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突然だが俺の黒歴史を見てくれ #ミステリー小説編


先日実家で祖母の遺品を整理していたところ、コピー用紙の束を適当にホチキス止めしたペラペラの冊子が大量に発見されました。

表紙はこちらです。

「密室のススメ」成蹊中学校こみち祭特別企画

う………

う………


うわぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!


沸き上がる!!!!!!

厨2感!!!!!!!!

私が中学3年生の時に、成蹊中学校の文化祭で「ミステリー研究会」が発行した「ミステリー小説」に関するファンジンです。

ん、中学校なのに「ミステリー研究会」なんてものがあるの?と思われた方。

違うんです。

中3の頃、京極夏彦の「姑獲鳥の夏」を皮切りに突然炎の如くミステリー小説にどハマりした私は「自分の好きなものを世に広めたい!この熱い思いを全方位に向けてぶちまけたい!」というセカイ系厨二病患者特有の周囲にとっては迷惑でしかないパッションにより、文化祭の1日のために当時の友人たちを口説き「ミステリー研究会」を立ち上げ(メンバーは5人)、小冊子をほぼ一人で製作したのです。


さっそく中身を見てみましょう。

ペラい表紙に反し……中身はなんと………!!!!!

「ミステリー作家インタビュー集」だぁぁああああああああああ!!!!!!

え、中学生が妄想で書いたんでしょ?と思った貴方。

違います。

紛れも無いホンモノです!!

ホンモノの作家先生方からのご回答です!!!

自分でも完全に忘れていましたが、当時の私は自分の敬愛する先生方になんとか近づきたい一心で手紙を書きまくり(ミッフィーの封筒と便せんで子供らしさを演出して)アンケートをお願いし、それをまとめて冊子に載せるという!!とんでもなく無謀なことをしでかしていたのでした!!!

中学生って怖っ!!!!!

10人に手紙を出した結果、なんと恐れ多くも4人の先生方からご丁寧なご回答のお手紙を頂きました。

それもなんと、手書きで。

当時(1999年)Eメールが一般人にもだんだん普及しはじめたばかりくらいの頃です。著者へのファンレターというものが当たり前に存在した頃です(今も存在するけど)。

中学生が出した手紙に、本人がお返事を下さるなんて………。

昔ってすげぇな!!!!!


以下、4人の先生方の回答を。


綾辻行人先生(前画像からの続きです)、有栖川有栖先生

有栖川有栖先生の⑦

“いつまでもミステリー小説を好きでいてください”

うう、愛を感じる……。

高村薫先生(前画像からの続きです)、麻耶雄嵩先生

高村先生の⑦

“中学生の皆さんは、どうか古典の文学作品をたくさんお読み下さい。楽しい読書も必要ですが、学生時代には苦しい読書も必要です。”

なかなか厳しくも真摯なご回答です。


いやー、みなさん、こんな見知らぬ中学生のために丁寧なご回答を……。

文筆業を始めた今改めて読むと、含蓄深い言葉がたくさん。すでに何作品も書いている作家さんでも「自分にしか書けない小説を書きたい」と思うんだな……。

(確か1人の作家さんには、「忙しい著者が1ファンのファンジンのために無償でアンケートに答えるなど言語道断である」とお叱りのメールを頂きました。いや、ごもっともです。大変申し訳ありませんでした)

で。

こんな豪華ページのあとに………

出、出、出〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!

中二病小説奴〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜wwwwwwwwwwwwwww!!!!!!


ミステリー研究会なんだから、そりゃ小説載せるでしょ、的なノリで書かれたミステリー(厨2にとっての)

人生で初めて書いた小説です。

簡単な熟語に難しめのふりがなを振って無理やり読ませようとするあたり、厨2感満載。

さすがに本名で発表するのが恥ずかしかったのか、ペンネームを使用しています。

ペンネームは………

きっ、きっ、きっ

如月っっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

はっ………灰音っっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

ハイ!!!!!!

ネ!!!!!!!!!

…っあっあ…

こ……………


この…………


ペンネームから漂う独特の香りは………

中二臭っていうよりも………

……………


……………


……………


「ファンロード」臭

っダァァああああああーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!


(※ファンロード:インターネットが普及する前のオタクにとっての聖地だった伝説的ファンアート雑誌。今のpixivを紙にしたものだとお考え下さい)


ペンネームに難しい漢字を多用するのを避けているところに、当時の私の一抹の恥じらいを感じる。

(っていうかこうやって考えると、川谷“絵音”もなかなかだよね……)

如月灰音先生、なかなか真摯に書いてらっしゃいます


内容は割愛しますが、男装の麗人の主人公(中学生)が麻薬中毒になった恋人の敵を討つために赤い髪の生徒会長と共に学園の中で麻薬売買している理事長の悪を暴くというもの。

完全にウテナですありがとうございました

添削してもらった国語の先生にも「アニメにひっぱられすぎてるね(苦笑)」というコメントをもらったことをよく覚えています。

(他にも編集部選おすすめミステリ小説・編集部選おすすめミステリゲーム・他の部員によるミステリの歴史研究など色々載っていましたが割愛します)


しかしこの冊子、100部印刷して、100部全部捌けたはず。

ってことはこの恥ずかしいもの(そして大先生方のアンケートという貴重なもの)が世にあと100は存在するってことか………。

ああ………背骨の力が抜ける………。


更に、この冊子を発見したことにより、今noteで書き散らしている記事やブログの内容、拙著「傷口から人生 メンヘラが就活して失敗したら人生が面白くなった」なども、あと20年したら立派な「黒歴史」になるんだろうなぁ……という、恐ろしい諦観を得てしまった私でした。

その時にはせめて「痛い思い出だけど、あの時の私の情熱はすごかったな」と思えるようにしたいものです。


人は誰しも「黒歴史」という一個の歴史の上に生きている(決めつけ)。

みなさんも自分の黒歴史を晒してみると、あんがい気持ちいいかもしれませんよ。


ありがとうございます。