小野ハナ

『夢中のストラット』アニメ情報誌〈Newtype〉にて連載中です⭐️ このnoteには、…

小野ハナ

『夢中のストラット』アニメ情報誌〈Newtype〉にて連載中です⭐️ このnoteには、3ヶ月前の本誌掲載作品をアーカイブとして更新していきます。 本文全編とノンテロップイラスト・・・毎月本誌発売日の2日前 制作過程と裏話・・・毎月本誌発売日 月刊ニュータイプは、毎月10日頃発売!

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  • 〈夢中のストラット〉制作過程と裏話

    アニメ情報誌〈Newtype〉にて連載中の オリジナル作品『夢中のストラット』の 制作過程と裏話を更新中です。 本誌掲載から3ヶ月経った話数をアーカイブし、 その話数が完成するまでのことを、色々と更新しています。 毎月本誌発売日に更新していきます。

  • 〈夢中のストラット〉本編

    アニメ情報誌〈Newtype〉にて連載中の オリジナル作品『夢中のストラット』の 本文全編とノンテロップイラストを更新中です。 本誌掲載から3ヶ月経った話数をアーカイブしています。 毎月本誌発売日の2日前に更新していきます。

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制作過程と裏話 その5・見守る拡声器〈夢中のストラット〉

月刊ニュータイプ 2023年8月号掲載 夢中のストラット その5『見守る拡声器』 〈memo〉 最近、フォカッチャを作るようになりました。 自分、料理は好きなんですが、 レシピを全く見ない人で、 分量をちゃんと測ったり、材料を正しく揃えたりできないんですね、 くそ面倒くさがりで。 だから、映像とかで誰かが一通り作ってくれたものなどを覚えて あとはなんとなく雰囲気で作るタイプなんですが、 最近は、全くテレビを見なくなったので、 代わりにレシピに出会える場になったのが Instagramでして。 【Instagramで得るレシピのいいところ】 ・材料の配合から完成実食まで含めても、映像が1分程度 ・海外の本場の人の手つきがわかる ・同じメニューでも、いろんな実践のパターンを見比べられる  (つまり揃えるべき材料の閾値を抑えられる) レシピが苦手な自分にはうってつけなんですね、 この実写映像でざっくり伝えてくれるレシピっていうのが。 そうして有難いもので、 フォカッチャを作れるようになりましたとさ。 なんか、「パンを家で増やせる」という満足感がね、 手軽にお腹を満たせて、おいしくて何にでも合う、 かなり便利で優秀な食料を、 アイテム生成の実績解除して環境を獲得したという充実感が、 大変に良いですね。 ただ作り方を知っただけなのにね。 ただこの前は、ぬるま湯を用意してみようとして熱湯になってしまい ドライイースト達が死んでしまって、それはごめんて。 食べましたけどね。 日々の試行錯誤はありますが、 それでもめちゃめちゃ簡単で、有難いアイテムです。

    • その5 『見守る拡声器』 -夢中のストラット

      ©️Onohana 月刊ニュータイプ 6月号掲載 2023年5月10日発売 『夢中のストラット』 作・絵 小野ハナ アニメ情報誌〈月刊ニュータイプ〉にて連載中! https://webnewtype.com/magazine/newtype/new-magazine.html こちらのnoteでは、 アニメ情報誌ニュータイプに掲載された連載作品を アーカイブとして全編掲載しています。 公開作品は、本誌掲載から3ヶ月経過しているものです。 毎月、本誌発売日の2日前に本文と

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        制作過程と裏話 その4・心在らずフェス〈夢中のストラット〉

