東大医学部卒医学博士♨️温泉療法医

落日・日本の寂れた温泉宿をこよなく愛し、令和元年初日より温泉医学ブログを公開中。自虐ネ…

東大医学部卒医学博士♨️温泉療法医

落日・日本の寂れた温泉宿をこよなく愛し、令和元年初日より温泉医学ブログを公開中。自虐ネタを熟知しながら、今なお東大理Ⅲを世界一の難関と信じてやまないフリーランス医師、温泉医療♨️復興発展に貢献するため、インターネットの世界に降臨👑✨

最近の記事

温泉泉質分析の専門家集団「中央温泉研究所」と入浴剤の研究について

温泉水は生き物 — 中央温泉研究所の役割について温泉水は、地層や地球の火山活動、地上に上がるまでの流れや微生物の影響により変化する水質を観察する科学者から生き物のように捉えられています。 温泉は、多種多様な種類が存在し、また、生き物のように常に変化しているので、状態を把握し安定的に安全な利用を行うには豊富な経験と専門的な知識が必要です。 医療以外の技術的・科学的な分野は、温泉の化学的・工学的な分析をメインとする研究機関が担っています。 日本は世界一の温泉大国と以前にお話

    • 温泉に関する資格の定義と研修受講 — 温泉療法医は温泉に関して万能ではない

      医師免許が必要な温泉療法医の研修 ここしばらく、インターネットに溢れている温泉の口コミやブログなどをリサーチしていました。 温泉療法医は医師免許が必要な認定医の資格です。 上位には専門医があります。 どの温泉療法医の先生も確実に他に専門分野をお持ちになっています。 日本温泉気候物理医学会は日本でも古い医学会のうちの一つですが、正直、趣味的要素も強いという異色の学会といえると思います。 もちろん、専従されている温泉療法のエキスパートの医師も多く所属しています。 https

      • お国自慢と温泉研究の今 — 放射能泉の鎮痛効果と坑道療法④

        放射能泉についてのエビデンス 前回は、いままでどこにでも書いてあった「痛風の湯」と言えるのか、効果があるかどうかは検証中であるという事実についてお知らせ致しました。 とてもショックだったとは思います…。どこにでも書いてあるのですから。 あいまいな点が多い温泉療法の効果に関するエビデンスなのですが、鎮痛効果はすでにはっきり実証されていますので、本日はドイツとオーストリアで実証されている臨床効果についてお話させていただきたいと思います。 以下、三朝温泉の岡山大学の研究チーム

        • お国自慢と温泉研究の今 — 放射能泉は「痛風の湯」?③

          科学的根拠は乏しい放射能泉今回は、妊婦の禁忌に次ぐ、一般的に言われている効果・効能の見直しに関するの学会発表についてご説明させていただきます。 すでに、最新の学会論文の中に書いてあります…。 といっても、すごくマイルドで、わからない程度、もしくは、学会に出席するレベルの人々には当然すぎてスルーする事実をお知らせします。 概要だけ全文をすでにブログにしました。あまりにも短く、専門的なのでご解説をしていると長くなっているという事情です。 お国自慢と温泉研究の今 — 昔はあ

        温泉泉質分析の専門家集団「中央温泉研究所」と入浴剤の研究について

          2020年新年抱負 令和2年、温泉医学ブログの行方について

          令和2年の幕開けと温泉医学コンテンツ制作当て所なく、書き綴っていた温泉医学ブログ。 一人力のしょーもない、人気が出ない弱小ブログです…。 芭蕉のように、東北出張&温泉紀行がまだ残っていたり。 旧植民地、台湾の首都ど真ん中の大正時代の日本文化に触れて、ここどこ?感覚に陥ったり…。 令和元年は波乱万丈の温泉医学ブログ&取材運営でした。 主にTwitterで先行していますので、気になったらメディアからでもご覧ください。 同時に、質問箱でも、訪問者の方々の匿名のご意見・ご質問を聴取出

