[野球] 武田久について。

「2回も手術して、また来年もできる。感謝しかないです。自分のためだけじゃない。球団の人、リハビリに携わっていただいてる人、いろんな人の思いを感じながら、もう1度1軍のマウンドに立ちたいです」

日本ハム武田久、大幅減も「来年もできる。感謝」

 昨シーズンがプロ入り後初と言っていい大不振で、年俸2億4000万から8000万へと大減俸。今シーズンに再起を賭ける思いは並々ならぬものがあったはず。小さなカラダで7シーズン連続で50試合以上、8シーズン連続で40試合以上を投げ続けてセーブ王3回、ホールド王1回を獲得したファイターズ史上に残るクローザー。積年の疲労がたたっての体力的限界は、ファンだけでなく本人が一番感じていたはず。プライドの高い選手だけに、今年精一杯やってダメなら引退も視野にあったはずです。今春のキャンプ中のインタビューには鬼気迫るものがありました。

 それだけに、オープン戦中のケガでの離脱は本人もショックだったと思います。2度に渡る手術とリハビリで、プロ入りして初めて一軍登板がなかった。進退を賭けるはずだったシーズンで、勝負もできなかった。不完全燃焼に終わってしまった。まだオレは燃え尽きていない。これじゃ辞められない。そういう思いがあったに違いありません。

 年齢的・体力的限界・度重なるケガ。普通なら戦力外になっても不思議ではない。だが久は球団の大功労者です。2007年の日本一の実質的なMVPは武田久だったという評価もあります。ダルビッシュがいなくなった今、北海道移転後の投手では最大の功労者と言っていい。だから球団は進退を本人に委ねた。気の済むまで、納得のいくまでやれと。いくら大減俸でも年俸提示は戦力として期待しているという意思表示です。たとえ建前であっても。戦力外を覚悟していたのに、もう1年やれる。本人の言葉通り、感謝しかないでしょう。現実的に、彼のカムバックの可能性は限りなく低いとしても。

 この人は今、ものすごく貴重な、いい経験をしていると思います。いいときと悪い時、天国と地獄と両方味わうことで、イケイケだった全盛期とは比べものにならない人間的深みを得ていることが、伝えられる断片的な言葉からも感じられます。たとえ引退しても、この人はいい指導者になれるんじゃないでしょうか。厳しさと優しさを兼ね備え、小さなカラダのハンデを克服する技術を教えられる、理想的な指導者に。

 がんばれ、久。 

 

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