        月刊ニュータイプ 2023年7月号掲載 夢中のストラット その4『心在らずフェス』 〈memo〉 野外の音楽フェス、人生で2回ほど行ったことがあるんですけど、 あれ楽しいんですよね。 お外で、大好きな歌を生で聴いて、踊るって、食べのものの屋台もあるし、 まさに祭り…… インドア派の私には、体力的にハードル高いので、 そんなに頻繁には行けないですが、 けっこう好きな場です。 夕方とか本当に、人生のハイライトになりがちなやつ……はぁいい。 でももう暑すぎて、音楽フェスで一日中外で歩き回って踊り狂うなんて 夢のまた夢みたいに思えますね…… できてる人、まじですごいと思います。健康…… 今回は、コラージュ的な構成をイメージしました。 コラージュってそもそも「貼り付ける」意味で 連続性や関連性のない印刷物を切り貼りすることですが、 その「コラージュ感」って、その切り抜き一つ一つの 経緯や素材や目的のバラバラさがあってこそ成り立っているので、 経緯も素材も目的も一致した1枚絵として 全部同じ技法で描こうとしたところで、 コラージュ感出ないんですよね。 過去のいろんな場面からレイヤーを持ってくる、みたいなことで 完成時期をばらつかせる、というやり方も、 結構ちゃんとコラージュっぽくなると思うんですけど、 今回は普通にこの1枚は同時に生まれる新作なので、 そこも敢えてやるしかありません。 あとはまぁ「紙で貼った感」みたいなものは 可愛らしくなりそうですけど、別に本編に不要だったのでやらず、 技法とテクスチャは統一のまま、 ならばいかにコラージュするかということが課題だったんですけど、 まぁ、パースとか具体物の、抽象度の差をつけることで どうにかなるんじゃないかなと思い、描いてました。 「パースの抽象度」って何のこっちゃって話ですけど、 まぁレンズで除いたようなボケ具合とか、伸び具合とか、 そういうものをどう崩して、どう印象に近づけていくかですよね、 キュビズムってほど解れてはいないですが、 方向性としてはそういうことをしたことになります。 具体物の抽象度、モチーフ自体の具体度をどう崩していくのか、は、 客観的に見たら絵柄が違うように見えますよねもはや。 その点で言えばブブとナガヲもそうなのかもしれません。 まぁそれでいいんです。 7月号から9月号まで、同じ時間軸のお話にしました。 次回も続きになります。お楽しみに。 そして、東京国分寺で、 私の最後の抽象短編アニメーション作品類展、開催中です。 ぜひお越しください。 開廊日が少し変則的ですので、スケジュールご確認くださいませ。 では。 - - - - - - - - 小野ハナ 作品展 『 いえ 』 2023年9月4日(月) 〜 2023年9月27日(水) 月〜木:11:00 〜 17:00  日:11:00 〜 18:00 お休み:金、土、祝、12日(火)、20日(水) second 2. https://second02.com/ JR中央線、西武国分寺線、 西武多摩湖線 国分寺駅北口より徒歩約3分 〒185-0012 東京都国分寺市本町 4-12-4 1F (103) - - - - - - - -

        • その4 『心在らずフェス』 -夢中のストラット

          悪夢だった。最初、星空かな、と 思った。近寄ると、大勢の観客が振 るペンライトだとわかった。「ここ は自分の来る場所じゃない」と思っ たのに、帰らせてもらえない。 中央に、スポットライトに照らさ れた、とても狭いステージがあった。 私は後ろも振り返れずに、照明の真 下に立った。いや、立たされた。そ の途端、照明は消え、星々は、その 手に摘んだお札を、私に向かってヒ ラヒラさせながら、みんな暗闇に帰 っていった。お札が擦れる音が、ま るで虫の羽音のようだった。私だけ が一人残さ

        制作過程と裏話 その5・見守る拡声器〈夢中のストラット〉

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          制作過程と裏話 その3・大雨の誕生日〈夢中のストラット〉