          2020年新年抱負 令和2年、温泉医学ブログの行方について

          お国自慢と温泉研究の今 — 三朝温泉とキュリー夫人②

          昭和34年建立の石碑には「世界一」の文字が!この石碑は、キュリー夫人のラジウム発見についての謝意が刻まれています。 この横にはマダム・マリー・キュリーの胸像が。 三朝温泉は、現在、開湯850年。ここには800有余年と記されています。 「医療効果が岡山大学温泉研究所等によって明らかになった。」 医学的に認められてきたのは、最近なのです。 キュリー夫人をご存じない方は、以下の説明で今回のブログは十分です。 ポーランド出身、パリで研究成果が大ヒットした「放射線」の発見者

          お国自慢と温泉研究の今 — 三朝温泉とキュリー夫人②

          タンパク質を健康にするヒートショックプロテインHSP入浴法

          HSP入浴法研究者、医学博士・伊藤要子先生伊藤先生を拝見していると、この温泉ブログなんてまだひよっこ…。 卵から生まれたてのピヨピヨです。 今回も最近あった学会のお話の続きです。 ヒートショックプロテインの研究者、伊藤先生がバスクリンと共同研究した発表をご紹介したいと思います。 今回の発表では、『週2回のHSP入浴3週間継続によるHSP70の発言と身体に及ぼす影響』1)と題して、HSP入浴法の有用性をデータ面から証明された研究報告をされていました。 HSP入浴の

          タンパク質を健康にするヒートショックプロテインHSP入浴法

          お国自慢と温泉研究の今 — 昔はあった6大学温泉医学研究所①

          国際性という面からみると「温泉鎖国」状態 温泉大国日本のお粗末な温泉医学研究について少し暴露致します。 タイトルにあるように、東京6大学野球ではないですが、6つの国立大学が温泉医学を研究する施設と病院を持っていました。1) (6大学野球では東大がお粗末です。) 日本の温泉を世界に 一九七〇年代には、北海道大学、東北大学、群馬大学、岡山大学、九州大学、鹿児島大学の国立六か所に、「温泉医学を研究する施設と病院」があった。 その後、機構の改廃が行われ、現在で

          お国自慢と温泉研究の今 — 昔はあった6大学温泉医学研究所①

          日本昔ばなし・動物のふしぎ発見:白鷺起源の温泉①

          有名な温泉は動物が発見している⁈ 学会の話は難しかったでしょうか?わかりやすく説明するのがこちらのブログです。 本日は先週末に開催された、東京・浅草の三社祭にも登場する、白い大きな縦長の鳥、白鷺が発見した温泉についてお話させていただきます。 日本は世界一温泉が多い火山国であることはご説明致しましたが、太古の時代から治療に使われている温泉の発見はどのような流れだったのでしょうか。 わかりやすい場所にあるとは思えません…。 温泉宿にもなっていないような秘湯をご存知の方もい

          日本昔ばなし・動物のふしぎ発見:白鷺起源の温泉①

          入浴頻度で未来が変わる? — 「高齢者の入浴頻度と認知症・抑うつ傾向発症リスクについて」

          第84回日温気物医学会「超高齢社会における温泉医学」週末は温泉に行かれている方も多いことと存じますが、温泉療法医は学会や研究に費やすことも多いのが現状です。 平日昼間に、出張帰り、誰もいない露天風呂に入れるなどの特典もつきますが…。 あー、基本、医療関係者ではない温泉ファンの方にはつまらない話が続きます。 (すみません。温泉写真も今後載せていきます。) 今回は高齢者の未来が変わる、日本人の高齢者の入浴頻度とその後の認知症・うつ発症リスクについての発表についてお話ししたい

