[訃報] 追悼:ピート・シェリー

 バズコックスのピート・シェリーの訃報。信じられない。まだ若いのに。

 バズコックスは昔も今も一番好きなパンク・バンドです。別にピストルズやクラッシュより重要なバンドだと強弁するつもりはありませんが、自分にとっては一番大事だったし、初期3枚のアルバムと「Singles Going Steady」というベスト盤は本当によく聞きました。平凡な感想ですが、曲の良さ。これに尽きますね。

 ピート・シェリーさんには1,2度取材してますが、物腰の柔らかな優しい人。見た目も冴えないし歌も巧いわけじゃないが、作曲能力は初期パンク組ではダントツで一番だったと思う。「Singles Going Steady」とか聞くと信じられない名曲揃い。初期の3枚のアルバムはいずれも大傑作です。

 バズコックスの初来日が、ちょうど私の海外主張と重なったんですよね。KUSU KUSUのプロモーションに同行してブラジルのリオのカーニバルを取材するってやつ。バズコックスの来日なんてたぶん二度とないと思ったし、一番好きなバンドが初来日するのにここで行かなきゃファン失格と、迷わずバズコックスを選び、ブラジル行きは一日遅らせて。そうしたら給油地のLAで飛行機が故障してディレイ。予定よりさらに1日遅れて、ブラジルに着いた時にはカーニバルは全部終わっていて、街は抜け殻のようだったw その後バズコックスは何度も来日してるので、今思えばブラジルを選んでおけば良かったけど、まあ仕方ないよね。

 ちなみにバズコックス初来日公演、本当に最高でした。絶対的な名曲のオンパレード。一緒に見ていた某誌編集者(特にバズコックス好きでもなんでもない)が、「なぜあんなに曲がいいんだ」と興奮した面持ちでまくしたてていたのを今でもよく覚えています。初来日は1990年とか、確かそれぐらいだったし、バズコックスなんてとうの昔に過去の存在だったけど、そんなの関係ない。歳月の経過があろうが絶対古びないエヴァーグリーンなポップス。本当に素晴らしかったし、今でも素晴らしい。

 ピートさんはバズコックス解散後にソロになって、ヒューマン・リーグに影響受けたようなシンセポップに大変身。これもよく聞いた。あのダサさというか垢抜けない感じが良かったんですよね。当時のクラブ、というかディスコでもよくかかってました。 この曲の12インチは、一時けっこうなプレミア価格で取引されていたはずです。

 ピートさんは享年63歳だったという。早すぎるけどこれもまた運命です。最近全然フォローできてなかったのが悔やまれます。できればハワード・ディヴォートがリード・ヴォーカルのバズコックスを生で見たかったな。

 心からご冥福を祈ります。

よろしければサポートをしていただければ、今後の励みになります。よろしくお願いします。