          月刊ニュータイプ 2023年6月号掲載 夢中のストラット その3『大雨の誕生日』 〈memo〉 ナガヲの誕生月です! ナガヲは、双子座と蟹座の間くらいが誕生日らしいです。 編集部の人とお話ししていて、 ブブのナガヲへの愛の重さが出てきましたねと言われました。 はい、そうですね。ふふ。 冒頭、完全にタイムラプス録画のこと忘れて、背筋描いてますね。 筋肉の位置や名前、覚えたいなと思いながらすぐ忘れちゃいます。 けど、私がよく見ている動画配信者の方が、最近筋肉の大会に参加されてて その時にモリッと出ていた背筋は、学んだ通りの位置と形でした。 首が短く見えるからと、肩から首にかけての筋肉を ボトックスする人がいるらしいんですけど、 私はそこが坂になっている三角の撫で肩が好きです。 脱線しました。 全然関係ないんですけど、 最近「色っぽさ」に関して少し考えたことがあって、 自分あまり、他人に対して「わぁ〜エロいな!」って感じられないんですよね。 「これはエロを意識した演出・表現だな」というのはわかる(多分)んですが、 それに対して「そそられる」という感覚を自分は持っているのだろうか、 世の中の人はそそられるという感覚を持っているのだろうか、 それはどういうものなんだろうか、 とふと思って。唐突に。疑問に。 私が指す「他人」は、セクシーなお仕事をしている系の人がまず代表的な例で、 他には、エロ漫画とか、キャラクターに対してもそうで。 「これはいわゆる『えっちなやつ』だ!」ってのはわかるんですが、 そしてそれが冗談になるというのも、一般常識の雰囲気ではわかりつつ、 でもそれ以上何もないって感じなんです。男性性も女性性も。 だから割と下ネタとか苦手な方だし、そういうのが共感のベースにあるコミュニケーションとかも意味わかんないってなる派なんですけど。 で、これはもしかして、衣装に対する感性にも影響あるかも、とか 取り留めもなく考えたりしてたんですけど。 でも、一方で、 私食べることが好きなんですけど、 めちゃめちゃモッパンとか、異国の果物をもいでカットする様子だとか、 調理とかの動画は見るんです。 いわゆる「フードポルノ」ですよね。 めっちゃ「美味しそう〜〜〜めっちゃいい!!ライティングもアングルもシズル感も最高!!これはエロい!!絶対うまい!!自分もやろう!!」って思いながら見てるんです。 あぁ、食欲はちゃんとそそられてるな、って思ったんですよね。 それをきっかけに、 自分は明らかにエロに対する感性が薄いんだなと自覚しました。 自分の食欲はもう自負しちゃっているので、 それと同等のエロへの感度は明らかに持ってないなと、当社比で。 まぁこれからも、私は食欲派として生きていきます。 脱線を訂正する流れを完全に無視して全然関係ない話しましたね。 そういえば最近、ズッキーニが生で食べられるって初めて知って、 早速そうめんのつけだれとかにぶち込んだりしています。 きゅうりよりも渋みがなくて、ほわっと甘くまろやかで良いですね。 ズッキーニを生のまま細切りにして、 オリーブオイルと茹でささみと生トマトと塩胡椒で和えて、 少し砂糖と味の素入れて、ささみの茹で汁でまとめたら とっても美味しいサラダそうめんが出来上がって歓喜しました。 茹でささみが万能すぎるんですよね…… ささみを皮のままの丸ごとニンニクと一緒に塩茹でしてるだけなんですけど、 茹で汁は良い出汁が出ていて、味噌汁にもラーメンにも焼きそばにも冷汁にもお茶漬けにもスープパスタにも雑炊リゾットにも最高だし、たぶん茶碗蒸しとかお好み焼きとかにも抜群に合うだろうし、 ニンニクは、臭み消しの役割ではありますけど、普通に茹でニンニクとして食べられて、ほら生のままのにんにくって皮剥きにくいじゃないですか、けど茹でてあるから、実が柔らかくなっててスルッと剥けるんですよ、 それをパスタに使ったり、ペーストにして芋やパンに塗って焼いたり、絶対ピザとかも良いし、普通に肉焼く時にも使えますしね、あと茹でてあるからお腹に優しいんですよね。 で、ささみは普通に簡単に手で裂けて何にでも使えるし、竹串で刺しておやつとかにもできますし、 いやーまじでささみって良いなと思いますね、最近ずっとこれです。 あとささみの出し汁って、結構風味がキリッとしてるというか、 はっきりとしたコクが出て、濃くて、めっちゃ美味しいんですよね。 