          入浴頻度で未来が変わる? — 「高齢者の入浴頻度と認知症・抑うつ傾向発症リスクについて」

          学会報告:妊婦さんの温泉入浴は本当にOK! — ご本人の自己責任です

          妊婦が禁忌とされたのは1982年。解禁されたのは2014年。 今週末、岡山で開かれている「日本温泉気候物理医学会」では、いまさらながら、長年研究されていた先生からの最終報告があったようです。 14年にわたる検証が最終報告に至ったのです。 以下、2014年に解禁になった経緯の記事を引用させていただきました。 妊婦が禁忌とされたのは1982年。その理由を環境省に問い合わせると、「調べたが、わからない」としつつ、こう推察した。 なぜ今になって見直されたのか。その経緯について

          学会報告:妊婦さんの温泉入浴は本当にOK! — ご本人の自己責任です

          世界の温泉分布地図 — 火山国・日本とヨーロッパの温泉文化

          世界一の温泉大国は日本、2位はイタリア日本は世界の7%の火山を有する火山国であり、同時に海洋資源も豊富な島国。 このような条件がそろう場所は世界中を見ても日本だけ。 恵まれた環境にある日本!! 源泉の数は約2万7000を数え、そのうち宿泊施設を有する温泉地になっているものは3000を超えます。 2位のイタリアの温泉地は200か所程度! にもかかわらず、日本の温泉文化は観光・歓楽目的が主で、医療としての温泉利用は明治時代の頃からすでに遅れており、現在でも廃れる一途をた

          世界の温泉分布地図 — 火山国・日本とヨーロッパの温泉文化

          「Onsen Dr.」名称の由来について

          「をんせん」から「温泉(おんせん)」へ「温泉」は江戸後期には広く日本人の日常語となっていたようです。 特に、ひねりもせずに、事実を述べただけの当ブログのタイトル、 「温泉療法医♨医学博士の温泉ブログ」のドメインに使用しています。 えっと。特にアルファベット表記に合わせてカッコいい英語ではありません…。 シンプルに、 https://onsendr.com です。 温泉療養医も含めて、温泉研究者の中で有名な松田忠徳先生の「江戸の温泉学」によると、いくつかの時代の主な辞書

          「Onsen Dr.」名称の由来について

          温泉療法とは?

          温泉療法 Balneotherapy とは?温泉療法は、地下の天然産物である温泉水、天然ガスや泥状物質などのほか、温泉地の気候要素なども含めて医療や休養に利用することです。 その中でも、 ①狭義の温泉療法  ⇒温泉病院などで医師の管理下で、医療として行う慢性疾患の治療やリハビリテーションといった医療保険が適用される温泉療法 ②温泉ウェルネス Balneowellness  ⇒温泉を健康づくり、病気予防・保養に活用する温泉療法 に分けています。 ①の狭義の温泉療法では、ある

          すぐに温泉療養が知りたい方へ

          「みんかつ」民間活力開発機構 公式サイト温泉療養・湯治といっても、具体的にどのような症状がどのような温泉で改善されるのかなど、わからないことも多いかと思います。こういったご質問にお答えする専門家が監修したサイトが今は存在します。 最近では、本が売れなくなり、サイトのみになりましたが、かつて『温泉療養の手帖 温泉で体を治す』という日本各地の加盟旅館や医療機関や医師などの専門家のリスト、温泉療養についての詳しい説明がされた本が出版されていました。 およそ10年前に廃版になって

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          オンネトー温泉について

          今日からは、自己紹介にも書いている「好きな温泉」についてお話ししていきたいと思います。 好きな温泉、ナンバー1はオンネトー温泉学生時代から若かりし頃、北海道出張が多かった時期によく行った道東・阿寒湖近くにあるオンネトー温泉。ここが我が人生ナンバー1、一番大好きな温泉としていつもご紹介している温泉です。 オンネトーは、北海道足寄郡足寄町東部・阿寒摩周国立公園内にある湖で、名前はアイヌ語で「年老いた沼」あるいは「大きな沼」の意味を持っています。近くには、以前、無料の露天風呂が