[映画評] vol.4 ルカ・グァダニーノ監督『君の名前で僕を呼んで』2018年4月27日公開

ルカ・グァダニーノ監督『君の名前で僕を呼んで』試写
http://cmbyn-movie.jp/

 1983年の夏休みを家族とイタリアの避暑地で過ごす17歳の少年の一夏の恋を描く。思春期の少年が年上の素敵な人に憧れ夢のような一時を過ごし、夏が終わるとその人は去っていく……というようなお話はいわば定番中の定番で、それこそ「おもいでの夏」からこっち、山ほど作られているけど、その「年上の人」が女性ではなく24歳の青年だというのが、実に今っぽい。いわばBLのお話だけど、そこに後ろめたさや背徳の匂いがまるでないのが面白いところ。とにかくイタリアの田舎町の陽光きらめく風景を映し出す映像がキレイで、人物描写も丁寧だし、感情表現も繊細。音楽も美しい。スフィアン・スティーヴンスがこの映画のために作った2曲がまた、実に素晴らしい。ラストシーンの長回しは、すれっからしのオッサンの私もグッときたよ。

 1983年の夏休みが舞台ということで、その時代のポップ・ソングが流れたりもする。なかでもサイケデリック・ファーズの「Love My Way」がキーポイント的に使われ、2回も流れる。青年はサイケデリック・ファーズのファンという設定で「ニューヨークでサイケデリック・ファーズを見たけど、リチャード・バトラーは最高だ!」なんてセリフもある。
https://www.youtube.com/watch?v=dJ_p4Z_yVpM

 主役の少年を演じるティモシー・シャラメは噂通りなかなかの美少年。オスカーの主演男優賞にノミネートされるんじゃないかと噂されている。青年役のアーミー・ハマーも美青年だけど、24歳には見えないかなあ。

 恋の喜びと痛みと一夏の体験と思春期の終わり。いつの時代でも永遠不変のテーマだけど、ちょっと視点を変えるだけでここまで新鮮に、瑞々しくなる。マスコミ向け試写会はこの日が第一回目だったけど、超満員だった。この時期の洋画が「アカデミー賞最有力」と宣伝文句で謳うのはよくあるけど、この作品に関してはハッタリではなさそう。昨日紹介した『デトロイト』同様、かなり話題になると思います。4月公開予定。

よろしければサポートをしていただければ、今後の励みになります。よろしくお願いします。