「このあと、娘をピックアップしに行かなくちゃいけないんだ。サッカーの練習が終わるところ。Culver City Clubというチームでプレーしててね。

15歳なんだけど、コーチの推薦で高校のチームに飛び級で入ったんだよ。本人は緊張しているみたいだけど、俺にとっては天にも昇る気分さ。

実は娘は、Step daughter。再婚したパートナーの連れ子なんだけど、こうやって練習上がりに迎えにいって、色々と話をするのが楽しみなんだ。可愛いもんだね。

俺も昔は、サッカー選手を目指してプレーしてたんだよ。祖国のEl Salvadorでは子供は例外なくサッカーをやる。結構いい線いってたんだけど、アカデミーに入るお金が家にはなくてね。でも、こうやって娘と親しく話ができるのも、サッカーのおかげだ。感謝しないとな。

逆に難しいのが自分の本当の息子。7歳なんだけど、うまくコミュニケーション取れなくなってきててね。前の奥さんと住んでるんだけど、何があったのか。自宅とはたった20分先の距離なんだけど。

El Salvadorは、近年米ドルを通貨に採用したんだけど、それ以降経済はずっと下がってる。96歳になるおばあちゃんに会いに行きたいんだけど、俺の今の状態は、アメリカを一歩外に出たら、もう二度と戻ってこれないんだよ。

あの地域へは行ったことある？中米の国々は、だいたいメキシコと似たようなもんだよ。食事もどこも似たり寄ったり。俺たちからすると、どこの国出身かはすぐ見分けつくんだけどね、外国人からしたら同じに見えるんじゃないかな。

でも面白いのが、メキシコとその他の中米の人たちは、お互い嫌いあってるんだよね。「メキシコ人はいつも偉そうだ。バカにしやがって」「お前ら田舎者はだからダメなんだ」とか言い合ってるわけ。

アジアでも、そんなことがあったりするのかい？」