[野球] 対ホークス 3連勝

日本ハム 5-1 ソフトバンク
日本ハム 3-2 ソフトバンク
日本ハム 4-0 ソフトバンク

 前回このnoteを更新したのが6月30日。ホームでソフトバンクに3連敗し、交流戦から数えて6連敗とチーム状態はどん底というタイミングでした。この時点で首位とのゲーム差は6に開きました。次のカードは激しく競り合っている西武楽天ロッテ相手の9連戦。ここで大きく負け越すようならシーズン終了の危機でしたが、なんとか6勝3敗と勝ち越したのはラッキーでした。とはいえソフトバンクは7勝2敗とそれ以上の好成績で、結局ゲーム差は7に開きオールスターブレイクを経て、今度は敵地でソフトバンクと3連戦です。残り試合は60を切っており、オールスター明けはあっという間にシーズン終盤に突入していきます。優勝を狙うには、さすがにこれ以上離されると苦しい。栗山監督はここがシーズンののるかそるかの勝負どころと踏み、3タテを狙うと公言して、敵地に乗り込み、その言葉通りに3連勝。見事だったと思います。

 特に痺れたのはカード第2戦です。2-2の同点で迎えた8回裏、石川直也が登板し、先頭打者の牧原がいきなりセーフティバントを敢行、ダッシュよくボールを掴んだ渡邊が咄嗟のグラブトスで間一髪アウトにするスーパープレー。これが非常に大きかった。牧原はこの試合、先制となる今季第一号を打ち、4回には失点に繋がるエラーをするものの、それを取り返すかのようなファインプレーを要所で連発していて、この試合のソフトバンク側のキーマンともいうべき存在でした。彼が先頭打者で出ていたら、試合はどうなっていたか全くわからなかった。しかしナベのスーパープレーで勇気づけられたか、石川直は続くグラシアルとデスパイネを連続して空振り三振に斬ってとり、わずか9球で8回裏を三者凡退に終えて、チームに勢いをつけます。

 続く9回表、先頭の中田が四球を選ぶ。明らかに流れがハムに来ている。すかさず監督は中田に代走・中島を告げました。ここまで6人の投手を次々と注ぎ込んで、4番に代走。この回で何がなんでも決める、という指揮官の強い意思、というよりは執念です。延長戦のことなど考えない、いわばバクチ采配。それだけの思い切った手を打たないと勝てない、3タテするためにはここに全てを注ぎ込んで、なにがなんでも勝ちにいく。もちろん失敗すればアレコレ言われることは覚悟の上でしょう。続くナベが、バントしようとしたタマがまさかのデッドボールとなり、無死1,2塁。続く賢介が、まるで犠打王になった2006年当時のような完璧すぎる送りバントを一発で決めて一死2,3塁(バントでみすみす相手に1アウトを与える作戦の是非は、ここでは置きます)。ここで工藤監督は代打杉谷を申告敬遠にするわけですが、コントロールが定まらずストライクをとるのに汲々としていた甲斐野に、満塁という状況は(守りやすいという利点はあるものの)かえってプレッシャーになったのではないでしょうか。続く石井一成は三振に倒れたものの、代打宇佐見が冷静にタマを見極めて四球を選び押し出しで勝ち越し。この1点を秋吉が守って2連勝。非常にハムらしい、粘り強く勢いのつく勝ち方で、今日の西川の先頭打者HRに繋げました。

 この3連戦で際だっていたのは投手陣の頑張り。3連戦で失点はわずかに3、許したヒットはたった11本、1試合あたり4本以下です。それだけ相手の打線がどん底状態にあったということでもありますが、ここ一番の投手陣の踏ん張り、特にリリーフ陣の完璧な仕事に脱帽です。3試合で一番長く投げたのは今日の有原の8イニングですが、それ以外はすべて細かく投手を繋いでいく継投策でした。特に最初に2試合は、2試合でのべ14人の投手を使う執念の策。石川直、宮西、秋吉の「勝利の方程式」の安定感は抜群で、秋吉の復帰は非常に大きい。石川直はここにきて去年の終盤のような相手を圧倒する投球が戻ってきました。公文玉井もよい仕事をしている。シーズンの節目となる重要なカード3試合のうち2試合に「ショートスターター戦法」を使わざるをえなかった先発事情の苦しさはあります。しかし、シーズン当初からショートスターター戦法を、外部からの批判にも負けず何度も何度も採用して試行錯誤してきた経験が、ここにきて役に立っていると認めないわけにはいきません。選手が首脳陣の考えをよく理解し、それぞれの役割をちゃんと咀嚼して、そのための調整を完璧にこなし、首脳陣も継投のタイミングや登板数、連投数などうまく調整してブルペンに負荷がかかりすぎないように工夫している。私は今でもショートスターター戦法には批判的ですが、栗山監督の「やりくり上手」は認めないわけにかいかない。今日同じようにショートスターターを使ったソフトバンクが失敗したのは、ハムとの経験値の差でしょう。

 もちろん3タテしてもまだ4ゲーム差あります。もう1回3タテしてもまだ追いつかない。このカード、ハムは3タテ必須で、負け越したらシーズン終了になりかねませんでしたが、ソフトバンクはたとえ負け越しても3連敗しなきゃいい、いやたとえ3連敗してもまだ4ゲームあると、余裕があったはずです。実際、試合後の工藤監督の談話も余裕を感じさせるものでした。3試合ともどっちに転んでもおかしくない展開だったと思いますが、最後に勝敗を分けたのは勝負への執着、このカードに賭ける執念の違いと思います。

 しかし問題はこのあとです。このあとに続くロッテ、オリックス相手の5試合を絶対に取りこぼさないこと。最大の難敵を知力・体力・戦力のすべてを使って打ち破ったあと、抜け殻のようになってしまって、下位チームに不甲斐ない負け方をしてしまう。よくあることです。このあとソフトバンクはキューバ代表試合のためグラシアルとモイネロを欠くことになりますが、その間にどれだけ4ゲーム差を縮められるか。次のソフトバンク戦は8月2〜4日の札幌ドーム。そこまでに最低でも1カードで逆転できる3ゲーム差以内に詰めておきたいですね。 


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