[オーディオ] Fundamentalの電源ケーブル RPC10

http://www.fundamental.jp/product.html#51

 久々にオーディオの話題など。新しい電源ケーブルを使う機会がありました。FundamentalのRPC10です。私は今、同じFundamentalのSM10Zというスピーカーを常用していますが、そこからリリースされたばかりの新製品です。ここでも何度か紹介していますが、Fundametalはエンジニアの鈴木哲氏によって創立されたオーディオメーカーです。ひょんなことから私は同社のスピーカーSM10(現在はヴァージョン・アップしてSM10Z)を使うことになり、その歯切れよくバランスのいい鳴りっぷりに惚れ込んで、現在までメインの機器として日々の音楽鑑賞に使っています。鈴木さんが以前所属していたSOULNOTEのDAC sd2.0も使っており、いわば自分のオーディオシステムの中核にあるのがFundamental / SOULNOTEというわけです。

 そのFunadametalが今年に入っていきなりリリースしたのがRPC10。オーディオに於ける電源の重要性はよく知られているでしょうが、私も試聴会等で電源ケーブルや電源タップの交換で音が大きく変わることを何度も経験しており、現在も手持ちの機器のケーブルをとっかえひっかえして音の違いを楽しんでおります。

 Fundamental、というか鈴木さんは、ケーブルなどアクセサリーの重要性はもちろん十分認識しているものの、あまりにアクセサリー類に懲りすぎて、ケーブルにオーディオシステム全体が支配されてしまうようなあり方には批判的だったと記憶しています。オーディオ用の専用電源を引いたりマイ電柱を建てるような特殊なマニア向けではなく、ごく普通の一般家庭でも最大限に音の良さを発揮できるように、高価なケーブルを導入しなくても、良い音で楽しめるように機器を作り、それにあわせたリーズナブルな電源ケーブルを提供する。たいがいのオーディオ製品は、電源ケーブルにはありあわせの安物しか使ってないので、付属のケーブルから、他社製のオーディオ専用ケーブルに交換した方が音が良くなることが多い。でもFundamentalやSOULNOTEの製品は自社開発のケーブルを使ってチューニングしてるので、他社の高価なケーブルに交換しても、あまりいい結果にならず、結局「付属ケーブルが一番良かった」と言われることが多いようです。なぜかというと、FundamentalやSOULNOTE製品の良さは、音に余計な色づけがなく、ソースの音をありのままに再現するフラットさにあるから。でも一般的なオーディオケーブルは大なり小なり音に個性や色があって、その個性が肌にあえばいいけど、大抵の場合機器の良さを損なってしまうケースが多い、ということだと思います。

 そんなわけで私もsd2.0は付属のケーブルを使っていたんですが、そういうポリシーを持つFundamentalが電源ケーブルを、しかも同社としては比較的高価な(でも一般的なオーディオ専用ケーブルに比べれば安価)15,000円という価格で発売。音に関しては確固たるポリシーがあり妥協しない鈴木さんがあえて今世に問うてきた製品です。早速我が家にも導入してみました。

 我が家で常用している機器は次の通り

CDプレイヤー ESOTERIC DV-50s
DAコンバーター SOULNOTE sd2.0
プリアンプ LINN KLIMAX KONTROLL
パワーアンプ LINN KLOUT 
アナログ・プレイヤー Technics SL-1200 MK3 
スピーカー FUNDAMENTAL SM10Z

このうち電源ケーブルが脱着可能なのは上の4機種。私はデータ再生が主でCDプレイヤーはふだんあまり使わないので、今回はDAコンバーター、プリ/パワーアンプで試してみることにしました。まずは使っていたケーブルをRPC10に交換。メーカーが言うには機器に馴染ませるためにエージングは最低でも100時間(それで80%ぐらいの進行)必要ということなので、それ以上の使用時間が経過したところで、旧ケーブルに交換して、音の違いを確認してみました。

 まずはパワーアンプLINN KLOUT。元はオヤイデ、キンバー、LINN純正などとっかえひっかえ使ってましたが、ここのところはPS AUDIO PLUSで鳴らしていました。比較的安価なケーブルですが、ウチのシステムではよく鳴ってくれました。これをエージングの進んだRPC10に交換。

 違いは歴然でした。予想以上の差です。まずローの出方が違う。ヴォリュームも違うし、質感も、引き締まり方も違う。そして高域も、RPC10の方がよく伸びていて透明感がある。音場もRPCの方が広がりがあり、旧ケーブルはこれに比べると全体にすすけた感じで寝ぼけた音に聞こえました。メーカーの人からは、消費電力が大きいパワーアンプが一番違いが出やすいと聞きましたが、その通りでした。

 続いてプリアンプLINN KLIMAX KONTROLL。これは買った時についてきたLINNの純正ケーブルを使っていました。これには理由があって、KLIMAXの電源ケーブルのコネクタ部分の上に意味不明な庇のようなものが出っ張っていて、他社のプラグの大きいオーディオ専用ケーブルはひっかかってしまい繋ぐことができないんですね。なので電源ケーブルは純正のものを使うしかなかったんですが、なんとFundamentalのRPC10は、プラグ部分が小さいのでばっちり繋ぐことができた。早速交換したところ、パワーアンプほどではないにしろ、違いははっきり出ました。低域の出方についてはパワーアンプと同じ。質感もヴォリュームもRPC10の方が上。高域の伸びはパワーアンプほどではありませんでしたが、全体にヴェールが剥がれたようなクリアな音になりました。また付属のケーブルだと全体に音像がこじんまりしているように感じられました。

 そして最後にDAコンバーター sd2.0。これまでは前述の通りSOULNOTEの純正ケーブルを使っていました。同じ設計者が手がけた新ヴァージョンのケーブルに交換するわけです。交換した結果は、やはり違いははっきり出ました。3機種共通の違いとして低域の違いは歴然。また高域も自然に伸びています。音色�が変わらないのにレンジだけが広がり、音像にも奥行きが出ました。気のせいか、ヴォリューム(音量)も増したような・・・

 変化の総量でいうと、KLOUTが大きく、次いでKLIMAX KONTROLL/sd2.0(同じぐらい)でしょうか。もちろんもっと高価なケーブルと比較してどうなのかはわかりませんが、3機種とも、基本的な音の傾向は変わりないのに、音のクオリティだけがあがっていく点は共通していました。価格も比較的リーズナブルなので、試す価値はあるかと思います。このメーカーの常で、エージングには時間がかかりますが・・・

 ちなみにこのケーブル、プラグの形状は2Pです。極性の違いに注意しましょう。

 

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