ブラフマン:TOSHI-LOWのインタビューを読んで。

BRAHMAN・TOSHI-LOWが語り尽くす、言葉と格闘した20年 「あざとい考えが頭に出てくる前に、先に歌が出るような体にならないと」

 シングル「其限」リリース、映画『ブラフマン』の公開から、ベスト盤『尽未来際』発売に至る最近のブラフマン、というかTOSHI-LOWの各メディアへの露出量は本当に凄まじいものがあって、おおげさに言えばありとあらゆるメディアのインタビューに応じていた感じ。もちろんそのすべてに目を通したわけではないけど、どのインタビューも手を抜くことなく全力で挑んだことは容易に想像できるわけです。私も今回『宝島AGES』でインタビューさせてもらいました。彼に取材したのは3度目(うち一度はハナレグミ永積タカシとの対談の司会)で、どれぐらい食い込めたのかわかりませんが、私としてはそれなりに手応えのある取材でした。

 上にリンクしたのはライターの石井恵梨子によるもの。彼女とTOSHI-LOWの付き合いは相当に長く、今まで数限りなくインタビューしているはず。そういう関係にある同士のインタビューはかえって、お互いわかりすぎているがゆえの、親密すぎるがゆえの弊害だって起こりえないとは言えない。でもこのインタビューは、まさにそうした信頼関係があってこそのディープな内容になっています。TOSHI-LOWが、できるだけ率直に、正直に、そして正確に自分の思いや考えを伝えようとしているのがよくわかる。

 これを読んで思ったことは、優れた音楽家(表現者)は、我々のんべんだらりと生きている一般人よりもはるかに早熟で、はるかに早く人生のなんたるかを知るのだろうということです。なぜなら、彼らは作品をつくるたびに厳しく自己と向き合っているから。特に歌詞を書く人は、自己の内面の深奥にそのつど対面しなきゃいけない。だから早くオトナになり、早く成熟し、早く自己の限界を知る。アーティストとしてはおそらくそこからが勝負で、TOSHI-LOWはうまいことブレイクスルーできた例じゃないでしょうか。

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