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時代が俺に追いつく気持ちで

小説「ピュア」がSFマガジンに掲載される。

この小説は私が3年前に初めて書き上げた小説で、「メゾン刻の湯」よりも前で、特にどこに出すあてもなくて、一人でなんどもなんども改稿を繰り返していた作品だったので、今回掲載していただけて大変、嬉しい気持ち。

第一稿を書き上げた当時、オープンリーレズビアンである友人兼編集者に見せたところ「こんなテーマ、書いたのが村上春樹でも私は読まない」と一蹴され(彼女は本当に口が悪い)私は「それはお前が男女の恋愛に興味が無いせいだろ」と内心怒りながらも「確かに、面白くない部分もあるな……」と考え直して改稿し、今度は新潮の「女による女のためのR18文学賞」に応募したらめでたく1次選考で落ち、他誌の人にも「このテーマに僕は魅力を感じません」と言われたり、まったくもって誰にも認めてもらえず(女性の編集者さんや、文芸の編集者さんには「面白い!」と言ってもらえた事もあったけど、文芸誌を持たない会社であり、結局、発表には至らなかったのだった)

しかし私には「こんなの、絶対面白いに決まってんじゃん」と根拠のない自信があり、改稿に改稿を重ねて3年半、ようやくSFマガジンに掲載していただけたのだった。

このタイミングで掲載してもらえたのはきっと、SFマガジンの懐の広さとともに、内容が時代の流れと一致したことが大きいのではないかと思う。

韓国のフェミニズム文学の盛り上がりや、#me too 運動の発展、去年話題になった医大入試の男女間の点数操作不正や、ジェンダーロール、女として働くこと、子供を育てること……etc.

その他様々な「性差」をめぐる問題が噴出する昨今だからこそ、こうした形で性を描くことを認めてもらえ、掲載してもらえたのではないか。

イラストレーターである佳嶋さんが、扉絵を納品してくださった時に一緒にメールでいただいたご感想がこちらで、

私はベテランの画家である彼女からこんなメッセージが来て、とてもとても背中を押され、「これを書いたことは、間違いじゃなかったんだ!」と思えた(イラストレーターさんは、編集者さんの次に作品を読んでくれる2番目の読者なので、いつも反応をもらう時にはドキドキである)。


オンラインサロンで生徒さんに文章を教えている事もあり、私は普段から

「作品や人が世に出るタイミング」について、割と考えることが多い。

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