[野球] 斎藤佑樹の談話について。

日ハム斎藤佑、紅白戦での大乱調に苦悩 「あとちょっとなんです」

 「完璧に打たれたのはレアードだけ。あと、ちょっとなんです。もう1個、半分でもボールが入るだけで打球が違ってくる。その辺りの感覚を僕の中ではつかみきれていない。今年に限ったことではないですが。(中略)結果としてあるので、ちゃんと捉えて反省する。フォームの修正は試合で出せている」

 先日の紅白戦、西川、中島、大谷、レアードに4連打で4点取られた後の談話です。これには正直呆れてしまいました。並外れた負けず嫌いなのか、現実が見えてない、あるいは見たくないのか。

 このゲームの中継は私も見てましたが、私の見た限り、打たれたヒットは飛んだコースが良かったとか打ち損じのボテボテが…とかいうしょぼいヒットではなく、どれも目の覚めるような鋭い当たりばかり。おっつけ専門の中島が引っ張って進塁打を打とうとした当たりが、鋭く一二塁間を抜けていったことからもわかる通り、甘いタマをことごとく捉えられた結果です。「完璧に打たれたのはレアードだけ」なんてとんでもない。タマの力が無いから、ちょっとでもコースが甘く入ると、簡単に打ち返されてしまう。今の斎藤の投げるタマの威力はそんなものなんです。力不足の若手打者なら相手が打ち損じてくれたりごまかしも利きますが、一軍レギュラーレベルの選手だとそうはいかない。しかも一球や二球じゃない。ああ何度も続けて甘く入るのは、単純なケアレスミスではなく、なにか根本的な欠陥があるんじゃないでしょうか。

 「もう1個、半分でもボールが入るだけで打球が違ってくる」という発言も、評論家的にいえばその通りなんですが、そのボール半個の出し入れができるかどうかがプロの一軍で活躍できるかどうかの境目です。わずか半個でも、それは「もうちょっと」じゃない。とてつもなく高い壁であり、深く広い溝なんです。それができないから斎藤はいつまでもたっても成績を残せない。ボール半個の出し入れができなくても、多少甘く入っても打者を圧倒できるような、打ち損じをさせるような球威やキレがあればまだしも、そんなものはないのはわかりきったこと。もしそれを自覚してるのなら、斎藤がやるべきことは明らかなのに、「その辺りの感覚をつかみきれていない」のは「今年に限ったことではない」と言う。努力はしてるんでしょうが、何年もその「感覚」を掴みきれてないなら、努力の方向が間違っているか、才能がないかどちらかです。しかし斎藤の談話からは、そういう自覚はうかがえませんね。もしかしたらまだ自分の力を過大評価してるんでしょうか?

 この時期は一般に打者より投手の方が仕上がりが早く、投手有利だと言われています。またレギュラークラスの打者は開幕に照準を合わせているので、なおさら調整途上のはず。それをこうもあっさり捉えられてしまう。斎藤は実績という信頼がない分、今の時期から猛アピールしなきゃいけないのに、この有様なのです。もっとも同様に先発した早稲田の後輩・有原も打たれてましたが、これは守備に足を引っ張られてましたし、斎藤とは事情が違う。

 もちろんキャンプ地のアリゾナは空気が乾燥していて打球は良く飛ぶし、変化球も曲がらないということで、打者有利と言われているそうです。なので結論は日本に帰ってきてからになりますが、斎藤にとっては、信頼する吉井コーチが帰ってきた今年が実質的なラスト・チャンス。悔いの無いようにやってほしいものです。

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