Vectorworks 2019 Architectで一案件図面化してみて
なんとか一案件分の図面をVectoeworks 2019 Architectを用いて作成してみたのですが、今の時点での前回の不安に対する感想を簡単に書いておきたいと思います。
ただ、実際のところはこれからの仕事の中でしか判断できないと思うので、あくまで今の時点の感想として。
不安その1.金額に見合った見返りがあるか、について
データの作り込みと図面への変換の過程の中で、できる限り作業の効率化ができるよう念頭におきながら試行錯誤しました。
例えば、これまでの2D作図では整合性をとるために複数の図面にまたがって修正が必要だったような部分を、できるだけモデルの中に情報を埋め込むことで作業量を低減し、整合性を確保できるようにしたりするよう心掛けました。
これはある程度うまくいったように思うので、一度目は時間がかかりましたが今後は効率化につながるかと思います。(これは2019に導入されたデータタグによるところが大きいです。これがなければモデルに情報を埋め込むことの利点をどれだけ活かせたか。Vectorworksの今後の進化にも期待したいです。)
金額に見合うかどうかは今後の活かし方次第、だと思いますが、それ以上の効率化にはつながるんじゃないか、という気がします。
今のところ、2D作図時の作業をベースとした効率化しかイメージできていませんが、3D作図に慣れてくれば、新しい効率化のイメージが湧くかもしれません。
不安その2.設計内容が縛られないか、について
これに関してはモデリングの技術と効率化次第、というように感じたので、これまでの条件からそれほど不利になってはいない気がします。
鹿児島市内は狭小地が多く、スキップフロアーで床を補うことが多いです。なので、スキップフロアーのように断面が複雑化したケースに対応できるかどうかが不安の一つだったのですが、これはレベル設定(ストーリ設定)の工夫でCADの機能を損なわずに対応できたように思います。(これは別の機会に書きます。)
場合によってはモデリングさえ正確にできれば、それをいろいろな方法で表現できるようになるため、設計の自由度は上がる可能性もありそうです。
不安その3.ブラッシュアップのためのきっかけを失わないか、について
これに関しても、2Dの詳細図を書くような感覚でモデリングをしていくので、同様なきっかけは得られそうな気がしました。
想像していたよりも変更を加える手間は増えなさそう(場合によっては増えるし、場合によっては大幅に減る)なので、探索と調整のサイクルは今までより増やせるのでは、というのが今のところの感触です。
ただ、作業前半の負荷が大きいので「後戻りしない」ような手法に自ずとなってしまうかもしれません。
計画の進行とモデリングの密度のバランスは今後探っていく必要があると思いますし、スケッチのように手を動かして考えたり、言葉で方向性を探ったり、といった他の方法と意識的に組み合わせていくことも意識しないと偏りが生まれる可能性はあると思いました。
不安その4.図面表現の質が低下しないか、について
一番苦労したのはこの部分かもしれません。
BIM(3D作図)の技術は
・情報の埋め込み等を含めたモデリングする技術
・モデリングされたものを図面として表現する技術
の2つがあるように感じたのですが、モデリングされたものを図面化する段階で中々、意図するような表現にならず苦労しました。
今回、noteに覚え書きを書いていこうと考えたのも、その探し当てた表現の方法を忘れないようにするためと、今後、表現方法を更新していくための素材として残しておきたいからです。
(一人事務所なのでノンストップで仕事をするのには問題ないですが、共同で進める場合、基本一つのモデルが図面化されるので一つのファイルを共有しないといけないですし、モデリングの仕方(特にレイヤーやクラスの構成)が表現手法と厳密にリンクするので、モデリングと表現のルールを共有する難しさがあるように思いました。それらは日々更新される方が好ましいでしょうし。)
結局の所
やってみないと分かりませんが、工夫次第でどんどん自分好みのツールにできる、という手応えは十分に得られたように思います。
次回からは具体的なことを簡単に書いていく予定です。
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