しかも、他の肉と違って、茹で汁に油が浮かないので、 保存する時に凝固した油を取り除く手間がなくてとても良いんです。 最初、友達から教えてもらって、豚のバラ肉でやってたんですけど、 それもめっちゃ美味しかったんですけど、 さすがに脂が多いので、常備菜としてはちょっと抵抗があって。 なので安くて脂質の少ないささみにしてみたんですよね、 あたりでしたね。 もはや全然関係ない話をする縛りみたいになって 絵の話全然してないのに結構文字数きちゃってるんですが、 もう一つ食べ物の話しますね。 そしたら今回はこのまま雑談で終わろうと思います。お疲れさまでした。 最近、自宅かき氷にハマっています。 最初は、無性にアジアンスイーツが食べたくなって、タピオカとココナッツミルクと煮豆とフルーツ、みたいな盛り合わせを作ったんですけど、すんごく美味しいけど、もっと手軽にしたいなと思って。ココナッツミルクも連日じゃさすがにお金かかるし飽きるなって。 で、パートナーが沖縄出身なんですけど、 沖縄のぜんざいも作ってみたいって話になったんですね。 沖縄のぜんざいは、聞いた話によると、大きめのあずきみたいな何らかの豆(たぶん金時豆かささげ)を、黒糖でしっとり茹でたものと、もち麦が入っているらしくて、それだったら結構手軽だしいいねと、何となくで自分たちで作ってみていまして。 もち麦、かき氷と合うんですよね。。あもちろん黒糖とかの和な甘みとの組み合わせが前提ですけど。(あ、蜂蜜とかも合います) もち麦は、生状態から茹でちゃうのが楽でいいんですけど、そこで一応じっくり20分以上くらい茹でたほうが、氷との食感が区別できていいですね。 あとお豆は、水にじっくり浸してからじっくり茹でる、でも食べられるんですけど、皮が気になるなら本当は圧力鍋がいいのかもしれないなーと思いつつ、自分は圧力鍋を持っていないので、そんな時は茹で汁ごと冷凍しちゃうと皮も柔らかくなりました。 茹で汁も黒糖のかき氷みたいになって美味しいです。 かき氷って氷削るだけだからすごい簡単なんですよね……テンション上がるし風流だしカロリー低いし、メリットだらけです。お腹冷えますけど。 さてそして、 今度9月に、東京国分寺のscond 2.というギャラリーさんで、 作品展を開きます。 これまでも、独立的に制作した短編アニメーションだったり、 抽象風景を描いたドローイング作品だったりを展示してきていましたが、 今回は、そういった「アニメーション作家・画家」としての活動を 一旦区切るための、回顧的統括的な展示にしようと思っています。 そこで、反省レポートじゃないですけど、 ちょっと自分でこれまでを振り返った冊子を用意しようとしていて、 今鋭意製作中です。 小野ハナってあんまりにもマルチだったじゃないですか(身も蓋もない……)、 一応そのおかげで、いろんなご縁があったり、 いろんな夢を叶えていただいたりしたんですけど、 そうなった経緯は決して全てが望み通りだったわけではなくて、 出自とかもめちゃくちゃ影響していて、 それが作品のクオリティとかをかなり揺らしていたんですよね。 その上で、この先どうやって続けていくのか、続けた先にどうなりたいのか、 そういうことを最近じっくり考えたりなどしていて、 それをご挨拶がてら整理したような冊子になる予定です。 グッズも、これまで作ってきたものをセットにして販売する予定です。 福袋ってやつですね。 今まで買っていただいた方には申し訳なくなるくらい お得な価格に設定する予定です。(すみません……) すでにお持ちの方には、先代は使い古していただいて、替えとして追加でお手元に、という役割でも良いですし、お裾分け用などにもどうぞという感じです。 宜しければぜひお越しください。 開廊日が少し不規則だったりしますので、 ご来場の際はカレンダーをご確認ください。 では。 - - - - - - - - 小野ハナ 作品展 『 いえ 』 2023年9月4日(月) 〜 2023年9月27日(水) 月〜木:11:00 〜 17:00  日:11:00 〜 18:00 お休み:金、土、祝、12日(火)、20日(水) second 2. https://second02.com/ JR中央線、西武国分寺線、 西武多摩湖線 国分寺駅北口より徒歩約3分 〒185-0012 東京都国分寺市本町 4-12-4 1F (103) - - - - - - - -

