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ビンボー起業④情けない妊婦時代からの出産の話。

前回まではこちら↓

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日々大きくなっていくお腹。
これから生まれてきてくれる、赤ちゃんに希望を馳せつつも
現実の生活は本当に厳しかった。

2009年3月。
出産予定日まであと2ヶ月。

妊婦健診に行くお金すらないという絶望


妊娠後期に入ってくると、それまで1ヶ月に1回だった妊婦健診が、2週間に1回、1週間に1回。。。。と、期間が狭まってくる。

2020年現在は、私が住んでいる大分市では妊婦健診代金は全額補助になっているけれど、11年前はまだ、妊婦健診は全額補助ではなかった。
確か、14回くらいの回数券のようなものが付いていた気がする。
それを使い切ったら、あとは自腹。

妊婦健診というのは、意外と高い。
1回あたり6〜7000円くらいかかる。(病院によって価格は異なる)
そこに血液検査とか心電図とか入ってきたら1万弱はかかってしまう。

妊娠後期に入ってくると、回数券は使い切ってしまうので、自腹になる。

出産まであと2ヶ月と迫ってきたところで、私も回数券を使い切ってしまった。
次回の検診からは自腹だ。

でも、その妊婦健診代を捻出する事が、どう考えても絶望的な状況だった。
野菜の皮ですら金平にして食べてるってのに、これ以上何を削っても無理だ。
どうしよう。。。

素直に助けを求めるという「強さ」が無かった

本当に情けない話だった。
こうなる事は分かってるんだから、その前に蓄えておけよ。
という話ですが、本当にもう限界だった。

実は色々と事情が複雑で、夫の両親に頼る事が出来ず、
出来ちゃった婚という、負い目みたいなものや変な意地もあって、自分の両親にも助けてと言えず。

お金が無い。って夫にも言いづらくて。
毎日、頑張って働いてくれてるのは分かってたから。
これ以上、頑張りようがないよ。

お金。どっかに落ちてないかな。

お金。降ってこないかな。

お金。余ってるからどうぞ。って誰かくれないかな。

もう、あの頃の私には神頼みしか思いつかなかった。

今考えると、しっかりと助けを求めるという「強さ」も必要だったと思う。
自分だけでなんとかしようとして、悲劇のヒロインモードに入っていた気がする。

人に助けを求めたら、
拒否されるかもしれない。
計画性もなく、デキ婚なんてするからだ!と怒られるかもしれない。

それでも、人間は、自分1人では何事も為し得ない。
自分の弱いところ、反省すべき点、自分では出来ないこと。
それらをしっかりと自分で受け止める「強さ」も必要だったと思う。

自分で自分を受け止める、その「強さ」が無かったばかりに、あの頃の私は
「助けて!」と言えなかった。弱かったのだ。
と、今は思う。

郵便ポストの前で泣き崩れた妊婦

さて、あの頃の私に残された唯一の手段「神頼み」
それが、意外と効果があったのだ。(あったのか?)

ある日ポストに封筒が届いた。
ちょっと厚めの封筒。
差出人は、大分市〇〇課(忘れたけど)

何だろ?と思って開くと、何とそこには追加分の妊婦健診の回数券が綴られた冊子が入っていたのだ。

同封されていた紙には
「来年度(4月)から大分市では妊婦健診の助成制度が変わります。全額補助になります。だから、この回数券使ってね」的な事が書かれていたと思う。

何というベストタイミング!!!!!

丁度今は3月。
という事は、次回(4月)の妊婦健診も無料で受けられるんだ!

良かった。
本当に良かった。
これで赤ちゃんを安心して産める。

本当にホッとして、封筒を握りしめてポストの前で泣き崩れたのを、今でも覚えている。


いよいよ出産。そして平凡な家庭生活の始まりと思いきや。。。

いよいよ、出産予定日当日。
いつものように、行ってらっしゃい。と夫を送り出し、家事を済ませていると、何故かお昼前に夫が帰ってきた。

「なに?わすれもの?」
と私が聞くと、

「今日、出産予定日だろ?産まれる日なんだろ?だから早めに帰ってきたよ。」

衝撃の一言!!
我が夫ながら、この人アホなんだろうか?と思った瞬間だった。

まだ、おしるしも陣痛もきてねーわ。笑
フライングにも程があるだろ。

「出産予定日というのは、あくまでも予定日であって、産まれる日ではありません。何かしら兆候があったらすぐに連絡するので、今日のところはお引き取りください」
と、丁重にお断り?し、夫には仕事へ戻ってもらいました。笑

とまぁ、そんなこんなで無事に長男が誕生。
初めての子なのに、あらゆる手を駆使して集めた、お下がりオールスターズの育児用品で、なんとか日々を過ごして行きました。

明らかに女の子っぽい服装なんだけど(姉から貰った姪っ子のもの)
着てるのは、どう見ても朝青龍みたいなどすこい赤ちゃんな息子を連れて、

この子で使うの何人目よ?ってくらいボロッボロのベビーカーでお散歩したり、
それなりに楽しい日々でした。

もう少ししたら、私もパートとかで働きに出てみようかな。
そしたら、少しは生活も楽になるかな。

そんな風に考えていたある日。
事件は起きました。


次回へ続く

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