松っちゃん

昨日、今年はじめて会場である泉大津フェニックスに行ってきました。台風の後片付けに奔走した去年の秋以来。夕方、海風がとても気持ちいい頃合いはこの会場の良いところだとしみじみ。

イベントと関係ない「私ごと」ばかり書いてる気もしますが、去年の秋以降はホント色々あった。あり過ぎてこんなに時間が立つのが早いと「人生なんてあっと言う間だ」とホント思わされる。その中で一番大きかった出来事に触れさせてください。週末にはいよいよ入浴順発表しますので、今日のところもなにとぞ。

それは特に関西の音楽ファンの方はご存知でしょう。神戸のライブハウス「太陽と虎」の店長、阪神大震災以降日本最大のチャリティイベント「COMING KOBE」の首謀者でもある松原くん(以降「松っちゃん」)が逝ってしまったこと。

3年前に癌が発覚し余命2年の宣告より1年、長く生きた。「世界一明るい癌患者を目指す!」と宣言した松ちゃんの正に死闘と思えるブログには、病気でも無いこっちが本当に励まされた。知らない方は是非読んで「こんな愛すべきアホ」がいたこと知って頂きたい。

もの凄い量の投稿。病気と必死に闘いながら何とか生きた証を残そうとした記録。中でも書かれているけど、実際とてつもなく怖かったと思う。「生きてる」というより「まわりの人に生かされてる」、だから「誰かの為に生き伸びる」という、最後まで全うした生き様はとてもじゃないけど言葉では表せない感動を覚えた。


ブログ本文通り、常に人を笑かそうとする人間だった。自分達がついつい笑いに走ってしまうのは、実は松ちゃんの影響が大きい。普通にライブハウスやればいいのに「MUSIC ZOO=動物園」というコンセプトを入れて作った「太陽と虎」しかり、打ち上げのオモローはおそらく日本イチだし「カミングコウベ」も普通に段階踏まずいちいちボケるし、「MUNA SEA」という怒られそうなビジュアル系エアバンド組んだり。エピソードは計り知れず。

MUNA SEAは簡単に言うと口パク&寸劇。松っちゃんはボーカルで「月光」を名乗り、音泉魂にも何度か出て貰って、月光を観たCoccoちゃんが「アレ誰、アレ!」とハンパなく反応したので「アレはね〜月光と言ってね〜」と説明して「関西で一番アホやけど震災以降神戸でこんなイベントやってるんですよ」と説明して奇跡の出会い。のちにカミング神戸にCocco先生が「超絶弾き語り」で出演するきっかけになった。震災に対する思いが共振した素敵な出会いだった。そんなMUNASEAも3年前から「松ちゃん元気にする為にずっと宴会場にブッキングしよう」と思ったけど、今年とうとう叶わなくなってしまった。

カミング神戸と音泉魂で毎年「どっちがオモロイこと出来るか」競い合っていた節もある。とはいえ結局いつもこっちは「アイツにはかな(わ)んな〜」と忸怩(じくじ)たる思いだった。お互い普通に「ライブハウス」と「イベンター」やっておけばイイのに、ついつい要らない余計なことしてしまう。それも必死に「ここまでやるか!?」って言われるまで。松ちゃんと話したことないけど、それはおそらく「バンドがここまで削ってやってんだから、バンドやってない俺たちもそれ以上やらなアカンやろ!」ってことだと思う。お互い共通の失敗は、その「熱」を「オモロー」というマチガッタ方向に向けてしまって、知らない人にあまり伝わらなかったことか。まぁ一部の分かる人が失笑してくれたらそれでいっか。

年も10くらい下だったので友達という感じでは無かった。でも「コイツには叶わない」と尊敬してたし、ずっと松ちゃんから元気貰って仕事頑張れたのはとても大きいし、そんなミュージシャンやスタッフがあとを立たないと思う。バンド、お客さん、仕事仲間に対して「いかに楽しんで貰うか」のみを考えて、死ぬ間際までそればっかりやって、24時時間酷使して、とうとう身体を壊してしまった。


音泉のことを「NPO団体」とよくバカにしてくれたけれど、自分達はまだチケット代貰ってるし。むしろチケット売らず一銭も儲からない、営利的にはリスクしかない日本最大級のチャリティイベントをやり続けたのは本当にバカの極み。数えきれないバンドが無償で集まってくる訳がそこにある。カミング神戸に行かれるロック大好きな人は、あのイベントが「当たり前では無い」と感じてくれると嬉しいです。なんであの豪華ラインナップが「無料で見れてしまうか」の訳を。そして来年も残ったタイトラチームが必ず開催してくれると思うので幾らでも良いです、募金くださることを切に願います。

今年一度神戸に会いに行った朝に体調が急変〜急遽入院、以降タイミングが合わず結局会えないまま、、、、4月告別式に参列した。行くまでとても信じ難かったけど、見てしまったらもうあきませんでした。現実を受け止めるしかなかった。


大阪では笑いの意味以外でも「ナイスアイデア」「斬新」「興味深い」など総じて褒め言葉の象徴として「オモシロい」という表現をします。「それオモロいな〜」「オモロいっすね〜」松ちゃんとのモノサシは常に「オモロい」かどうかだった。

「清水さんそれオモんないっすわ〜」と叱られないよう。そして東京の人達に「松原居なくなって関西オモロなくなったな」と言われぬよう。「MUNA SEA」はもう呼べないけれど、今年の音泉魂は松っちゃんのことも思って頑張ります。