小野壮彦

ベンチャーキャピタル、グロービスキャピタルパートナーズ、ディレクター。経営者の伴走者で…

小野壮彦

ベンチャーキャピタル、グロービスキャピタルパートナーズ、ディレクター。経営者の伴走者であり、また、経営に悩む実践者でもある。「人を見る目」がないと嘆く人へ。著書「人を選ぶ技術」発売中 https://onl.sc/DYHsJkz

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  • ドットコム起業物語~蹉跌と回生のリアルストーリー

    90年代終わり。いまや伝説となったビットバレーに飛び込み起業した20代の青年がバブルの波に翻弄されながらも楽天へと企業売却するまでの、蹉跌と回生のリアルストーリー。 起業においては、単純なノウハウ集は役に立ちません。コンテクストがそこには無いからです。よって筆者は本当にあった出来事を実名とともに描くことにより、文脈の中での意思決定と、その結果を共有することを目指しました。 「起業には正解はないが、失敗にはパターンはある」と言います。 私自身の若さゆえの傲慢と挫折。そして起死回生の一発までの物語。もし、ご自身だったならばどうしただろうか?と、考察しつつ読み進めていただければ、多くの起業を志す人、起業家にとって、本質的な「ノウハウ」となりうるのではないかと期待しています。

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成功している人が必ず持つ、「ある技術」

成功している人たちが必ず持つ「技術」。 みなさんは何だと思いますか。 儲ける技術。説得する技術。創造的になる技術… 他にもいろいろあるでしょう。 たしかに本屋さんに行くと、そういったジャンルで、〜技術。〜力。 といったタイトルの本が大量に積まれています。それら全部、大切だと思います。 でも、もしも一つだけ選ぶなら。 それは「人を選ぶ技術」だと、ぼくは確信しています。 ぼくはヘッドハンターでした。 それも、もの凄く成功している人たちばかりに会う、特別な世界。 業界ではエ

    • 多才な人々の成功における反抗心の役割

      甲田まひるという衝撃 先週の日曜日、ジム帰りに車を運転しながらJ-waveでクリスペプラーさんのOTO★AJITOを気持ちよく聴いていたのですが、ゲストの甲田まひるさんがぶっ飛び過ぎていて、ガツンとやられてしまいました。 5歳でピアノをはじめ、8歳でジャズにハマるという早熟さ。耳コピでビバップを弾き始め、16歳でジャズピアニストとしてメジャーデビュー。 さらに、小6でインスタにハマって、ファッションインフルエンサーへ。20歳でポップミュージックに転向してシンガーソングラ

      • 現代ニッポン、6つのキラー・キャリアパス

        お腹、すいていますか? こんにちは。「人を選ぶ技術」著者の小野壮彦です。 10月初めまで意味不明に引っ張られた酷暑がすぎ、ストンと気温が下がった祝日の今朝。 車をドライブしながらいつものJ-wave。「My first Tokyo」という、上京した若者の物語を扱う企画のようです。ゲストの小野賢章さんという、声優の方のお話に、ふと古い記憶が蘇りました。 僕と同じ苗字の若者が吠えます。 なんか笑っちゃいました。 そういえば俺も大学時代、最初の一人暮らしをしていた、阿佐ヶ

        • 生き様を求めるという野心

          ある程度の人生のステージまでは、人は抱いた野心を消化するために生きていく。実現して消化されることもあれば、挫折して消化されることもある。 えてして、若い時は比較的原始的な野心を持つことが常だ。例えば、自分を馬鹿にしたやつをギャフンと言わせたい。あの子にすごいと言わせたい。そんな類のことだ。それは、大人になってから振り返ると、ずいぶん動物的で衝動的な野心なのであって、悩みながらもがきながら日々を送ると、徐々に成仏をしていくものだ。若き成功者として見事に野心が叶う形で消化される

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        • ドットコム起業物語~蹉跌と回生のリアルストーリー
          39本

        記事

          「人を見る目」についての考察

          あなたは「人を見る目」があると思いますか?それを科学的に学べるとしたら興味ありますか? 今回、Facebookを通じて、二日間で172名の友人、と、そのまた友人の皆様に、「人を見る目」についてのアンケートへお答えいただきました。 なぜこれを聞きたかったかは簡単でして、このテーマについて出版を計画しているからです。きっかけは友人のシニフィアン代表、朝倉さんからの一言。 そんなことから、彼が運営するVOICYでポッドキャスト番組にお招きいただき、4部構成で配信していただきま

          「人を見る目」についての考察

          評価に納得いかないときの、のり超え方

          学校、会社、ボランティア団体、お習い事…所属する組織からの、自分に対する評価が、とても「的外れ」に感じることって、人生の中でよくあることだと思います。 経営者のアセスメントを生業としてきた自分の経験では、自己評価と他者評価の「ギャップが少ない」人ほど、成功していたように思います。でも、それは成長した結果の、出来上がりの姿。 そんなすごい方々も、かつてどこかのタイミングで、「みんな私のことは分かっていない」と思い悩む時期を潜り抜けてきているように思います。 かつて私もそれ

          評価に納得いかないときの、のり超え方

          ダビンチに学ぶ人生のあれこれ

          レオナルド ダ ビンチの生涯を少し勉強してみたら、人生の示唆に富みまくっていたので、要約を試みます。  1. ホットスポットを見つける彼は高名なヴェロッキオ工房で下働きの機会をゲットしました。そこは後世に残る天才芸術家を多数排出したホットスポットでした。ボッティチェッリ、ペルジーノ他。 2. 超絶悔しい思いをする彼は完成度の高い野心的な下絵を多数残しましたが、完璧主義が行き過ぎたか、なぜかいつも作品は未完成。名声はなかなか上がらず、彼は当時の一大イベント、システィーナ礼拝