          制作過程と裏話 その3・大雨の誕生日〈夢中のストラット〉

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          その3 『大雨の誕生日』 -夢中のストラット

           今日は、待ちに待ったナガヲの誕生日だ。二人で祝うようになって3年になる。  去年は、ナガヲに秘密で美味しいイタリアンのお店を予約して、プレゼントには、ナガヲがずっと欲しがっていた黒いスニーカーと、クラシック系のアナログレコードを3枚あげた。ナガヲはとっても喜んでくれたけど、想像よりもずっと高価なものだったのか、「これ祟られない……?」と背中を丸めてしまった。  だから今年、私は反省したのだ。ナガヲが一番リラックスしなきゃ意味がない。お金をかけるんじゃなくて、『素敵な1日

          その3 『大雨の誕生日』 -夢中のストラット

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          制作過程と裏話 その2・あ、魚いた〈夢中のストラット〉

          月刊ニュータイプ 2023年5月号掲載 夢中のストラット その2『あ、魚いた』 〈memo〉 ニュータイプの編集者さんにお声がけをいただき始まった 私のオリジナルストーリーの短編連載、第2話です。 口上回です。 口上って、演劇とか劇団とか歌舞伎とかで、 何かの折に、上演に先立って、演者が舞台上からお伝えするご挨拶だとか、 あとは、アイドルのライブで、曲の間にファンが叫ぶ掛け声だとか あると思うんですが、 今回イメージしたのは、『男はつらいよ』(山田洋次監督作品)の 寅さんの口上、啖呵売です。 啖呵売は、 大小多様な嘘も織り交ぜ、もっともらしい言い回しでもって くだらない商品を売ろうとしているわけですが、 ここでのブブの場合は、まぁ多少大袈裟かもしれないにしても 一目惚れの口説き文句のような用途で用いておりますね。 音楽のような規則的なリズムがあるわけではないけれども、 階段を転がり落ちるボールのように コロコロと出てくる言葉は、非常にリズミカルで、 語りかける調子は落語や漫才にも近い感じがしますし、 瞬発力という点ではラップにも近いものがあって、 聞いてて楽しいですよね。 こう、言葉がするすると流れ込んできて、 だんだん体がノってくる感じがするというか。 発語の根本には、踊るような身体との付き合いがあると 以前、本(確か伊藤亜紗さん著の『どもる体』)で読んだのですが (お恥ずかしながら未読了)、 歌、ダンス、口上、ラップ、挨拶、会話、つぶやき、感嘆、などなど…… それらを「身体との付き合い」という視点で紐付けると、 意識とは別に、体の方に独自のリズムが流れているのがわかると言いますか、 自分という意識とは別の躍動する存在を感じられる気がすると言いますか、 それによってなんかこう、 「自分ってものは、身体という乗り物に乗っているんだな」 という気がしてくる、んですよね。 体を自由に動かすってめっちゃ難しくないですか? 運動神経の話からの、 スポーツやダンスが上手い下手みたいなことももちろんあるんですけど、 それよりももっと日常的な、 「自分の想像と同じ表情をして対面する」とか、 「健康的な姿勢で暮らす」とか、 「適度な声量で話す」とか、 「疲れていないときには息を荒げない」とか、 そういう仕草レベルのことも、 ふと考えると「体」を動かして成しているんだなと思うと、 なんでうまくできてるんだろう日頃…… いや、出来てなんかいないな…… この肉体は一体、今どう動かされて、空間の中にどう配置されているんだ…… 僕の手は、腹は、どこに居ると言うんだ…… という気持ちになってくるんですよね。(迷いが重い) ダンスや演技をしている人の方が、 自分の体がどんな形をしているのかについて 感度が精密というのは往々にしてあるわけですが、 自分はどちらかと言わずともかなり鈍な方だと思います。 