見出し画像

タピ活するならホル活しようぜ。


 いつか何かの間違えでアナザースカイに出演することになったら、
葛西臨海公園と、この店は是非とも紹介したい。


「ただいま~今日は何ある?」
暖簾をくぐって店に顔を出す光景にちょっとした憧れがあったが
ここ最近、その憧れを手にしていることに気がついた。

 店を初めて訪れたのは10年近く前、女8人集まって「美味しいホルモンと肉の刺身が食べたいね」という話になり、どうやら新橋に美味しいお店があるらしいと噂を聞き、一堂に集結をした。
 初訪問の日、このホルモン屋は新橋に3店舗あるのだが、実際に予約をした店と予約者が送ってきたURL情報に相違があり、情報を元にお店へ行くと予約は受けていませんと言われ、「URLは3号店だけど予約したの2号店でした。皆さんURL通りに3号店へ行き2号店の場所を聞いてください。」と予約者が安易にさじを投げ、その責任の全てを3号店スタッフへと押し付けた。
 今思えば3号店には1日に8人が間違って来店し2号店の場所を8度説明するという最悪な日になったに違いない。だが、今一番利用しているのは、この迷惑をかけた3号店なので独断で良しとする。

 注文はいつも決まっていて、豚の三点盛り・冷ややっこ・新鮮レバー・これは絶対に食べる。豚の三点盛りは三点と言いつつ実際には五点六点盛られていて、コプチャンやマルチョウの柔らかい部位や豚トロやタンの噛みごたえのある部位、コブクロ・ミノ・センマイ・オッパイと毎度違った種類が所狭しと盛られている光景は何度見ても拍手喝采だ。時にカリっと時にクニュっとジワジワと美味しい脂が口いっぱいに広がり、その熱さを我慢して噛み続ける程に溢れ出る幸せも、思わずビールで流し込む幸せも、とにかく幸せとはホルモンのことだと断言をしてもいいくらいの幸せ。冷ややっこはタップリのニラとピリ辛の真っ赤なタレがふんだんにかけられていて、いい箸やすめになる。レバーに関しては、現在では生食が禁止されてしまったので、生で食べたいという気持ちをぐぐぐと堪えてしぶしぶ焼いて食べるのだが、ねっとり濃厚なレバーを塩と胡麻油に拷問の如くくぐらせ口に入れる、これを想像しただけで白米2杯は食べられそうなくらいに、口の中が美味しいと錯覚をする。
 このホルモン活動をかれこれ10年続けている。なんだか青汁10年続けてますみたいな言い方になってしまった。

 そして昨日もまた、このホルモン活動をした。見慣れたいつもの可愛いお姉さんが笑顔で挨拶をしてくれるのも、常連っぽさが感じられて嬉しい。
 年を重ねる毎に脂と肉とアルコールに少しずつ弱くなりながらも、楽しい時間と美味しいホルモンで華麗に調子に乗り、翌日は二日酔いと腹痛で苦しむというところまで含めての、このホルモン活動だ。悪く言えばただの懲りない酒飲みなのだが、例え悪く言われようと、私はこのホルモン活動を止めるつもりも加減をするつもりもない。何故なら美味しくて楽しいから。
 10代から連れ添った友人達と、どの男が好きだ付き合っただという話ばかりをしていた20代前半・仕事と旅行と恋の事で脳内を占めた20代後半・30代に入り結婚をする者も当然いて、将来とか保険とか病気の話ばかりになった。5年後に一体どんな話をしているのか今は想像つかないが、きっと今と変わらずホルモンを囲んで、どの芸能人がかっこいいとか、女優の誰が整形だとか、くだらない話題に花を咲かせて居ることだろう。

ホルモンとは幸せのことだ。


#コラム #食コラム #日記 #思い出 #東京グルメ #ホルモン #焼き肉 #アナザースカイ #楽しい時間 #行きつけの店 #常連  

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?