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夏季は「カキ」と「かき氷」の季節!氷を使ってカキを楽しもう。



夏季は「カキ」と「かき氷」の季節

生ガキ、好きですか?

皆さまはカキ(牡蠣)はお好きでしょうか?
カキの旬は、いわゆる「岩ガキ」は夏(6~9月)で「マガキ」が冬(12月~2月)と言われています。

つまり夏は、かき氷のシーズンであると同時に岩ガキのシーズンでもあるということですね!

そんなカキは、水産物の中でも特に鮮度が命!
カキは水産物の生食文化があまりなかったヨーロッパでさえ、古代から生で楽しまれてきました。
その中でも市場に出回る多くの部分が天然モノである岩ガキは、生食されることがほとんどです。

岩ガキは大きさや養殖か否かだけでなく、生物学的な種としてマガキとは異なります。(岩ガキは学名:Crassostrea nippona、対してマガキは:Crassostrea gigas)
その最大の魅力は大きくてジューシーな身、それを存分に味わうためにもそのまま生で食べられることが多いです。

しかし、鮮度が少しでも落ちると生ガキは海そのもののような豊かな風味から、ガスのような独特の臭みが出てしまい美味しく無くなってしまいます。
そんな生ガキの鮮度を維持するのが氷!

生ガキの魅力はプルプルとした感触と独特の旨味ですがそれを維持するために過度に冷やしてしまうと、味や食感が変わってしまうリスクもあります。
その点、氷は鮮度を維持しつつ冷やし過ぎない最高の保冷剤で、他の冷蔵方法よりも牡蠣を美味しく保つのに向いているため、生ガキと氷は多くの場合セットです。

また、ご家庭でも加熱用や生食用の冷凍カキを調理することもあると思いますがその解凍にも氷を使った一工夫でより一層カキを美味しく楽しめます。

今回は氷をフル活用したカキの楽しみ方についてご紹介します。

氷でカキを冷やそう

生ガキは鮮度を保つために、多くの場合は氷が使われます。
これは、冷凍焼けを避けつつカキの鮮度を保てるためです。

冷凍焼けとは、冷凍庫で保存していた食品の表面が白化したり、変色したりした状態を指します。
これは、固体(氷)として存在していた水分が直接気体になる「昇華」という現象によって起こります。
空気中の水分も凍ってしまう冷凍庫内では、外よりも乾燥してしまうため、昇華が起こりやすく、氷屋や冷凍食品を扱う職種の方は気を遣う現象です。

特に生ガキの魅力はそのジューシーさであるため、加熱調理されるカキよりも一層繊細な扱いが求められます。

どうしても冷凍庫での冷凍やドライアイスを使った方法では、急激な温度変化によりカキの身の変質が起きてしまう可能性があります。

一方で氷には高い潜熱という特性があり、氷から水に変化するときに必要な熱量は、水の温度が上昇するときの熱量と比較すると80倍もあります。
それまでは氷は0℃を保ち続けるため、鮮度を保ちつつ冷やし過ぎない、最適な状態にカキを保つことができます。

生ガキにはレモン氷もおすすめ

飲食用の氷を使う場合なら、殻から剥いた生ガキに氷と調味料を加えて
このように食べやすくしておくと最高です。

また、生ガキは何もつけないでそのままで海の風味をそのまま味わうのも乙ですが、少し味を加えることで、より豊かな楽しみ方もできます。

カキに合う調味料として、レモン果汁、タバスコ、モルトビネガーなどがあり、カキの生臭さやえぐみがちょっと苦手という人も、生ガキを美味しく食べたりすることができる場合もあります。

また、特に白ワインと合わせて生ガキを食べるなら、是非レモンとタバスコ(できれば緑のハラペーニョの方)で味付けすることをおすすめします。

少し凝った生ガキのアレンジとして、レモン氷をおろし金で削ってかけて食べるのもオススメです!

レモン氷の作り方は簡単、市販の調味用レモン果汁をそのままご自宅の冷蔵庫にある、冷凍室の製氷皿で凍らせるだけです。
凍ったらおろし金(ステンレス製の末広おろし金だと削りやすいです)ですり下ろして、生ガキの上にかけるだけ。

シャリシャリしたレモン氷の食感が、プルプルの生ガキに良いアクセントになって、また食べた後の後味もスッキリとしたものになります。

なかなか生ガキをお店や産地以外で食べる機会も少ないかもしれませんが、チャンスがあれば是非おすすめする食べ方です!

冷凍カキの氷をつかった解凍法

冷凍のマガキは旨味が凝縮されてカキフライにピッタリ!

