昨日のイベント「時の葬列」が面白すぎた。

昨日は「時の葬列」@高円寺HIGH

時の葬列がどういうイベントかは説明略。長時間で疲れたけど、非常に充実したイベントでした。

◎Der Eisenrost (写真がこれしかないのは、このバンドしか撮れなかったからで、他意はありません)

「鉄男」など塚本晋也作品で知られる音楽家・石川忠のバンド。80年代にはツァイトリッヒ・ベルゲルターという名義でやっていた。ギター、ベース、ドラムにメタル・パーカッション2人。まさに「鉄男」の音楽を地で行く、打ち込みを一切使わない本物のインダストリアルが圧倒的に凄すぎた。火花散るメタルパーカッションの乱打に一気に血が沸騰。これを見れば、何の変哲もない打ち込みにメタルギターを導入しただけでインダストリアルを自称するなんてちゃんちゃらおかしいことがよくわかる。ダー・アイゼンロストのライヴを体験せずしてインダストリアルを語るのはモグリであると断言しておきます。

◎Z.O.A.

 80年代のトランスレーベル全盛期の代表的なバンドが中期の黄金期のメンバーで復活。20年ぐらい人前でやってないメンバーもいるという話だったが、そんなブランクなど一切感じさせない凄まじいテンションの演奏。今は「血と雫」というバンドで静かな音楽をやっているヴォーカルの森川誠一郎も、上半身裸になり血の吹き出そうな凄絶なシャウトを聴かせる。超絶複雑でややこしい入り組んだ曲を、こともなげに演奏するバンドも凄い。このメンバーになると違うスイッチが入るということなんだろうが、一瞬たりとも気の抜けぬライヴで、終始身じろぎひとつせず聞き入るしかなかった。いやー凄かった。

◎ソドム・プロジェクト

 Z.O.A.と共にトランス全盛期を支えたバンド。いろいろな変遷を辿っているバンドだけど、今はヴォーカルのザジを中心にギターベースドラムにラップトップという構成で、ダーク・ゴシックなダンス・ロックをやっている。初期のポジパンぽいソドムと福富幸宏が加わってハウスになった頃のソドムの合体というか。徹底的に機能的で享楽的なダンス・ビートが強烈で、ザジのヴォーカルもカリスマ性があり、これも非常にかっこよかった。こういう音楽をやっている人って、いそうであまりいない。

◎オートモッド

 オートモッドの結成35年を記念しての今回のイベント。主役のライヴは久々に見たけど、非常〜に良かった。4人のバンドに大柄のカウンター・テナーとダンサー、それからパフォーマー2人を加えての演劇〜舞踏〜パフォーマンスを融合したステージは、演奏もしっかりしてるし、あの手この手の仕掛けで飽きさせない。B級ホラー映画と寺山修司演劇と暗黒舞踏とダーク・ゴシック・ヘヴィ・サイケデリックなサウンドと見世物小屋のフリークショー的なナンセンス・ユーモアが合体したパフォーマンスは、くらくらするような毒々しさといかがわしさに満ちていて、世界的に見ても非常に特異で個性的なパフォーマンスだと思う。間にすこしブランクがあるとはいえ、35年間もこういうケレン味しかないようなキワモノ・ロックをやり続けてきたジュネには素直に脱帽したい。いろいろ偏見をもってる人も多いと思うけど、邪道・外道・裏街道を極めつくしたある種の美しささえ感じられたのだった。

 あまりに盛りだくさんすぎた内容ゆえ、最後は時間がなくなってオートモッドのアンコールが省かれてしまったのは残念だったけど、4つ出たバンドがここまで全部良かったイベントも珍しい。どれもアングラの上に「ど」がつくようなマイナーな人たちだけど、世界中どこを見渡してもないような個性のあるバンドばかりで、自分の道を信じ、決して諦めず続け、極めることでこういう境地に到達したということだ。

 高円寺HIGHは立錐の余地もない超満員。次はもう少し大きな会場で、時間の余裕のあるプログラムで見たいですね。

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