見出し画像

世田谷区 宇田川湯

2020.10.07

今日も仕事帰りに一日一銭湯。帰り道だけれど、特段降車しない代田橋の南側、駅から徒歩10分ほどのお風呂。

創業90年以上ということを番台のお姉さんが教えてくれた。そう聞いてみると、番台周りや天井、下足入れなども歴史を感じる作り。でもとてもきれいに手入れされていることがわかる。

東京銭湯で、気になる記事があった。今田耕太郎さんのお話だ。「ご主人は宇田川湯の前は墨田区本所で銭湯を営んでおり、本所の銭湯と宇田川湯を交換して、ここに越してきた。(中略)昔は銭湯の交換はよく行われていたそうで、仲介業者までいたとのこと」だそうだ。
初めて知った。まだ銭湯巡りを始めて8ヵ月ほど。まだまだ知らないことは多いのだろうな。

例によって回数券をお渡しし、スタンプをもらいながら、ご親族の銭湯がどこかについて聞くと、お母さんにお電話してくださって「武蔵村山市の砂川湯でした」と教えてくれた。
金沢浴場で聞いた銭湯が増えていった当時の話、暖簾分けなどの話をしたり、集めたスタンプを見せたり、こういう銭湯の番台さんとのおしゃべりが好きだ。20分ほどおしゃべりし、「この時間だと、この通り、ほぼ貸切だからゆっくり入っていってくださいね」といわれ、洗い場にいるもうひとりと私の貸切で、のびのび入らせてもらった。

壁のペンキ絵には「ナカジマ、山中湖、2020.4.20」と描いてあり、山中湖から臨む立派な富士山が広がる。いいね、これこれ。その下にU字型の長いお風呂と左奥に正方形のボディバス、いわゆるマッサージ風呂とジャグジー座風呂が収まっている。大きいお風呂の方には中央にジャグジーがあり、ぼこぼこいっている。ジャグジーの効果の程は知らんけど、なんとなく身体の温まりが早い気がする。そう思うのは、お湯の温度とも関係しそうで、ジャグジーの方は熱湯で43度くらいか、しっかり10分、なんて思うも入っていられず、カランで一休み、の繰り返し。小さい方も40度くらいかな、マッサージ効果もあり、すぐにぽかぽかになる。全体がとてもきれいなお風呂なのだけれど、特にきれいだなと思ったのが、水色の線画のタイルで、これを見にまた来たい。

おそらく番台に座っていた方が、現店主から見て娘さんなのだろう。その方のエッセイもまた、味わい深い。「余談だが小学生の頃、開店前に男湯と女湯の脱衣場に分かれてバドミントンで遊んだことを思い出す。仕切りのため相手の動きが見えないので、羽根がどこから来るのかわからず面白かった」と。いいなあ、こんな遊び方。母方の祖父母宅の豊橋に夏と冬のお休みに遊びに行った頃のことを思い出す。弟と温室でのかくれんぼ、ビビりながら牛を触ったり、リヤカーに乗ったり、いとこたちとファミコンをやったり。楽しかったなあ。

脱衣所に戻り、汗を拭きながら周りをみると、お釜ドライヤーあり、雑誌あり、こちらも懐かしさ満点だ。先ほどの番台の方から別の女性に代わっていたが、気になっていたことを聞いてみた。「こちらはお掃除のボランティアなど募集していますか?」と聞くと「いえ、そういうのはやっていないんですよ」だそう。そうか、残念。銭湯のお掃除、体験してみたかったのだけれど。「大銭湯展」でも銭湯の一日のパネルが一番面白かったので、半日だけでもお手伝いできればと思ったのだが。その後家に帰って、家人に話すと「だって、滑って転んで骨折ったりしたら、ご迷惑になるじゃない」とのこと。確かにそうだ、大きなお風呂の掃除経験もないし、ね。

ではまた、きれいな水色のタイルを見に、ゆっくり浸かりにいこう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?