[野球] シーズン序盤にて最大の危機 [日本ハムファイターズ]

30日の公示

【パ・リーグ】
■出場選手登録抹消
日本ハム
投手 上沢直之
投手 浦野博司
外野手 王柏融

 そろそろ野球関係の記事を更新しようと思ったら、この衝撃的なニュースです。開幕投手に抜擢され、エース格の働きを期待された上沢と、去年中継ぎでいい働きをした浦野が登録抹消。開幕から重要局面での被弾癖が収まらず、勝ち試合をいくつも落とす原因となった浦野は当然としても、ローテの柱としてフル回転してもらうはずだった上沢の登録抹消は意外でした。ソフトバンク戦で4点リードを守れずKOを食らったものの、もう1戦ぐらい様子を見るかと思いましたが、早めの再調整で最短で上がってきてほしいという首脳陣の判断でしょう。

 いろんな見方があると思いますが、もはや投手陣は崩壊寸前。先発でマトモに勝ち星を計算できそうなのは有原だけで、勝ちがついているのもほかにロドリゲスと金子だけです。明日の予告先発は堀ですが、左のリリーフとしていい働きをしていた堀を急遽先発に回さなければならないほど台所事情は逼迫しています。マルチネスが開幕直前に故障離脱し復帰の目処も立っていないのは大誤算でしたが、それにしてもここまで先発陣が足りなくなるとは意外でした。若手筆頭として期待された上原は期待を裏切り、ショートスターターで起用された加藤は、結局中継ぎのピンチの場面に出てきて痛打を食らうなど、首脳陣の一貫しない起用法に明らかに調子を崩しています。先発完投型で十分すぎる実績のある金子は、ショートスターター、中継ぎ、果ては敗戦処理と、加藤以上に一貫しない起用法で、宝の持ち腐れもいいところ。金子本人と首脳陣がどんな話をしているかわかりませんが、今の起用法ではチームのためにならないどころか、金子の選手人生にもいい影響はもたらさない。明日堀が先発としていい投球をしてくれれば少しは希望が持てますが、今の首脳陣だと、たとえいい投球をしてもまたショートスターターとか言って3回ぐらいで交代して加藤やバーベイトを使って打たれて……という、今季何度も何度もみた光景を繰り返しそうで不安です。

 そして救援陣はもっとひどい。2019年の先発防御率は3.29なのに、救援防御率は4.85と、1.5以上悪い。 まともなのは宮西、公文、秋吉だけで、かろうじて玉井が便利屋的に踏ん張っているのみ。秋吉が今季ヤクルトから加入していなかったらどうなっていたかと思うとゾッとします。登板数トップの浦野が防御率7.84でファーム落ちなんだからあとは察するべきです。バーベイトは先発だか救援だか定まらない起用法で、本人も戸惑いがあるんじゃないでしょうか。ハンコックはとっくにファーム落ちで、この両外人が期待外れなのも大きい。北海道移転後のハムは武田久、宮西、谷元、増井など、ドラフト3位以下の下位で大学社会人出のリリーフ候補を拾ってきて(ドラ1は先発完投型の大型投手か野手)、戦力に仕立てるのが伝統的に得意で、それが鉄壁のブルペンとして長年チームを支えてきたわけですが、それがここ数年、生田目、西村、井口、田中豊樹など指名選手がことごとく期待を裏切っており、それがブルペンの弱体化に繋がっているものと思われます。故障で出遅れた新人の生田目、ファームでは実戦で投げ始めてますが、いつ使えるようになるんでしょうか。

そしてある意味でそれ以上に衝撃的なのは王柏融の故障離脱です。昨日の試合で途中交代したときはそんな大事になるとは思いませんでしたが、まだシーズンが始まったばかりで無理はさせられないということでしょうか。これまでのちょくちょく小さな故障を繰り返していて、慣れぬ異国の地で祖国の大きな期待を背負ってのプレー、いろいろプレッシャーもあったのでしょう。日本の投手にも慣れ始め、調子もあがってきていただけに残念ですが、これは仕方ない。体調を万全にして、またあがってきてほしい。

 今年のハムの打撃陣は清宮の成長と、王の安打製造機ぶりを当てにして、あえてレアードを深追いせず、王以外の外国人野手の補強をしなかったわけですが、それが2人とも故障離脱してしまい、シーズン当初のもくろみは大きく外れてしまいました。フロントの見通しの甘さ以外のなにものでもありませんが、シーズン当初の極貧状態から少しずつチーム打撃も良くなっていただけに、不動の5番打者の離脱はあまりに痛い。そしてその穴を埋めてほしい若手がことごとく伸び悩んでいるのも頭が痛い。ファームに王の代わりになりそうな選手が全然いないのです。ファームの打撃成績を見ても、第三捕手失格の黒羽根が目立つぐらいですから。ハムの選手層の薄さが露呈した形です。

 さらに問題なのがサードです。シーズン当初は淺間と横尾を競わせていましたが、淺間が不振でファーム落ち。競争相手がいなくなって安心したのか横尾の調子までいきなり落ちて、おまけに結果を求めてチマチマ当てにいくような消極的な打撃になってしまいました。売り物のはずのフルスイングの長打もすっかり鳴りを潜めて本塁打ゼロ。打率はおろか長打率も中島より下なんだから話になりませんね。走塁も守備も平均以下だから、打ちまくるしかないのに。じゃあ淺間をファームから上げればいいかといえば、試合で自打球を当ててケガして復帰まで1ヶ月かかるという悪循環。こんなことならファームに落とすんじゃなかったと首脳陣は後悔してるかもしれません。横尾の代わりになりそうな選手というと、移籍してきた谷内か、ファームにいる石井一成ぐらいしかいませんが、どっちも打力には期待できない。昨日の試合では平沼がサードを守り、無安打ながらいいプレーを見せていましたが、一発長打を期待できるタイプではなさそう。3年後ぐらいにはファームで育成中のドラフト2位新人野村が出てくることを期待するとしても、今季に限っては穴が埋まりそうな見通しが立ちません。放出したレアードがロッテで人が変わったように打ちまくっているのをみると複雑な気分になりますね。

 いずれにしろシーズン序盤にして最大の危機が訪れました。今はまだかろうじて5割を維持してますが、ここから上がっていくかズルズルいくか。踏ん張り所です。

 これから6連戦が続く中、投手陣はどうやりくりしていくのか。有原、ロドリゲス、堀、金子……上原はあと1回ぐらいチャンスがあるでしょうか。6連戦が続くので先発はあと1枚。加藤をショートスターターに戻すか、下から北浦か中村あたりを上げるか。まだ吉田輝星や柿木は早いと思いますが、栗山監督のことですから、抜擢もあるかもしれません。中継ぎは石川直か、鍵谷か、藤岡か、井口か。

 そして打撃陣の再編成です。前述のように、王の代わりにあげる選手がまったく思い当たらない。実績のある松本か、一発長打に賭け森山か。そろそろ緊急トレードもありそうです。

 

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