journal du 11/1/2018

hot or iced?を聞かれたのにサイズを答えながら注文したロイヤルミルクティー(もちろんhotだ、今日は寒いので)。清潔感あふれる木のテーブル越しにバリスタから手渡しでそれを受け取ったら、振り向く前から背後にある階段を上って、2階の通りに面したガラス張りの席に着くと決めていた。しかし実際には、1階にある同じ場所が首尾よく空いたのを見てそこに座った。2階に行って空きがなかったら、というくだらない不安に負けた自分が悔しい。

昨日まで4日間の高熱が続いた。病み上がりの労働は厳しい。ウイルスと闘った身体が疲弊しているのもそうだが、気持ちも暗くなる。何しろ太陽の光を浴びずに過ごしていたのだから。不測の事態だったこともあり、仕事も放っておいたままなのが、正気を取り戻すのとともに思い出されてくる。案の定、朝会社に行くと上司に叱責される。

「やる気は手を付けて初めて起こる」とはよく言ったもので、夕方まで続くクライアントへのインタビューで調子を取り戻す。打ち合わせのあとに少し作業する気が起きたのは良かった。もしここがフランスだったならば店じまいの時間だけど。とにかく、それでカフェにきてロイヤルミルクティーを注文した。

1階の席はやはり落ち着かない。いくら少し高さのあるテーブルと椅子でも、座ってしまえば通りを歩く人の目線とむしろドンピシャに同じ高さになってしまう。窓越しの景色は見たいけれど、あなたと目を合わせたかったわけではないのだ。そう、黒のウールのコートを着たあなただ。なんだかむなしい気持ちになる。

そうこうしているうちに同僚から仕事の連絡がくる。仕事のことで気を落として、仕事によってそれを取り戻して、そしてまた仕事をする。別に悪いことではないけど、よく考えてみると良いことなのかどうかも実は分からない。(だって、もうそろそろ家で映画を見ている時間だ。もしここがフランスだったならば)

なんだか答えのないことを考えながらマックブックのスクリーンをにらむ。店内の曲がなんだかちょっと自分を哀れんでいるようなジャズに変わる。あのコメディー映画のエンディングで流れるようなやつに。ミルクティーもすっかり冷めきってしまった。もう帰らなくては。

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