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ミニマリストは「持たない人」ではなかったんだ

ミニマリストとは何なのか知りたくて、一冊の本を手に取った。

ミニマリストのイメージは、
必要ないモノを捨て、最小限のモノだけで暮らす人。

断捨離
といえば、いらないモノを捨てて家の中をキレイにする掃除の一環で、「片づけ」の意味あいが強い気がするが、ミニマリストとなると「主義」とか「思想」といったような価値観が含まれるのではないか。そんなイメージを持っていた。

ミニマリストの価値観が知りたかった。


ミニマリスト(最小限主義者)とは?

モノを自分に必要な最小限に減らす
「ミニマリスト」という生き方。

そうか、ミニマリストとは生き方なのだ。
ヴィーガンやグローバリズムといった主義・思想とは少し違うのかもしれない。何かを強く主張しているわけではなく、ただそういう生き方をしているだけだ。どのくらい捨てるのか、どれだけモノが少なければミニマリストなのかも自由、少なさを競っているのでもない。人によって必要なモノの量は違ってもいいのだ。

ミニマリストの定義とは
「本当に自分に必要なモノがわかっている人」
「大事なもののために減らす人」

だという。


どうして新しいモノを欲しがるのか?

欲しいモノを手に入れたいと思う

手に入れる

満足する

慣れる

飽きる

新しいモノが欲しくなる

買ったばかりの服を初めて着るときは嬉しい。
5回も着ると「慣れ」てしまう。
10回も着ればあたりまえにそこにあるモノになる。
50回も着れば「飽き」てしまう。
人はこの「慣れ」→「飽き」の仕組みによって、次々に新しいモノばかり求めてしまうのだ。

さらに、飽きているのは自分だけという問題がある。他人から見れば充分なモノを持っていたとしても、本人が飽きていれば満足できないのである。たとえ周りが羨む高級車に乗っていても、飽きてしまえば満足できず、新しい車(刺激)が欲しくなる。

この「慣れ」→「飽き」のループは、他人と比べるものではなく自分の中だけにあるものだ。
だからモノの価値は自分で見つけるしかない。


どんなに手に入れても足りないモノばかりに目がいく

例えばサッカーが上手い自分がいたとして、
プロサッカー選手になりたいと思う。
そのために強豪校に入学したら、もっと上手い奴がいて、実力が全然足りないと感じてしまう。
もしJリーガーになれたとしても、海外に移籍するにはまだ足りない。海外のチームに行けたとして、世界のレベルに驚くだろう。海外でもそこそこやれると思ったとしても、メッシのようなスーパースターには及ばない。上を見ればキリがない。どこまでも上には上がいるのである。

今あるモノに満足できなければ、どんなに手に入れても、足りないものばかりに目がいくのだ。

たしかにこれではいつまで経っても幸せになれない。


足りないものを埋めるのはモノではない

人がモノを持とうとするのは、自分の価値を伝えるため。モノを持っている自分には価値があると感じたい、誰かに認められることで自分の価値を確かめたい。それは人間の最も強い欲求、承認欲求だ。
持っているモノを認められることは自分の価値を認められるのと同じ。

モノ=自分

本当に欲しいものは「自分の価値」だった。
足りないものを埋めるのはモノではなく、自分だ。

誰かに自分の価値を認められるのは嬉しい。
でも、自分の価値は自分で決めれば良いのだ。


失って初めて気づくこと

失って初めて大切さに気づく。
モノだけでなく人に対してもよくあることだ。
もう会えないとわかった瞬間、あぁ大切だったんだと気づくけれど、あたりまえにそこにあった時には大切さに気づかない。

モノを捨てるということは、大切なモノだけを残すということだ。いざ捨てるとなれば、必要なものかどうかを考えるだろう。必要なものは大抵、もうすでに持っているのかもしれない。

ミニマリストになると「今」必要なモノだけにピントが合うようになるという。「かつて」必要だった過去にあったモノも、「いつか」必要だった未来にあったモノも捨てて、何が起ころうとも今この瞬間を味わえばいいのである。そうすれば未来の不安に怯えることなく、今に集中できるようになるのだと。

ミニマリストは「モノを持たない人」ではなく「大事なものを知っている人」だった

ミニマリストは、ただ「モノを持たない人」なのではなかった。「捨てる」ことで、大事でないモノを減らし、大事なものだけを持っている人。自分にとって「大事なものを知っている人」だった。
つまり、自分の価値を自分で決めて生きている。
幸せとは何かを知っている人なのだ。


巻末の謝辞の言葉がすべて

巻末の章「マキシマムな謝辞」を読んで、ミニマリストは何を持っているのかがはっきりとわかった。

ミニマリストになると、
モノに、人に、感謝するようになる。
感謝するようになると、人は幸せを感じることができる。幸せに「なる」のではなく「感じる」のだ。

モノへの感謝、人への感謝。編集者でもある著者は、本が出版されるまでの過程を知っている。知っているから感謝できるのだ。ミニマリストを通して感謝できるようになったと言う。

モノを捨てて大事なものを知る。
ミニマリストは持たない人ではなかった。

何が大事かを知っていて、
大事なものだけを持っている。


佐々木典士『ぼくたちに、もうモノは必要ない』

良い本だった。
ミニマリストを知ることができて良かった。

できれば家に置いておきたいのだけれど
出合えたことに感謝して


図書館に返すことにしよう。


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