マガキは冷凍での流通も多く、ご家庭ではこのタイプを利用する方も多いかと思います。
冷凍のカキは、どのように解凍するかで味が変わってきます。
解凍のやり方によってはドリップとともに旨味が逃げてしまうからです。

カキフライにする場合には、半解凍状態で調理することをおすすめします。
約60秒ほど流水をかけて、表面の氷を落としたらキッチンペーパーで水分を取って塩コショウを振り、それから衣をつけていきましょう。
中心はまだ凍った状態のまま揚げるのがおすすめです。

生食用の、殻付き冷凍カキでは、氷水を使った解凍法がおすすめです。
まず、氷水を入れたボールを用意するのですが、これには塩などは入れないでください。(冷え過ぎてしまいます)
たっぷりと氷を水に入れて水温がだいたい5℃以下程になるようにします。
30~40分ほど殻ごと氷水に冷凍カキを浮かべておけば十分に解凍されます。

解凍後は、しっかりとキッチンペーパーで水気をとって完了です。
ゆっくりと時間をかけて氷水で解凍することでドリップを最小限に抑えて旨味を逃がさないことができます。

逆に鍋物などに冷凍カキを入れるときは、スープに味が良く出るように解凍せずにそのまま入れてしまうのもおすすめです。

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飲食用の超純氷と異なり、やや急速に冷凍しているので当社の他製品より水に融けやすく、素早く氷水にすることができます。
(※注意 非食用の氷ですので直接飲食に使わないで下さい)

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【※余談】カキってどんな生き物なの?

牡蠣の赤ちゃん(トロコフォア幼生になる前の胚)。
カワイイ…?

さてここまで食材としてカキを紹介してきましたが、余談としてカキとはどんな生物なのかも海洋生物学を専攻した筆者としては語りたいところです。

カキは有史以前から人類にとって、食用や建材に顔料、ときには医薬品(殻を焼いて粉末にすると薬になります)など幅広い用途で利用されてきた、切っても切れない関係にある二枚貝ですが、実はその重要さは人間にとってだけのものではありません。

カキはいわゆる濾過摂食者と呼ばれる、海水中のプランクトンや有機物を漉し取って食べる生き物です。
そのため、他の貝にも増して移動する必要がないため、幼生の頃を除き生涯一か所に固着して動きません。
カキの成体は他の貝にあるような筋肉や感覚器が著しく退化して、ほぼエラと内臓しかない謎の生物と化しています。
(あまりに単純な構造で、殻の形も環境で変化するため分類が困難であり、遺伝子解析を用いないと種の判別すら危ういほどです。)

非常に強い生命力を持ち、水が無くても一週間ほど生きのびることができます。(しかし、栄養を使い果たして不味くなるため、それで保存することは推奨されません)

カキは世界中の沿岸部にいますが、シーラカンスはアフリカとインドネシアの一部深海、ストロマトライトはオーストラリアの限られた湾にしかいません。

二枚貝としてはかなり古くから存在するグループで、今から約2億3千年前のペルム紀には既に存在していました。
つまり、カキは生きた化石なのです。

ホタテの化石が、700~100万年前は冷たい海だったことを表す示相化石とされていることを踏まえると、なかなかの古参であることがわかります。

カキ成体の殻を構成するカルサイト(方解石)
右のように単結晶が大きいものはよく光を通す。

カキ成体のまるで岩のようなゴツゴツした殻は、主にカルサイト(方解石)と呼ばれる鉱物によって構成されています。
カキをはじめとした多くの貝類はカルサイトのような炭酸カルシウムの結晶で殻を作りますがカキの場合、幼生期は同じ炭酸カルシウムの結晶でも組成が異なるアラゴナイト(霰石)という鉱物で殻を作っています。

このアラゴナイトは本来、炭酸カルシウムの結晶が地球深部のような高圧の環境で形成されるものです。
カキがどうやってそんなものを作っているか、また同じ身体でどうやってカルサイトとアラゴナイトの生成を切り替えているかは不明です。

これはカルサイト・アラゴナイト問題と呼ばれる生物学上の、ミステリーの1つです。

まとめると我々は、わりと凄い生命体を食べている訳です。

カキが生態系において果たす役割は非常に重要なものです。
1匹のカキが1日に約400リットルも海水を濾過しているとされ、まさに海の水質を保つ掃除屋といえます。

さらにカキが群生することで「カキ礁」と呼ばれる、サンゴ礁のような複雑な地形が海に形成されます。
このカキ礁は多くの生物のすみかとなり、豊かな生態系を育てます。

カキは人間にとっても、海の多くの生物にとっても、ずっと昔から切っても切れない大切な役割を果たしてくれているのです。

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