体だけじゃなくて、言葉というものも、 どういうふうに聞こえるのかを客観的に把握して、 それを体得して使いこなすわけで、 そこには精度というものがもちろんあると思うわけです。 言葉なんて、音や抑揚だけじゃなく、意味も操っているわけで。 同じ言葉でも、前後の並びで意味合いが変わったり、 あるいは誰にとってどんな意味になるのかとかも、ときに覆ったり。 固定の絶対揺るがない姿ってものが無いじゃないですか。 外国語だってそうだし。 同じ実体を指していても、姿、「映え」は、ときに入れ替わる。 体だって、毎日栄養も細胞も入れ替わっているわけだし。 現象や条件や感情に一番沿うところに当てがって、 どうにか把握や、表現や、運動などをしているわけで。 そんな柔らかい外郭を操るって、 とても複雑なことしてるなぁって思、っちゃうんですよね。 反射ありがとう、認知ありがとう、言語野ありがとう、錯覚ありがとう、 私の出来ないことを全部してくれてありがとう、 っていう気持ちになります。 体ってなんかそういう、まるで他人のような、 本当はとても遠くて見通せない存在なんじゃないか って、ふと改めて考えちゃうことがありますね…… そして、私はこう、 頭で考えたものを口を通さずに出力して終えているわけですが、 あいや嘘つきました、この第5話目を書きながら何度も自分で口に出してみて せっせと推敲していたわけですが、 これがもう全然ダメで。 自分で口触りを確かめてもなんの参考にもならなくて。 口が、筋肉が、表現するところに達してないことを痛感するだけなんです。 抑揚も音色も音量も速さも息継ぎも、何もかも参考にならない。 私の体は身体表現としてはてんで使い物にならない。 (そういえば、月刊ニュータイプで対談させていただいた、七海ひろきさんの新連載『ナナミのキョウミ』で、これに近い話も出たんでした) ブブは口を通して、体を使って、意味を紡いで、出力しているので、 すごいなーと思います。 意識的にか非か、かなり練習しているんでしょうね。 話はズレるんですが、 今私のお腹には、1cmほどの胆石が1匹おりまして。 健康診断のエコー検査で見つかって、 いま病院に通いながら様子見ているところなんですけども。 以来、たまに激しい腹痛が襲ってくるようになったんです。 「胆石発作」っていうらしいんですけど、 消化液を分泌する「胆嚢」が、 食べ物を食べたことに反応して分泌時に収縮する際、 石がぎゅっと詰まることで、痛みを感じるみたいで。 胆嚢は働き者のようで、例えば牛乳を飲んだだけでも収縮するらしく、 激痛はたまにしか起こっていなかったけど、 収縮自体は毎食後、だいたい2〜3時間後に行われているみたいなんです。 それを知ってから、腹痛の予感が、 微々たる感覚の違いでわかるようになりまして。 激痛の時だけじゃなく、淡〜い、鈍〜い痛みの時もあるんですが、 めっちゃ微々たるやつでも、 「あ、これから大体あれくらいの痛みが、何時から何時まで続くな」 って、前もって覚悟ができるようになったんです。 しかも結構正確なんです。 いや褒められたもんじゃないですけどね。 でも「胆石発作」という言葉を知るまでは、 胆石発作が起こっているなんて、微塵も考えてないわけです。 でも胆石というものは、 1cmくらいの大きさになるまでに、5年とか10年とか掛かるみたいなんですね。 (食事内容がコレステロールに偏っていることだけでなく、 食事時間の不順が習慣化していたりすると、胆石は育つらしいです) だから、ある程度長い期間、お腹には居たはずなんです。 つまり今までに、 食あたりとか、ストレスとか、疲れとかかな?と思っていたいくつかの腹痛も、 どれかは胆石のせいだった可能性もあるわけです。 なのに全く知らずに過ごしていた。 それが、知ったことによって、今では、 「このあとあれくらいの痛みの胆石発作が、何時から何時まで続くな」 とわかるし、それがわかっちゃうことによって 「じゃ、今からスーパーに行こうと思ってたけど、ダラダラしーてよ」 というふうに、積極的に省エネモードに切り替えることなんていう、 掌握した上での余裕を持った選択が、できちゃうわけです。 台風の被害を未然に防ぐようなことですよね。 無闇に痛みに耐えない。課さない。 