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WebCMでわかったこと

横浜でのセブンガールズ上映前に51本ものカウントダウン用のWebCMを連日アップロードしてわかったことがいくつもある。
なんせあれの面白かったのは数十秒に収めるという拘束と、同じように限られた撮影時間。
なんせ毎週集まるのは1日なのだから7本分撮影しないと回らないわけで。
デビさんに2~3本お願いするんだけど、デビさんは1本に1時間弱平気で時間を使うことがあるからそこまで計算しての撮影だった。

面白でもいいし、イメージでもいいし、特撮風でもいいし、なんでもござれだけど、なるべく内容がかぶらないようにしてた。
次はどんなのが来るんだろう?という面白さだけはキープしたかったから。

とても短い撮影で、行こう!と役者を連れていく。
ここでこうして、次はこんな感じ、ああ、いいね。これでいいわ。
ものの10分で撮影を終わらせて次のアイデアを練ることもあった。
もちろんクオリティに差が出てしまう事はあるのだけれど、ふわっと何かが残ればそれでよいと思っていたわけで、その辺が面白かった。
それぞれ役者には反射神経があってその違いも楽しめたと思う。

もうひとつよかったのはSNSで直接再生数が分かることだ。
意味不明だろうと何だろうと、気になる動画は何度か見てしまうもののようで明らかに差が出ていた。拡散の仕方もだ。
面白系はキャッチーだけどじわじわ伸びる事が少ないのも分かった。
サイズ感があまりにも映画とは違うけれど。

金子さんが体を叩くやつとか、圭君が追い掛けて英語で映画を誘うやつとか、多分、撮影中は何を撮影してるかよくわからなかったと思う。
ほぼ説明もしないまま撮影したから。
時間がもったいないからだけど、その二つは反応もとても高かった。
女の子のシルエットに、映画の映像が重なっていくやつも、撮影している時に意味がわからなかったと思う。イメージして説明したら何か変わるようなものじゃない。
でも役者は演じた気になれないかもなぁと思う。
そこに芝居とリアルの曖昧な境界線を創れるかもしれないぞと思ったり。
創り込んだ芝居と、反射神経の芝居の両方の面白さを映像でどうやるのかがわかった。
そして、かっこよかった。

舞台は稽古で創り込んでいくけど、実際の本番は何が起きるか分からない。
ある意味ライブ的な部分が必ずあってそんな時にその役の中で反射神経を出せる役者と、一瞬本人に戻ってしまう役者がいるわけで。
意外にも二つは混同されていて、ナチュラルな芝居なんて言葉でごまかされたりもするのだけれど、アドリブというのは実際に技術として確立されているものだとつくづく思える。

今、思えばセブンガールズの成瀬はその辺は面白かった。
基本的に稽古したものを演じるのだけれど、相手とその場で生まれるものを大事にした方がよいタイプの相手役だったから。あるいはこっちに行けるかな?とか芝居で誘導するととても反応が良い相手役に恵まれたから。
良い意味で芝居が固まって無かったと思う。
カメリハから同じことが出来ないとだめだって言われていたけれど、別に本番で出てくるものであれば全部それが正解だぞという気持ちだった。
こういうのは相手役で変わることだからまた面白いのだけれど。

基本は創り込む。
けれど同時に。
反射神経という名の「ほんとう」を差し込んでいく。
演じようとするものでは無くて、その場で生まれてくる何かを。
あのスピード感の中で撮影したからこそ確信している。

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