ゴジラ-1.0見た 23/11/03

ゴジラ見た! いや良かったですねかなり。自分としては、近作のハリウッドゴジラより面白かったかも。以下感想

・全体として、ストレスのかかるシチュエーションと展開をうまくバランス取って進めるのがうまかったなという印象。

・特攻からも逃げゴジラからも逃げた主人公が非難され自責の念にかられるのは「まあそうなるよな」と納得できるし、同時に視聴者視点では「特攻もゴジラに機銃撃つのも意味ないからやらんでええ! 結果的には正しいしこいつが主人公なんだな」と簡単に飲み込める。こういう工夫が随所にあって良かった。

・女性と子供を拾ってしまった、どうしよう……!→戦争で子供をなくした隣のおばさんが助けてくれる(おばさんの救いにもなる)とか、戦後の厳しい生活を身を寄せ合ってやっていく、危険な仕事に手を付ける……!→ボロ船と愉快な仲間たち!みたいな短いスパンでの緊張と緩和がさすが感動系映画の監督だなと言うところ。

・邦画見てて客がイヤになりがちところを割りと理解しつつ、その展開の近くをギリギリ通しながらも不快にさせないバランスを感じられた。

・作戦説明シーンもあまり同調圧力的にならないように本当に帰る人も出たりとか。貧乏くじ100%であることは繰り返し説明したりとかね。

・あとは子役が全然演技せずナチュラルな子供だったのも臭くなくて良かった。この展開だとパパママ言うだけで結構「あ~」ってなるところ、なんかモニョモニョ言ってるだけだし。この物語はマイナスをゼロに戻す物語だから、未来を象徴する子供はまだ何もわかってないし始めてもいない、それでいいんですよね。

・野田博士が「全員生き残る気持ちで!」という綺麗事を述べるところも好きだったな。戦争では敗北と死の恐怖をごまかすために忌むべき死を賛美してしまった。その狂気を再生産するようでは意味がないから、あくまで生きることを志向するんだというね。サバイバーズギルトの集団が戦争を終わらせるために命を賭けることと、戦争の間違いを再現はしないということを両立させるプロット、見た目よりさらっとレベル高いことやってると思う。そこが臭みと感じる人もいるかもしれないけど。俺基準だと、かなり難しいことを結構やれてるという点で評価が高い。

・ゴジラを倒す作戦メッチャ好きだったな~! 今運用できる最大の質量兵器として水圧を使うっていう能力バトル的発想がまず好きだし、予備作戦として水圧の急激な変化ならどうだという仮定もロジカルで良い。ゴジラが骨格レベルで変形する所は熱線発射のタイミングで確認できるわけだし、水圧に対してもその機構で対応してるのでは? という予想は成り立つ。

・昔は艦これやってたから、登場兵器激アツだった……! 生き残った雪風や響がもう一度日本のために戦うというのは一番涙腺に来たかもな……! 震電登場も非常に痺れた!

・めちゃくちゃ脱出レバーみたいな感じで出てきたレバーは説明通りのレバーでもう一個ちゃんとレバーがあるというところ、おもろすぎて爆笑してしまいました。すいません。KOC決勝のサルゴリラの一本目みたいだと思ってしまった。なんか要素が込み入ってるというのはそれだけで面白いというか……。

・いやわかりますよ。死ぬ気で行って実は脱出装置でしたー! というのでは特攻を再演しただけで意味がなく、あくまで自分の意志で生きることを選ばなければいけないということとか、敷島も橘も、スッキリ死ぬのではなくあがいて生きてこそ物言わぬ死者たちに顔向けができるということとか、極限状態で選択肢がたった一つ! ということを甘受するのではなく、常にもう一つの冴えたやり方がないかを辛くても探そう、という現代にも通ずるメッセージがあることはわかってるんですよ。

・でもレバーがおもろくて……。

・あとカッチカチの浜辺美波がめちゃくちゃおもろかった(右目は包帯してたけど基本五体満足て……)。でも生きててよかった~! という気持ちにもなった。不思議な感覚だった。

・これをご都合主義と言うのは違うと思ってて。ご都合主義というのは、悲劇的な要素を無理に回避することによって作品の主題やそこまで積み重ねてきたストーリーが毀損されることのはずで、戦争を終わらせて未来に向かうのは別に生きてても死んでても変わんないから生きてても別にいいんですよね。

・「やったか!?」のお約束を何度かやるところとか、おにぎりボーイを何度かカメラで抜くところとか、邦画らしいチョケも散見されたけどギリおもろいの範疇で良かった。これは「クッソつまんね~!」って人もいると思う。俺は結構好きだったけど。

・この映画を高評価する自分を俯瞰して見て「俺って結構人間が好きなのかもな……」と思った。この映画を低評価する人は多分ゴジラの相対的戦闘力の低さとか、人間どうでもええ! 怪獣見せぇ! みたいなツッコミをするのかなと思うんだけど、俺的にはここまでしっかりした人間ドラマがゴジラのフォーマットで出来るのか! という素直な嬉しさ、感動が当初の予想より強いんだよね。

・この映画を人間ドラマで低評価するならハリウッドゴジラも軒並み低評価付けなきゃおかしいと思うんだよね。やっぱ怪獣好き人間嫌いな人が主な反対票層なのかなーというところ。

・2013のゴジラの親子パートだるくて寝たし、ゴジラ宗教ママもネタとして消費されてるから良いけど結構ヤベ~出来だと思うし、コングが田舎から出てきてホストしか話聞いてくれないから言いなりになってる女子大生みたいになってるのもどうなんだと俺はずっと思ってるし……。

・でも-1.0ゴジラ、他のゴジラに虐められそうだよね。「八つ当たり野郎アメリカ行け」「雑魚狩りやめろカス」「水圧てw キングギドラに秒で殺られそう」「頭部を破壊されたものは失格となる」「浜辺美波の方が硬い」とか言われないかな……。

・人や家畜を襲うクマは実は同族の縄張り争いに負けて木の実ポイントを追われた弱い個体という話もあるし、執拗に人間を襲ってたのもそういうことなのかもしれないですね……。

・何にせよ、「映画」を期待して見に行った俺にはすごく合ってた! 怪獣映画かくあるべきみたいなこだわりが強い人以外は全然行ったほうが良いと思います! 以上です。

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