こうやって自分の体とのコミュニケーションの解像度を高めていくのだと。 いやぁすばらしいな。これが体との対話か。 意外と自分にもできるんじゃないか。なんて思いながら。 そんなところで自分の成長を感じたりして。 である日、なんかとっても悲しい気持ちの日があったんです。 なんかすごく悲しくて、何にもやる気が出ないし、 なんか、元気がない日というのとも違う、 何か決定的な悲しみを抱いているように感じた日があったんですね。 でも理由がそんなに思い当たらないんですよ。 こんな、いきなり今日に限ってぐんと盛り上がるような悲しみのきっかけ、 別にないなぁ。美味しいものも食べたしなぁ。 なんか大失敗したわけでもないし。 買い物もしたし。掃除もしたし。悪くないなぁ。 なんだろなぁ。あぁ悲しい悲しい。 って思ってたんです。 それが数時間後にふと、「頭痛」だとわかったんです。 頭が痛かっただけ。 ……「悲しみ」と全然関係ない。 昔からあまり頭痛が起きない体質だったので、 その感覚が頭痛だってわかんなかったんです。 だから、頭の痛みを感じながら 「私の心に何が起きているんだ?」って、 心の問題かと思って悶々と考えてたんです。 痛みを感じているのに、その感覚の素性を知らないから、 痛点からの情報だということすら認識できてなかった。 そのせいで、間違った世界線に迷い込んでいたなと。 で原因は、低気圧でしたね。 その日はなんか、みんながすごい、低気圧だーって言ってました。 低気圧によって体調が崩れるとかいうのも、 私にとってはここ数年の出来事なもので、思い至らなかったんですが、 にしても、それにしても、 大気が動いたことで、「私とても悲しい」と認識してしまうんだから、 闇雲に生きているなぁと。これぞまさに闇雲であると。 身体との対話なんてできるわけないなと思いました。 これで本当に爆弾低気圧だ台風だと来てしまっちゃったら 大泣きしてるかもしれないですよ。「特大悲しいー」っつって。 こりゃ桶屋も儲かるわけです。 もちろん痛み止めを飲むタイミングは逃しました。 そして低気圧が終わったら、スッと治りましたね。 低気圧認識の精度、ちょっとこれから上げていこうと思います。 敵は低気圧だと、タゲ把握しましたので。 雨の三日も降れば……いや、それは無理だな…… 地道にヘクトパスカルを読み解いたほうがいいかもしれないですね。 月刊ニュータイプ、2023年8月号は、本日7月10日発売です。 今回はまた少し凝った構成に挑戦しまして、 多分noteにはそのまま掲載できないので、 何卒本誌をお手に取っていただければ嬉しいです。 夢中のストラットは第5話、フェス回その2です。 それと、本文中で少しだけ触れましたが、 7月号からの続きで、この8月号でも、 七海ひろきさんの連載コーナー『ナナミのキョウミ』に載せて頂いています。 前後編の後編です。 七海さんの興味にまっすぐに取材を行うというコーナーです。 7月号では主にモルカーDSのお話をさせていただていて、 8月号では私個人の制作への考えについてを主に聞いていただいたんですが、 ご好意で、私からも少し何か質問していいとお時間を頂いたもので、 あの宝塚ご出身で、退団後も、プロデュースや声優などに活動を広げつつ 役者や歌手としての活動を緩めない表現者・七海ひろきさんに、 七海さんにとっての「身体で表現する感覚」についてを、 すこしだけ聞いちゃったりなどしました。 感激でしたね…… 「身体と向き合って生きている人だ」という感動がありました。 素敵な機会をありがとうございます。 そして新連載の一番最初にお声がけいただき、とっても光栄でした。 こちらもぜひ、本誌で見ていただけたら幸いです。 あと最後に、Threadsを始めましたので、そちらもよろしくお願いします! 500文字まで投稿可能というのを活かして、 noteよりもライトに、そしてよりリアルタイムな制作近況を アップしていこうと思います。 たまにぼさっと呟いたりもするかな。 @__onohana です。Instagramと連携しています。 https://www.threads.net/@__onohana ではまた。

