甲子園でのオープン戦対阪神2連戦は1勝1敗。2試合でたった3安打1得点で終わった打線も問題ですが、今日の中島と有原には心底がっかりさせられました。

　まずは中島。先日オープン戦初ヒットが出たものの、その後も一向に調子があがってきません。それでも守備やバント等をちゃんとやってくれれば我慢もできますが、今日は2エラー。2エラー目は大量失点に繋がってしまいました。どちらもなんということのないイージー・ゴロで、集中力を欠いている印象。打撃不振が守備にまで影響を及ぼしているのなら問題です。中島が何年もレギュラーを張っている実績十分の選手なら、まだオープン戦だし、こんな時期もあるさと済ませることもできますが、まだ中島は1年間フルで働いたのは去年1年だけ。中田や陽や賢介のような盤石のレギュラーではないのです。今年は徹底してマークされ、対策を立てられ、去年のような粘っこい打撃もなかなかさせてもらえないでしょうし、まずはその壁を乗り越えなけれなならない。今はその途中段階ですが、どうもメンタル的に相当追い詰められているような印象も持ちました。いずれにしろ守備がこんな調子では、ゴロ・アウト中心の投手が多いファイターズの内野手としては致命的です。メンタルを落ち着かせるためにも、シーズンが始まるまでに一度スタメンを外すなり鎌ケ谷で立て直すなりの対策が必要じゃないでしょうか。

　それでも調子が上向かず、レギュラーシーズンになっても打てず守れずが続いたらどうするか。控えの選手にチャンスを与えるのが普通ですが、現状で誰が中島の代わりを務められるか。思いつくのは飯山と渡邉ぐらいしかいません。実戦経験が乏しすぎて不安の方がはるかに大きい渡邉と、経験豊富だが打つ方はほとんど期待できないベテランの飯山。なぜこんなに内野の層が薄いんでしょうか。ここで何度も指摘しているように、中田、賢介、レアード、そして中島と、去年規定打席に達したレギュラーは健在とはいうものの、ケガや不振等で外れてしまったら、代わりをつとめられるような選手がいない。レギュラーと控えの力差が大きすぎる。これはもちろん、そういう選手構成にしてしまった編成部門、つまりフロントの責任がきわめて大きい。外野の人材が余りまくっているのに内野手は足りない。明らかに編成のミスです。内野の要だから二遊間はなるべく固定したい。しかしまだ実績の乏しい中島と、高齢でフル出場をあてにしづらい賢介だけに、いつ欠けても困らないよう、層を厚くしておくべきだった。私は今後、だぶついている外野手や伸び悩む若手投手をコマにして、守備の安定した内野手を獲る駆け込みトレードの可能性が十分あると思います。中島が「どうせオレの代わりはいない」と慢心して油断しているとは言いませんが、彼に危機感を与えるためにも考えていいのではないでしょうか。

　そして足を引っ張られた有原は最初はなんとか我慢したものの、2度目は踏ん張りきれず2死から5連打を許し4失点。一気に試合をぶち壊してしまいました。それまではほぼ完璧な投球だっただけに、崩れ方が急すぎます。去年からそういう傾向がありましたが、あまり変わっていないですね。たかがエラー１つでここまで崩れるほどメンタルが弱いのか、たかが60球を越えたぐらいで変化球が高めに浮き、ことごとくストライクゾーンの甘いところに入るほどスタミナがないのか。たぶんその両方でしょう。大谷、メンドーサ、吉川の3人が安定しているだけに、有原にはその次を担う先発4番手が期待されているわけですが、現状では頼りないことおびただしい。素質はあるのでしょうが、有原が真のローテの柱になるには、まだ一皮も二皮もむける必要がありそうです。現状では高梨のほうがはるかに期待できそう。

　ブルペン陣は谷元、加藤、増井は問題なさそう。白村はようやく戻ってきたものの、まだ危なっかしいですね。鍵谷は昨日なんとか無失点に抑えたものの、良いときに比べればまだまだ全然。井口とマーティンもまだ未知数だし、藤岡もピリッとしません。まだ上で投げていない宮西なども含め、開幕までにはなんとか格好がつくとは思いますが、不安もありますね。

　そして外野陣です。岡がケガから復帰し、近藤が捕手を諦め、外野コンバートが決定。さっそく昨日今日はその2人がスタメンで出ていました。しかしこうなると気の毒なのが石川慎吾です。キャンプからオープン戦と打ちまくり、目下オープン戦首位打者というぐらいアピールしているのに、あともう少しで開花というところまで来ているのに、あとから出てきた近藤や岡にあっさり出場機会を奪われてしまう。もちろんケガで出遅れた2人の実戦機会を増やし、首脳陣がその調子や仕上がり具合を確認したいという意図もあるんでしょうが、慎吾としては「あれだけ打っても使ってもらえないのか」と思ってしまうかも。去年一軍で圧倒的な実績を残した近藤はまだしも、去年までの実績なら慎吾と大差ない岡が、ケガから復帰してすぐスタメンでは、結局「定位置を巡って競争」なんて表向きの建前で、最初から使う選手は決まっていたんじゃないかと勘ぐってしまっても不思議ではない。まして故障から復帰した西川が一軍に戻ってくれば、さらに外野の枠は小さくなる。もちろんこんなことで腐ってしまうようではダメで、必ずチャンスは巡ってくるはずなので、いつでも対応できるよう、気持ちを切らさず練習に励んでほしい。特に慎吾は岡に比べ守備が大きな課題なので、そのあたりの努力も忘れてほしくありません。打撃の調子が同じぐらいなら、守備走塁がいい岡を使うのが自然ですから。

　故障でファームにいる西川が戻ってきてレフトを守るとなると、外野は残り1枠。体調や調子が万全なら、実績からライトは近藤が主で、守備走塁がいい岡が控え1番手。DHは基本的に大谷で、大谷が投げる日とその前後の試合ではDHに近藤が回り、その時のライトは岡、ということになりそう。こうなると、大谷をDHで使うことが岡や慎吾など他の野手の出場機会を奪っているという見方もできる。私は大谷は野手専任でいってほしいと今でも思っていますが、現実的には今年は投手専任で行くのが、大谷自身のためにも、またほかの野手のためにもいいと思います。DHに中田を回し、一塁に近藤。ライトとレフトを西川、岡と慎吾で争ってもらう。それが現状ではベストじゃないでしょうか。せっかく花開きかけている慎吾の芽を摘んでほしくないのです。