中国・鳳凰県旅行記もくじ 《行ったら、こうだった!》
「ねえ、美由紀ちゃん、鳳凰県に行こうよ!」
そう誘ってくれたのは、中国トレンドマーケターの黄未来さんである。
未来さんは今年に入ってから「華僑心理学」などの記事でぐんぐんPV数を伸ばし、noteのクリエイターファイルにも掲載された注目の書き手である。
9月上旬、代官山のカフェで初めて出会ってからわずか1時間で目の前の相手を旅行に誘う、この女を私はあっけに取られて見つめた。
中国。
それは私にとって完全に未知の暗黒大陸であった。
そもそも、私は中国にあまりいい印象を抱いていない。
歴史的・政治的な観点からではない(そんなものはどうでもよろしい)。
4年前、仕事で飛行機の乗り継ぎの時に上海に行き、あまりに街が汚く、空気が淀んでいて、その上着いたその日に入ったマッサージ屋で5000円もぼったくられたことをいまだに根に持っているのである。
中国人はやかましい。金にうるさい。痰を道で吐く。道路が汚い。トイレが汚い。著作権に対する意識が低く、文化的に遅れている。そういったマイナスイメージが私にとっての中国の全てだった。なんだか旅をしたら露骨におっくうな思いをしそうだった。だからこそ、こんなに近い国なのに、今まで足を踏みいれようとしなかったのである。
しかし、目の前にいるこの女は全力で私を中国に誘っている。全力で鳳凰県とやらの魅力をプレゼンしている。
鳳凰県。
なんだ、その中二病的なカッコ良さのある地名は。
かっこいいじゃないか。
私は昔から「鳳凰キャラ」に弱い。ハーメルンのバイオリン弾きではサイザー推しだし、不知火舞とシャオユウが好きである。
しかも、ミクさんがスマホで表示した鳳凰県の写真を見ると…
あら、素敵じゃないの。
中央に悠然とした河の流れる中国の古都。水墨画の世界である。しかも少数民族のミャオ族の自治区があり、彼らの暮らしを垣間見ることもできる。湖南省にあるため、ご飯も美味しい。そして物価が安い。中国国内では有名な旅行地らしいのだが、まだ日本人にはそこまで知られておらず、ウェブで探してもあまり情報が出てこないことも興味をそそる。とにかく、彼女と行く機会を逃したら一生たどり着くチャンスはないだろう。行くなら今だ。
かくして、「執筆合宿」という題目の元、この出会ったばかりの女二人の珍道中は始まった。
結果として、今回の旅は一生のうちでもベスト3に入るほどの、忘れられない楽しい旅の一つになった。旅の結果、冒頭で述べたような中国人のイメージはガラリと変わった(変わらなかったものもあるが、それはゆくゆく述べたい)。この旅で見聞きした中国は、私が想像していたより100倍進歩的で、100倍奥深く、100倍面白いものであった。
しかし、ウェブ上では未だ鳳凰県に関する情報があまりにも少ない。そのため、これより、私が未来さんと過ごした10日間の記録を上げたいと思う。
鳳凰に行ったらここに行け!これを食え!というレコメンド満載なので、これから旅をする人には参考にして欲しいし、中国の今を知る一助になれば幸いである。協力してくれたこうみく氏には、そのはちゃめちゃな性格によって巻き起されたハプニングも含め、貴重な経験をさせていただいたことにあらかじめ感謝の意を表したい。一人で行ったのでは到底リーチできないようなディーープな中国を垣間見ることができたのは氏のおかげである。本当にありがとう。
<目次>
・鳳凰県旅行記② 電子決済にうろたえる
・鳳凰県旅行記③ 初めての日本人差別
・鳳凰県旅行記④ ミャオ族の村に行く
・鳳凰県旅行記⑤ 上海編
ありがとうございます。