          制作過程と裏話 その2・あ、魚いた〈夢中のストラット〉

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          その2・あ、魚いた 〈夢中のストラット〉

          さぁ、さぁそこの可愛いお魚さん 寄ってらっしゃい見てらっしゃい そのキラキラと美しい尾ひれを どうぞここいらで休ませてって頂戴 いや怪しい者じゃございあせん 君たちと泳ぎたいただの一般人 あぁしかしここにゃ声と足 こりゃ人間の証 君たちを貪りたいただの野蛮人 これでは怪しい 警戒もごもっとも それでも愛しい パートオブユアワールド エサはないけど一緒に踊ろうよ 水の中でも響く音があるよ 君たち魚も サウンドオブネイチャーの ハーモニーを嗜むことくらい あるだろう ねぇ!

          その2・あ、魚いた 〈夢中のストラット〉

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          制作過程と裏話 その1・花見に逃げ腰〈夢中のストラット〉

          Newtype 2023年4月号掲載 夢中のストラット その1『花見に逃げ腰』 〈memo〉 ニュータイプの編集者さんにお声がけをいただき始まった 私のオリジナルストーリーの短編連載、第1話です。 思えば小学1年生の時から漫画家を目指し、 14歳から22歳くらいまで「今は描けないな」と思い続けたのももう15年前。 物語を描きたい気持ちが抑えきれず、 たとえ漫画を描く予定がなくても、 プロットやら人物像の肉付けみたいなことを、 癖でやっているような大人になってしまいました。 そういう構成的な想像をするのが癖になっていたわりには、 「漫画を描く」ということは「絵を描くこと」なのだと、 私の中でかなり強く思っていたことも影響したかも知れません。 だからこそ「アニメーション」の世界に飛び込み、 それなりに体当たりしながら魅了もされて、10年を過ごしたわけですが。 そういえば小説だったら、絵を描かなくても物語描けるんですね。 全然思いつかなかったです。 今思えばなぜ、そんなに強く「物語=漫画=絵」だと思っていたのか…… というわけで小説を書くのは、小学校での国語の時間の課題以来で、 ほとんど初めてです。 たった3ヶ月前ですが、読み返すと拙さを感じます。 でも書いていると、水の中でも息ができるような、 そういう爽快感に包まれます。 文章表現って面白いな、なんてカラフルで巧妙な世界なんだと。 この先もまだまだ、読み返したらちょっと拙いと感じる作品を 私は作り出していくと思います。 いつか自分で読んでも傑作だと思えるものが作れたら良いですね。 さて本題です。 月刊誌ということで、 その季節の何かしらをモチーフに取り入れて物語を歩み始めようかと思い、 この号はひとまず、新連載のお祝いの意味も込めて、桜になりました。 登場人物は、 極度の人見知り、内向派なピンクのちんちくりんのヴォーカル「ブブ」と、 ロングな三つ編みと丸眼鏡が目印の外向派、 アコーディオン弾きの「ナガヲ」です。 ふたりは、音楽を愛するアマチュアの音楽家です。 ブブは、「歌を愛する」というよりかは、 もはや呼吸や消化排泄のように自然とやってしまう天才肌。 ナガヲは、音楽を一生の仕事にしたくて努力や計画を惜しまない一方で、 ブブの歌や世界観を愛していて、 彼女のどんな”はみだし”も”雪崩”も、飄々とした顔で受け止める 優しいしっかり者です。 さてふたりは果たして、念願のメジャーデビューができるのか。 どうでしょうか。 本誌で頂いている1ページは、 分量としては決して多くはないので、 調子に乗って文章を書いてしまうと あっという間に絵を見せる余白がなくなってしまうし、 また調子に乗って絵を描いてしまうと あっという間に文章を書く余白がなくなってしまうので、 先に文章を決め、文字数を固めてから、画面構成を組みます。 (しかし3ヶ月後、絵に文章はどんどん被って良いと開き直ることになります) 結構スピーディに連載が決まったこともあって、 この時はまだ、さてどんな作り方をしようか確立ができておらず、 この号では CLIP STUDIO PAINT を使ってみているのですが、 なんと次号、早速 Procreate に乗り換えます。 そう、なぜタイムラプスでもないのに過程を動画にしているかというと、 来月号からタイムラプスが公開できるからです。 今月号は、クリスタのタイムラプス記録チェックを押すのを忘れており、 残っていませんでした…… ( Procreate は自動で記録されるからチェック忘れなし) と言っても今月号は、クリスタでもほとんどラフ程度までで、 本格的な着彩などはPhotoshopでよく描いたので、 どちらにせよあまり記録に適した環境ではなかったんですが。 ただこの作画作業の前後で、Adobeはよく使っていて、 文字の配置や文章調整には Illustrator を、 CMYK化や色調調整に Photoshop を使っています。 今回は僅かに残っている途中経過のデータを組み込みつつ、 仕上げのレイヤー構造を紹介しました。アハ体験のようですみません。 初稿納品では、文章は確定のものを、 絵の方は、一旦色合いや構図が見通せるところまで進めています。 そこから校了までのところで、編集部のデザイナーさんに テキスト部分のレイアウト編集を進めて頂いています。 その間、私の方ではイラストを仕上げ、 最後に絵の最終データをお渡しして差し替えてもらい、校了になります。 校了後は、印刷、そして毎月10日目安で本屋さんに並ぶんですね。 新連載掲載号の見本誌をいただいた時に、 紙で自分の作品を手にした嬉しさがありました。 自分のオリジナル作品がメディアに載ることの嬉しさがまず第一。 そして、テレビで放映していただけた事は何度かありつつも、 紙に出力されたものを手にした経験はほとんどなかったんです。 映像編集を仕事にしていても、根はアナログ人間なままなようです。 思えばこの連載も、 最初「紙に絵の具で描こうかな……」と悩むところから始めたんでした。 「いや1ページといえどもそんなに時間ないぞ、失敗時のリスクが高い……」 的な葛藤をして、結局デジタルイラストに落ち着いたわけですが。 とはいえ、編集部の担当の方には 「なんでも自由にやっていい」と言っていただいているので、 この先、アナログ絵になる月もあるかも知れませんし、 小説じゃなくて漫画になる月もあるかも知れません。 楽しみです。 といった形で、制作過程と裏話を 定期的にこのnoteにアップしてまいります。 初号だから長くなってしまったのだろうか、 それともこの分量で続けていくのか……果たして。 最新話数は、ぜひ本誌である「Newtype」にて。 毎月10日頃発売です。 どうぞよろしくお願いします。

          制作過程と裏話 その1・花見に逃げ腰〈夢中のストラット〉

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          その1・花見に逃げ腰 〈夢中のストラット〉

          作・絵 小野ハナ  めっちゃ桜。まじ満開。天気もいいし、ほんとお花見に最高な日。あちこちからお弁当や屋台の気配がする。から揚げ、お好み焼き、砂糖が温められたような、あまい匂い。  雪解けで太った灰青のうねりに沿って、満開の桜の白が爆発している。その奥には、まだ頭の白い山が見える。暖かくなった風。あぁ、春だ。毎年この川沿いには、どこから沸いたのかと疑いたくなるほどの人が、花を求めてみちみちに集い、酒を浴びて暴れ、愛想笑いとくだらない世辞愚痴を投げつけあって喚く。 「こーれ

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          origami of landscape

          animation : Onohana 2015

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