          ダビンチに学ぶ人生のあれこれ

          つまり、その厄介なものを見つめること

          世の中は僕らの頭脳と直感を、どれだけ駆使したとしても、理解できないことだらけです。 感染抑制か、経済再開かとか、社会全体を見たときに、何を優先すべきか、難しい問題ばかりですよね。 だからこそ、この世の中に、二元論という、究極のシンプリシティがあるのでしょう。善か悪か。白か黒か。 その二元論を駆使して、バサっと思考を整理したくなってしまう衝動を持つことは、責められない。そんなに世の中単純じゃねーだろという声が、どれだけあったとしても。 それはまあ、この世の中って、とくに

          つまり、その厄介なものを見つめること

          これからのニホンの働き方

          そろそろ、真面目に考える時代に差し掛かっているのかなと思いません? 人生のクオリティってやつでしょうか。 まずはじめに、僕らが認識をかえないといけない。現状のニホンは残念ながら先進国ではなく、中進国なんですよね。 ニホンを、シン・ニホンに変革していこうぜ!という、熱い拳を突き上げている安宅さんの本が全てを書き切っておられます。 簡単に氏のご指摘をサマりますと、 ニホンは、男が長時間働きすぎで、家事も育児もしないので、女性にしわ寄せをぶん投げてて、そのくせさらに、生産性

          これからのニホンの働き方

          今こそ、起業家が持つべきマインドは

          こんな時だからこそ、起業家は、足元を見つめて、地に足をつけて、一つ一つ焦らず積み上げて行こう。Back to basic。 そういうトーン、正しいですし、もっとです。でも、あえて、僕はそれ、否と唱えたい。 だって、リーダーが、こじんまりとしてたら、つまんない会社になっちゃいませんかね。誠実に真面目にやることは大事だけど、それだけで、世界に爪痕を残すことってできるんですかね。 ドットコムバブルが弾けて、911が起こって、世界的に不況モード真っ只中だった、2002年か200

          今こそ、起業家が持つべきマインドは

          事業テーマ選びと起業家のアイデンティティ

          グロービスキャピタルパートナーズというベンチャーキャピタルで働いております、小野壮彦と申します。日々起業家の皆様と向き合って組織開発に取り組ませていただいています。 今回は、起業をするにあたっての、テーマ選びの手法と、起業家のアイデンティティの関係について、書いてみます。 随分と古い話で恐縮なのですが、私は1999年の末、当時ネットビジネスの総本山と言われたNetAge社で、EIR(Entrepreneur In Residence)として起業をしました。 その時の冒険

          事業テーマ選びと起業家のアイデンティティ

          若さを生かす起業、経験を生かす起業

          渋谷原宿エリアのタピオカ店のおおさには呆れますが、それと張るくらいに、世の中には、成功したビジネスマンの話がたくさんあります。 起業ノウハウ本も、必要以上にゴロゴロしています。 僕は全くの無名ですし、大してノウハウもないのですが、ネットベンチャーを19年前に起業し、破産の寸前で、逆転エグジットに、なんとか辿りつけた経験があります。 その濃厚な日々は、自分の中に様々な感情と、しこりをのこしました。 長年、この話には、蓋をしていたのですが、思うことありまして、最近、note

          若さを生かす起業、経験を生かす起業

          Epilogue エグジットの実際

          あまり表には出ない類の話に、なるのかもしれません。 スタートアップが、M&Aでエグジットに至るケースは、日本では一体どのくらいあるのでしょう。 数字はいろいろありますが、大企業が小規模買収を面倒くさがり、小型IPO市場が、いい意味でも悪い意味でも、整備されてしまった日本では、スタートアップのエグジットは、まだまだ少ないです。対象を広めにとっても、年間60-70社といったところでしょうか。 そして、さらに、その「中の人」のリアルな感情がどうだったのか、語られているケースは

          Epilogue エグジットの実際

          第37話 本当のプロダクト

          ← 第36話 プロトレード 社にとっての、2000年10月は、奇妙な時間の流れのもと、ゆったりと進んで行きました。 楽天への合流に向け、お客様へのアナウンスの準備、システムの移管、会計、法務的な処理などなど。新規の開発や広告営業はストップ。 オフィスの退去も、もともとNetAgeがまとめて借りてくれていたフロアの、又貸しだったので、スムースでした。確か家具などの備品は、お隣のファインワインさんにお譲りしたと思います。 メンバーは、役員と社員だけでなく、アルバイトだった

          第37話 本当のプロダクト

          第36話 畳の上の邂逅

          ← 第35話 三木谷が帰っていると思います。 ちょっと顔を出していきませんか。 すっきりした表情の山田常務が、おもむろに僕を誘いました。その段取りは、事前に準備されていたのでしょう。 既述の通り、三木谷さんとの予定がアレンジされていることは、秘書さんからアクシデント的に聞いていましたので、僕は十分に心の準備ができていました。あの男との、邂逅です。 楽天中目黒オフィス5Fの作りは少し変わった作りになっていました。 エレベーターを降りてフロアに足を踏み出すと、扉が二つあ

          第36話 畳の上の邂逅

          第35話 押し切る力

          ← 第34話 ちょっと、失礼。 楽天の中目黒オフィス、5Fの大ミーティングルームの、華奢な男性。山田常務が立ち上がって退出していきました。 残された澁谷さんと僕の間では、会話がしばし続いていましたが、僕は次の展開を想像し、うわの空だったように思います。 次こそ、ラスボス登場に違いない。 落ち着け、俺。 けれども、意思に反して、自分の心拍数が上がってゆくのが分かります。どこか冷めた目で、「俺って小物だなぁ」と、外から見つめている自分がいました。 ここで、澁谷さんが

          第35話 押し切る力