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ダメ親父が夢にも現実にも現れませんように

8月某日

「身体を使って書くクリエイティブライティング講座」のために京都へ。
前日、コーディネーターさんとの待ち合わせ前に時間があったので、前々から行きたかった場所へ行く。

悪縁切り神社として有名な、安井金比羅宮だ。


京都には縁切り神社がいくつもあるが、それぞれにまつわるエピソードはどれもおどろおどろしい。
「前を通り過ぎただけで縁が切れてしまうから結婚前の娘は近づいては行けない」とか、
「そこの神社の井戸の上に置いたペットボトルの水を相手に飲ませると、縁が切れる」とか。

京都人の性格が現れているのだろうか?

安井金比羅宮は、その中でも比較的穏健派の「縁切りさん」である。

それでも、この、岩にびっちりと貼られたお札の異様なオーラ。
絵馬たちに書かれたディープすぎるお願い。

画像を見た時点で若干怖くなるのだが、それでもこの、白いムックみたいな巨岩を実際に見てみたくて足を運んだ。

清水道でバスを降りてすぐ、デカデカと「悪縁を切り良縁を結ぶ」と書かれた鳥居が見えた。
「私、本気(マジ)ですから」と顔に書かれているような、眼光の異様にギラギラした女一人客が数人、鳥居の前にたむろしている。全員そろいもそろって人相が悪い。スピ系の人にありがちな、ダボっとしたワンピースに異様にでかくて丸いイヤリング。フラットシューズに化粧なし。あとでかいカメラ。

夫の不倫相手でも呪い殺しにきたのか?

憎らしい姑の死を祈りにきたのか?


そして私も全く同じような格好をしたひとり客なので、彼女たちのことをとやかく言えない。

しかし境内に入ってみたら、実際はのほほんとした観光スポットで、女二人連れが多くワイワイとした雰囲気だった。
白いお札を片手に、
「どうしよー、何と縁切ってもらう?」
「私便秘!」
「それいい!私残業にするわ」
という、ゆるい会話が繰り広げられている。
一方で、これはマジ客だな・・・と生唾を飲み込みたくなるような、真剣な顔の女がブツブツ言いながら岩に向かって深々とお辞儀している。
人生におけるマジ度の多様性。社会の縮図を見たような気分である。

さて、私は何を祈ろう。

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