物質であるといえます。

国産のエネルギー資源に乏しいわが国では、領海内の深海から、日本のメダンガス消費量の100年分以上のメタンハイドレートが発見されたことで、純国産のエネルギー資源を獲得できるのではないかと湧きましたが、非常に高い採掘コストという問題がありました。
しかし日本政府が一兆円もの投資を行い、シェールガス(天然ガスの一種)をも超える天然資源として実用化に向けて現在も動いている真っ只中です。

メタンハイドレートは太古から贈られたエネルギーのタイムカプセルと言えます。
その起源については海中の微生物が分解されてできたメタンガスだという説もあれば、火山ガスなど非生物が由来のメタンガスだという説もあり、まだ謎が残されているようです。

このメタンハイドレート、実はバミューダトライアングルが「魔の海域」となっている原因なのでは、と推測する声もあります。

メタンハイドレートはメタンガスの塊であるため、地震など何らかの刺激で突如として放出、そしてガス爆発することも当然あり、
また強力な浮力を持っており、1立方メートルのメタンハイドレートは常温常圧におけば、164立方メートルのメタンガスと0.8立方メートルの水へ分解、膨張すると言われていて、その急激な反応は乱気流を起こすことさえあるとされています。
当然、海中で急激な膨張を引き起こせば津波のリスクもあります。

従ってバミューダトライアングルの遭難事故の謎(があるとして)、その原因は、このメタンハイドレートによる急激な反応なのではないかと推測する人もいます。

メタンハイドレートの分布とバミューダトライアングル

そして実際に、バミューダトライアングルの周辺海域からは多くのメタンハイドレートが確認され、それなりに説得力のある説となっています。

しかし、このような現象による船舶や航空事故が確証を持って記録されたことはなく、あくまでこの話も「都市伝説」として受け止めていただきたいと思います。

残念ながら(?)小野田商店はメタンハイドレートの取り扱いはございません。

ちなみに小野田商会では、燃える氷こと「メタンハイドレート」の取り扱いはありません、あしからず。

それにしてもバミューダトライアングルのような都市伝説は、決してポジティブな内容の噂話でなかったとしても、なぜか強烈に人を惹きつけ、ワクワクさせてくれるものがありますよね。

それはこの星が、人工衛星などで徹底的に調査され、果てはメタンハイドレートのような深海の資源まで開発が及び、もはや地球に「未知の領域」などなくなりつつあることへの、ささやかな反発心なのではないでしょうか?

「魔の海域」という都市伝説は、恐ろしさの中に未知への憧れを閉じ込めて結晶化した結果できたものなのかもしれません。

今日のSNSでは、日々デマや陰謀論が飛び交い、情報を鵜呑みにせずファクトチェックすることが常に求められ、バミューダトライアングルでなくても心が迷子になりそうですが、
それでも、こういった「怪しいウワサ」をウワサと心得たうえでワクワクできるくらいの心の余裕が欲しいものです…。

参考:日経サイエンス社.メタンハイドレート : 21世紀の巨大天然ガス資源.松本良 (他).1994.1


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