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特許から教わる肉汁溢れるハンバーグ【特許レシピによる料理④】

肉汁溢れるハンバーグ

特許料理の第四弾は「肉汁溢れるハンバーグ」です。前回の第三弾は「早茹でアルデンテパスタ」でした。

今回は 日本酸素株式会社 によるレシピ(特許)を参考にします。特許の権利範囲が記載されている【請求項1】と、【0028】を参考にしました。

特許レシピ:ハンバーグ及びその製造方法(特許第3109000号)

【請求項1】 内部に肉汁を局在化して蓄えた空間を有することを特徴とするハンバーグ。
特許第3109000号:J-PlatPatリンク,  Google Patentsリンク

うーむ。なんというシンプルな内容。34文字。

手段はさておき、とりあえず肉汁が局在化した空間があるハンバーグなら何でも権利範囲となりますね。(それは18世紀頃から既に存在しているような気も・・・)

”ハンバーグの起源は、18世紀頃ドイツの港町ハンブルクで労働者に人気のあったタルタルステーキだと言われています。”
ハンバーグの歴史 - 日本ハンバーグ・ハンバーガー教会

【請求項1】の記載だけでは実現方法が謎なので、明細書の中身をもう少し読んでみます。

【0028】
図2は、このようにして二層構造に成型した生ハンバーグ1aを加熱して前記肉汁2等を蓄えた空間3を形成する際の状態変化を示す概念図である。まず、二層構造に成型した生ハンバーグ1aの片面を、例えば鉄板式焼成機等を使用して下面から加熱する。加熱途中の生ハンバーグ1bは、下面が若干収縮した状態となり、最終的には、下面の表層cが焼き固められて凝固した状態の生ハンバーグ1cとなる。この片面加熱においては、生ハンバーグ1cの片面の表層cのみが凝固した状態で、かつ、内層部が未加熱状態で、十分に粘弾性を保った状態になるように、温度や時間等の加熱条件を設定する。

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特許第3109000号 図2

二層構造に成型してから加熱することがポイントのようですね。加熱していく中で、空間3が形成されています。

ではやってみます。

調理

まずは挽き肉、炒めた玉葱、えのき、なんとなくの量の牛乳やパン粉を混ぜます。

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これをなんとか二層にして焼きます。左の1つは比較用として一層に。

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焼きあがったのはこちら。

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左:一層。右:二層(本発明)。左の方が上品な見た目をしています。さて、中には肉汁が溢れているのでしょうか。箸で割ってみました。

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肉汁は溢れていないです。残念。写真では分かりにくいですが、汁は全然出てこなかったです。以下表に示される「ジューシー感:極めて大」とは全く異なる様子でした。

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特許第3109000号 表5

特許発明の効果を実感できる料理を作るのは大変そうです。

おまけ

たった34文字の請求項1はあまりに権利範囲が広すぎるなぁ・・と思って詳細を調べてみたところ、異議申し立て(=権利範囲が広すぎる!という第三者からの申立て)があり、以下内容に訂正されていました。

【請求項1】
成型機で内層部用生地を外層部用生地で包み込んで加熱処理したハンバーグであって、内層部と外層部との間に肉汁を局在化して蓄えた空間を有することを特徴とするハンバーグ。
「一部異議2001-071409」より

成型機を用いて二層構造にすることや、肉汁が局在化する空間について限定を加えていますね。

以上

#ハンバーグ #特許料理 #特許レシピ

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